6. 魔法の輪(漁夫の物語)
7. 真夜中(魔法)
8. 火祭りの踊り
『恋は魔術師』は、ジプシー娘のカンデーラの物語で、その恋人のカルメロは彼女の以前の恋人であった浮気者男の亡霊に悩まされている。そこで彼女は友人の美しいジプシー娘に亡霊を誘惑してもらい、その隙にカンデーラはカルメロと結ばれる、という筋である。本作品はジプシーたちのアンダルシア訛りの歌が、違和感無く曲調にあてはまるほど実にアンダルシア的である。また『火祭りの踊り』と『恐怖の踊り』に代表されるよう、特筆すべき美しさと独創性が顕れる瞬間を感じさせる音楽作品でもある。
ファリャは1907年から1914年までパリに留学して研鑽を積み、帰国後すぐ、マドリードで数々の名作を発表した。1915年に初演を見た『恋の魔術師』は、やや後の『三角帽子』(1919年)とともに彼の手になるバレエ音楽の傑作で、先のオペラ以上にファリャの名を高めるのに役立った。
ピアノ独奏曲その他に編曲されて、とりわけよく知られた神秘的でまたエネルギッシュな「火祭りの踊り」はこのバレエ曲中、後段でジプシーたちが夜、魔除けのために火を焚いて踊る場面の音楽である。カスタネットの華やかな音色と、激しいリズムで曲をいっそう引き立てる。バイタリティのあふれたリズムとカラフルな音色感、フラメンコ的パトスなどが奔流となっている。炎の燃え上がる有り様を迫真に描いた、極めてスペイン情緒豊かな作品である。
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