2018/12/21

ハーデース(ギリシャ神話46)


ハーデース(古希: ΑΙΔΗΣ, ιδης, Hādēs は、ギリシア神話の冥府の神。例外的に一部の神話ではオリュンポス十二神の1柱としても伝えられてもいる。日本語では、長母音を省略してハデスとも呼ばれる。クロノスとレアーの子で、ポセイドーンとゼウスの兄である。妻はペルセポネー。その象徴は豊穣の角及び水仙、糸杉。ポセイドーンと同じく馬とも関連がある。

オリュンポス内でもゼウス、ポセイドーンに次ぐ実力を持つ。後に冥府が地下にあるとされるようになったことから、地下の神ともされる。普段、冥界に居てオリュンポスには来ないため、オリュンポス十二神には入らないとされる場合が多い。また、さらに、後には豊穣神(作物は地中から芽を出して成長する)としても崇められるようになった。パウサニアースの伝えるところに依れば、エーリスにその神殿があったといわれている。

名称
西洋古典文学では、この神のギリシア語表記 ιδης を「ハーデース」と転写するのが慣例となっている。しかし古典ギリシア語の発音(再建音)に従えば、ハーイデース(Hāidēsと読むのが最も近い。ホメーロスやヘーシオドスの叙事詩など(イオーニア方言)では、アイデース(ΐδης, Aidēs)やアイドーネウス(ϊδωνεύς, Aidōneus, 目に見えない者)と呼称されていた。地下の鉱物資源の守護神でもあることから、プルートーン(Πλούτων, Plūtōn, 富める者)とも呼ばれる。このほか、クリュメノス(Κλυμένος, Klymenos, 名高き者)、エウブーレウス(Εβουλέυς, Eubūleus, よき忠告者)などの異名もある。

概説
生まれた直後、ガイアとウーラノスの「産まれた子に権力を奪われる」という予言を恐れた父クロノスに飲み込まれてしまう。その後、末弟ゼウスに助けられ、クロノスらティーターン神族と戦い勝利した。クロノスとの戦いに勝利した後、ゼウスやポセイドーンとくじ引きで自らの領域を決め、冥府と地底を割り当てられたとされる。しかし、ホメーロスなどの古い時代の伝承によれば、ハーデースの国は極西のオーケアノスの流れの彼方にあるとされていた。

神話中では女性の扱いに不慣れで、略奪する前のペルセポネーにどうアプローチしていいか悩むなど、無垢で純心な一面を見せる。

被ると姿が見えなくなる「隠れ兜」を所持しており、ティーターノマキアーではこれを活用してクロノスと対決するゼウスに助力し、結果的にティーターン神族を打ち破っている。ギガントマキアーにおいても、ヘルメースがこれを用いて戦った。また、この兜はペルセウスに貸与され、メ
ドゥーサ退治にも貢献した。その他、ハーデースは二又の槍を持った姿で描かれる。

神話
ハーデースはゼウスなどと異なり、神話や物語が少ない。その中で唯一際だっているのが、后であるペルセポネーの略奪をめぐる話である。ペルセポネーは、ゼウスと大地の豊穣の女神デーメーテールの娘であり、コレー(「娘・少女」の意)の異名を持つ。ペルセポネーはまたデーメーテールと共に「2柱の女神」とも呼ばれる。ペルセポネーは冥府の女王としてハーデースの傍らに座しており、夫婦で死者を裁くとされる。

ペルセポネーの略奪
『ホメーロス風讃歌』中の『デーメーテール讃歌』によれば、ハーデースはペルセポネーに恋をして、ニューサで花を摘んでいたコレー(ペルセポネー)を略奪して、地中に連れ去った。ニューサは山地と伝えられるが、具体的にはどこの山であったのか諸説があり、明確には分からない。またハーデースがコレーを攫ったのは、ニューサ以外の土地であるとする伝説もある。

ハーデースがペルセポネーに恋をしたのは、アプロディーテーの策略であるとされている。ペルセポネーが、アテーナーやアルテミスにならって、アプロディーテーたち恋愛の神を疎んじるようになったことに対する報復として、冥府にさらわれるように仕向けたのである。ある日ハーデースは大地の裂け目から地上を見上げ、その目にニュンペー達と花を摘んでいたペルセポネーが映る。そこをアプロディーテーの息子エロースの矢によって射たれ、ハーデースはペルセポネーに恋をした。




一方ではハーデースはエロースとは関係なく、普通に一目惚れしたとの説もある。コレーに恋をしたハーデースは、コレーの父親であるゼウスのもとへ求婚の許可を貰いに行くが、ゼウスはコレーの母親であるデーメーテールに話をつけずに結婚を許した。ハーデースは水仙の花を使ってコレーを誘き出し、大地を引き裂くという荒業を用いて地下の国へ攫っていくが、母と地上を恋しがって泣くコレーに対して、それ以上強引な行動に出ることが出来ずに事態は膠着状態に陥ってしまった。 デーメーテールが「心優しい彼がこのようなことをするはずがない」と考え、ゼウスの陰謀であると気付いたとも言われる。
出典 Wikipedia

0 件のコメント:

コメントを投稿