中学の級長ともなると、小学校時代の委員長とは比較にならないほど役目が多くなってくるが、それだけ真紀との接触の機会が多くなり、徐々に親しさを増していった。とはいえ、無論「交際」などといった親密なレベルではなく、あくまで教室内に限っての話ではあったが・・・
真紀の親友・千春はもっぱらオグリにご執心で、さりげなくモーションをかけるものの、硬派な野球少年・オグリは見向きもしない。そんな硬派なところに余計に惹かれるのかもしれないが、その一方で、にゃべっちは次第に千春の魅力に惹かれていく・・・
真紀と千春の比較をして「カワイさ」で言うなら、間違いなく千春が上だ。では千春の方が好きかというと、ことはそう単純ではなく真紀には彼女特有の知性の輝きがあった。決してひけらかす事はないが、相当に頭の回転が早いのは間違いなかった。これは単に成績に現れているだけでなく、普段の会話の中でもまさに「打てば響く」という言葉こそは真紀にピッタリで、会話をしていて最も楽しい相手だった。性格的にはお嬢さん気質というか、ワガママなところのあった千春はそれが魅力とも言えたが、時によると些か持て余す部分もあったが、その点においても真紀の方が性格がおっとりしていた。それでも、さすがは小学生時代からリーダー的存在だっただけに、しっかり者で芯の強さを随所に窺わせた。それまでは、外見のカワイさにばかり眼が行きがちだったが「内面から溢れ出る知性の輝き」というものを初めて認識させてくれたのも、彼女であった。
それにしても、この二人は揃って大柄だったせいか、随分と大人びて見えたものだ。ついこの間まで小学生だったとはとても思えないほどで、特にこの時期における千春の肉体的な成熟とお色気は群を抜いていた。小学生時代の香や小夜子といった美少女が、ともに小柄だったこともあってか、まだ子供子供していたことを思うと、格段の差が感じられた。
ところで、5月も後半ともなると暑い日が多くなり、上着を脱いで椅子の背にかけておくと、知らない間に誰かが触った形跡がある。
「誰か、オレの制服で悪戯しやがったなー?」
と訊いてみると
「オーミヤとタカシマが、オマエとグリの制服を弄ってたぞー」
といった声が返り「犯人」は真紀(にゃべっち制服)と千春(オグリ制服)と解った。
「勝手に、人の制服にさわりやがって・・・アイツめ、まったくふざけたヤローだ」
短気なオグリは、さっそく憤慨を始めた。
「オマエは、腹が立たねーのか?」
「学ランが珍しいんだろ。ま、別に汚されるわけでもねーし・・・」
真紀のオメガネに適い、内心では満更でもないにゃべっちは苦笑で誤魔化したが、オグリの怒りは収まるところを知らなかった。
「オイ、タカシマ!
人の服を勝手にイジクリ回すのは止めろ!」
「煩いなー、もう・・・」
根が図太く出来ている千春は、オグリが激怒しようが平然たるもので
「アイツめ・・・今度やりやがったら、ガツーンと言ってやるからなー」
と息巻くオグリを尻目に、欲の深いにゃべっちは
(こりゃ、うまくすれば2人を一気にいただきってな事も・・・)
と、密かにコーカツな皮算用をしていた ( ´艸`)ムププ
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