アランフェス協奏曲は、ギター協奏曲という一旦廃れていた形態の復活、ギターという楽器の演奏会場での復興というタイミングに対応し、カステルヌオーヴォ=テデスコ(1895-1968、イタリア)のギター協奏曲第1番と同じく、1939年に作曲され、1940年に初演されている。ちなみに、マニュエル・ポンセの「南の協奏曲」は1940年作曲、1941年初演で、ギターとオーケストラという組み合わせへの需要がこの時期、急速に生まれたことが察せられる。
20世紀において最も隆盛した楽器といえば、ポピュラー音楽も含めた音楽全般においてはギターであった、といえるのではないだろうか。クラシック・ギターのみならず、エレキ・ギターやフォーク・ギターなど含め、20世紀においてギターは安価で移動が容易なパーソナルな楽器として、また歌う旋律から和音による伴奏、また、パーカッション的刻みの可能な万能楽器として、様々な場面で活躍した。ギターの特質は、20世紀のポピュラー音楽の特質に大きく関与している。
ところで、この曲の献呈を受けられなかった大ギタリストアンドレス・セゴビアは「独奏楽器とオーケストラの掛け合いに問題がある」として、この曲を演奏せずにいた。
後にナルシソ・イエペスがこの曲をデビュー公演で演奏し、イエペスの鮮烈さと相まって曲が有名になると、セゴビアは完全に興味をなくし結局、生涯に一度も演奏することはなかった。
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