2026/02/21

ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック総集編その1

ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックが終了した。

日本は金5、銀7、銅12の計24のメダルを獲得。これまで最多だった前回大会の18個を大きく上回った。

 

計24個のメダルはノルウェー(41)、アメリカ(33)、開催国イタリア(30)、ドイツ(26)に次ぐ5位。金はやや少なかったものの、雪国でも北国でもなく、限定的な地域で決まった季節にしか雪の降らない「温暖な島国」としては、まことに立派過ぎる戦績と言える。

 

競技別では、なんといってもスノーボードの躍進に尽きる。金4,銀2、銅3で計9個だから、全体の4割近い数だ。金メダルに至っては、5個のうちの4つを占める。日本のスノーボードは、なぜこんなにも強くなったのだろうか?

 

またフィギュアスケートも金1、銀2,銅3と計6個と健闘したものの、個人は男女とも銀と銅、団体も惜しくも銀。ロシア選手がいない分、チャンスではあったが案外に金メダルは遠かった。

 

上記2競技以外で金はゼロ。かつては多くのメダルを獲得してきたスピードスケートは、高木の2つと女子団体追い抜きの銅3つのみで、金、銀はなし。金は逃したものの、今回も団体戦含め八面六臂の活躍をした高木以外、個人のメダルはなしだった。前回も個人メダルは高木のみであったし、今度の団体戦も高木がいたからメダルを獲れたようなものだった。

 

【「やり残したことはないかな......」】

「昨日のレース(1500m)が終わってから、メダルに対する思いだったり、オリンピックに対する思いだったり、時間が経つたび、変化していて......。(3つの)メダルを誇りに思う気持ちもあれば、最後1500mを思いどおりの滑りで終えられず、オリンピック自体の思い出が"負けてしまった"で締めくくる感じになったのは、前回の北京と真逆の流れで、いろいろな感情が出てくるのを昨日から繰り返しています。SNS DMや友人のメッセージを読むたび、『メダルを取るだけではない感動をもらった』って言葉をたくさんいただいて、素直にうれしく思う自分がいて。ただ違う瞬間、結果として取りたかったという思いが出てくる。揺れる感情のなかでの時間を過ごしています」

 

「この4年間で取り組んできたことには、誇りに思うところがあって」

「その理由は、チームを立ち上げてすばらしい仲間に出会えて、同じ時間を過ごせたことがかけがえのないものになると感じているからです。スケーティングだけでなくて、スケート人生でチャレンジしたことで得られたものでもあると思っているので、その点で充実した4年間だったと思います。でも、挑戦だけで終わりたくない、頑張ることに満足せず、結果に残したいって気持ちもあったから......そう考えると、悔しい気持ちが込み上げることもあります」

 

通算10個のメダルを獲得してきた大黒柱がいなくなった日本のスピードスケートというのは想像したくない。このコメントを聞くと、もしかしたら目標の「金」を逃したことから、あるいは「次」でのリベンジも視野に入れているのでは? などと期待してしまうのだ。

 

もしも次のオリンピックに出るとなると35歳となるが、海外の有力選手は30台後半というのも決して珍しくはない(ただし、体格的には高木と比較にならぬバケモノがほとんどだが・・・)

2026/02/20

フィギュア坂本、有終の涙(ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック(12))

女子フィギュアスケートは、SPを終えて中井亜美がトップ、坂本花織が2位、千葉百音が4位と、誰もが表彰台を射程圏に捉える好スタートでFSを迎えた。

表彰台独占は欲張りにしても、複数メダルは十分に期待できる展開で、これまでの経験値から坂本の逆転金メダルを予想していたのは、恐らくはワタクシだけではなかったろう。

が、蓋を開けてみたら、SP3位チャイナ系アメリカ人のアリサ・リュウが逆転金メダルという予想外の結末が待ちうけていた。

 

金メダルを期待された坂本はコンビネーションジャンプのミスがあり、演技後は笑顔なく。キス・アンド・クライに向かう途中、ともに歩んできた中野コーチと抱き合い涙が溢れた。

表彰式では時折笑顔を見せるも、頂点まであと一歩。記念撮影では涙が止まらず。

 

坂本は

「力が最後まで100%出し切れなかったのがすごく悔しいんですけど、でも、これだけ悔しい思いをしても銀メダルを取れたことが、すごく何か今までの頑張りが実ったのかな」

と涙ながらに語った。

 

「正直、やっぱりここで完璧に決めたかったっていう気持ちが強かったので、その出来なかった分が、優勝逃してしまった点数分だったので、もうそれがもうすごく苦しくて、もう涙が出ました」

と率直な思いを打ち明けた。

 

最高の結果には届かなかったが、前回の銅を超える銀メダル。

 

改めて今大会を振り返り

「(前回は)本当に奇跡のような銅メダルから、これだけ銀メダルですごく悔しいって思えるくらい成長したのかなと思うので、この4年間、本当に頑張ってきてよかった」

 

SP1位で、プレッシャーのかかる最終滑走となった17歳の中井亜美は伸び伸びとした演技で銅メダル。あの浅田真央を抜いて、フィギュアスケート日本女子最年少メダリストとなった。

 

日本勢は2位、3位、4位と最も悔しい結果となってしまったが、3選手ともに転倒など大きなミスなく滑り切ったのは立派だった。

 

長らく日本の、というよりも世界のフィギュアスケートをけん引してきた坂本の引退は寂しいが、次のオリンピックは中井や、現在ジュニアで無敵を誇っている島田麻央ら若手に期待か。

個人的には、オリンピックで紀平が観たかったなあ。

2026/02/19

日本は「スノボ大国」? (ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック(11))

スノーボード男子スロープスタイルで、20歳の長谷川帝勝が銀メダルに輝き、この種目で初のメダリストとなった。

 

女子スロープスタイル決勝では、19歳の深田茉莉が金メダル。

ビッグエアで金メダルを獲得した村瀬心椛は3位で、今大会2つ目のメダルを獲得した。

確かに深田は完璧な演技だったし、また村瀬も金メダリストの実力を見せつけた。どっちが上に来てもおかしくない素晴らしい2人だったが、それでも優劣を付けなければならないのが勝負の非情さである。

 

さらに言えば

「最後に2位に食い込んだ選手が、村瀬より上なのかなあ?」

など、ジャッジが日本選手のワンツーフィニッシュを阻止したかった(?)のかと疑わしくなるような、例によって採点競技につきものの、もやもやが残ってしまった。

 

ともあれ、今大会スノボで獲得した金は、スノボ6競技のうちなんと4個目。メダルは全部で9個と、全体の半分を搔っ攫った。スノボ以外で日本選手が獲得した金は、フィギュアスケートのりくりゅうペア1個だけだから、まさに「スノボサマサマ」だ。

 

かつて夏季オリンピックでは「柔道ニッポン」、「体操ニッポン」など「日本のお家芸」と言われたが、今や「スノボ・ニッポン」といっても過言ではない席捲ぶり、毎日のように新しいヒロイン、ヒーローが登場してくる層の厚さは目を瞠る。冬季五輪に参加している他の雪国とは違い、限られた地域にしか雪の降らない「温暖な島国」の日本から、なぜこうも凄い選手が次々と現れるのか不思議だ。

 

ところでスノボ選手のエピソードを聞いていると、子供のころから練習場所を求めての全国行脚のため、親が数時間もかけて車で送迎している等の話をよく聞く。また、こうした親はほとんどが欧州などで行われるW杯などの観戦にも付いて回っているというが、いったいどのようにして生計を立てているのだろうと、老婆心ながら気になってしまう。

 

ここまで日本のメダルは、スノボ勢が計9個の荒稼ぎで過去最多の18個を大きく上回り22個まで伸ばした。オリンピック大国アメリカの24個と、ほとんど差がないとはビックリだ。

2026/02/18

日本のメダルラッシュ続く (ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック(10))

ノルディック複合・個人ラージヒル前半ジャンプでトップに立った山本涼太は、後半の距離で大きく失速して15位に終わる。

 

ノルディック複合は、ジャンプとクロスカントリーの二種目で争う競技だが、なにしろジャンプの得点が少なすぎる。

 

かつての荻原健司など、ジャンプの得意な日本勢が上位を独占したあたりからルールが変わり、ジャンプの得点がバカみたいに抑えられた。ジャンプでかなりの差をつけても、クロスカントリーのスタートで雀の涙のアドバンテージしかもらえないから、スタート直後にあっさりと抜かれてしまうのが日本選手で、これではほとんどクロスカントリー競技と変わらない。クロカンの得意なノルウェーの選手などは、上り坂ではまるで走っているような速さだから、とても勝負にならない。

 

カーリングの日本女子(フォルティウス)は、日本はここまで16敗の不振で早々に予選敗退が決定した。

これまで「カーリングと言えばロコ・ソラーレ」というのが常識だった。実際にオリンピックで銀(前回)、銅(前々回)という輝かしい実績を残してきただけに

「やっぱりオリンピックはロコじゃないとダメなんじゃね?」

という声が上がってきそうだ。

 

とはいえ、そのロコもメンバーがかなり高齢化してきているだけに、今回代表の座を逃したのがやはり勿体なかった。

 

スピードスケート女子団体パシュート。日本代表(佐藤綾乃、堀川桃香、野明花菜、高木美帆)は準決勝でオランダに僅差で敗退したが、続く3位決定戦ではアメリカに勝利し、なんとかメダルを死守した。

31歳のエース高木の体力が、よく続くものだ。個人種目を考えると、本来なら予選は温存しておきたいところだろうが、日本選手の層がそこまで厚いわけではないから、どうしても高木頼みになってしまうのは致し方ない。が、これだけ何本も滑って、金メダルの期待がかかる1500mまでに疲労が回復できるか気になる。

 

それにしても、この「チームパシュート」とか、スキーの「モーグル」とか、よく色々な競技を思いつくものだと感心してしまうが、ショートトラックのレースは観ているだけで目が廻ってしまう。

 

フィギュアスケート女子ショートプログラムで、17歳で今季からシニアデビューしたばかりの中井亜美が、自己ベストの高得点をたたき出して見事トップに立った。エース坂本花織は2位、千葉百音は4位と3人そろって好位置につけた。

FSでは、伸び盛りの若手の勢いと、ベテランエースの巻き返しに期待がかかる。

 

日本の獲得メダルは、過去最多だった前回大会の18を上回る19個目となった。

2026/02/17

「りくりゅう」奇跡の大逆転で「金」のドラマ(ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック(9))

今回から新たに加わったスキージャンプ男子スーパー団体は、各国2人の選手が3回飛んで、合計点で順位を決める。

二階堂蓮・小林陵侑が出場した日本は、1回目は2位と好スタートを切ったものの、2回目を終えて6位と苦戦。

最後の3回目で二階堂が会心のビッグジャンプを決め、一気に2位に浮上。この後、メダルを掛けた上位国の争いが佳境に入ったところで大雪となり、メダル争いの有力国の選手も飛距離が伸び悩む。日本のメダルへの期待が膨らんだところで、まさかの中断の判定。

この結果、「2本目を終わった時点での得点で順位が決定」というワケのわからないルールにより、日本は無念の6位に終わった。

 

「これがオリンピック」と苦笑いの二階堂に対し、3本目の準備をしていた小林は

「常に飛ぶ体勢でした。というか、あの気象の雲のレーダーを見れば(雪がやむと)絶対に分かっていた。5分後にやむと知っていてもしなかったんだな、と」

と打ち切りの判断に疑問を呈した。

 

作山憲斗ヘッドコーチも「奇妙」を連発。

「自然と戦う競技なのでしょうがない」としつつ

「本音をいえば30分ぐらい待ってほしかった。なんでこんな早く決めちゃったのかな」

 

実は同様のコメントはドイツなども

「なんで待たなかったのか、理解できない」

と試合を続けなかった判断に疑問符を呈したうえで

「もうヤケ酒を飲むしかないよ」

といったコメントもあったように、4年間をオリンピックに賭けてきながら最後の勝負を決める肝心なところではしごを外された選手たちにとっては、なんとも消化不良としかいいようがない結末だった。

 

フィギュアスケートのペア・フリーでは、前日のSPでまさかの5位と出遅れた木原龍一&三浦璃来の「りくりゅうペア」が、フリー世界最高得点の驚異的な演技を演じて、大逆転の金メダルに輝く。

 

前日のSPでは、得意のリフトで「練習でもしないようなミス」というまさかの失速。

男子シングルスで絶対的な本命とみられていたマリニンが

「オリンピック金メダリスト候補として扱われることは、特に私の年齢で本当に大きな負担でした」

と言っていたが、同様に「金メダル候補」と期待されていた「りくりゅうペア」にも、同じようなプレッシャーがあったかもしれない。

 

それにしても、FSで本来の力を発揮できればメダルの期待はあったとはいえ、5位から大逆転の金メダル、それも世界最高得点とはまるでマンガかドラマのようなストーリーだった。

 

SP終了後、泣いてばかりいたという木原。対照的に24歳の三浦の方は

「龍一くんが、ずっと泣いてるんですよ。いつも引っ張ってくれる龍一くんが。だから今回は私がお姉さんでした」

と、9歳も年上の木原を「龍一くん」とクン呼ばわりし、号泣を続ける木原を尻目に清々しいというかあっけらかんとした表情だ。外国人選手に比べ子供のように小っちゃい三浦だが、あのメンタルの強さは、まさに世界一に相応しい?w