2026/07/17

準決勝(ワールドカップ2026北中米大会)(7)

 

過去最多の48か国が参加し、1か月以上に渡る長丁場となったワールドカップサッカー北中米大会も、いよいよ佳境に入った。

 

48か国の中から勝ち残った4か国は、フランス、スペイン、イングランド、アルゼンチンと、ものの見事なまでに世界ランキング1位~4位の国が揃った。

 

スペイン 2-0 フランス

 

好カードが目白押しとなった今大会においても「事実上の決勝戦」と目された一戦は、思わぬ一方的な展開となった。

 

かねてよりフランスサッカーチームが、どうにも嫌い(フランスが嫌いというワケでは決してないが)なワタクシは、当然ながらスペインに肩入れするところだが、そうはいってもフランスは前々回大会で優勝、前回大会もPK戦の末に決勝で敗れたとはいえ、今大会も「優勝候補筆頭」に挙げられていたのは妥当であった。事実、予選リーグからの6試合を見る限り、まったく付け入るスキがなく「優勝候補」に相応しい戦いぶりだった。

 

ところが、である。

勝負とはまことにわからないもので、ここまであんなにも強かったフランスが、この日ばかりは90分間ほぼ何もさせてもらえず、なすすべなくスペインの前に屈した。

 

勝負事には、実力とは別に「相性」ということがあるらしい。

かつて「サッカー王国」と称されるほど強かったブラジルがフランスを苦手にしていたように、フランスにとってはスペインとの相性が悪いようで、欧州の主要大会を見ても分の悪い相手ではあるとはいえ、ここまでいいところなく終わるとは予想外ではある。

なにしろ、これまで驚異的な攻撃力を発揮してきたエムバぺ、デンベレともに、まったく仕事をさせてもらえなかったのだから。

 

逆に言えば、あの強いフランスをここまで見事に完封してのけたスペインの底力こそは、実に凄まじかったというべきか。フランスに比べ圧倒的な破壊力や派手こそヒケを取るものの、サッカーの原点ともいえるあのパス回しは芸術的な域と呼べる美しさで、あのフランスがボールに触ることすら困難なほど翻弄されたことからも、その技術の高さが改めて証明された。

 

実際、ボールの転がるところに必ずスペイン選手がいるように、まるで相手より人数が多いのではと錯覚してしまうほどであった。

 

アルゼンチン 2-1 イングランド

 

前回優勝国として、今回も当然のごとくに優勝候補に挙げられたアルゼンチンだが、ここまでは予想外の苦戦続きだった。

 

グループリーグはさておき、トーナメント1回戦から楽勝と思われた無名国のカーボベルデに2-1と苦戦したのを皮切りに、2回戦でも「格下」のエジプトに2点リードされながら、後半の土壇場にやっとこさ追いつき、なんとか逆転という薄氷勝利の連続で

「アルゼンチンは、本当に強いのか?」

と、疑わしくなるくらいの迷走ぶりだった。

 

対するイングランドは「サッカーの母国」と称されながら、優勝は60年前に1度のみと「看板倒れ」が定番だったが、今回はともに6得点を挙げてきたハリー・ケイン(ハリケーン?)、べリンガムという強力2枚看板を擁して準決勝に進出。人気先行で期待外れに終わったベッカムが率いた時よりは期待できる陣容だけに、今回ばかりはアルゼンチンにも勝てるかと期待された。

 

アルゼンチンに関しては、これまで「審判買収疑惑」やら、エジプト戦で2点ビハインドから後半30分過ぎから3点奪っての「出来過ぎた大逆転劇」など「疑惑?」満載のせいか、今回はすっかり「悪役」となってしまった感がある。対照的に「60年ぶりの優勝」を念願するイングランドに肩入れしたくなるのは、判官贔屓の理屈から言っても自然の摂理だろう。

 

そして、この試合もまた先制を許したアルゼンチン。今度こそは「真の実力」が問われる展開となったが、結果はまたしても「憎たらしいくらいの見事な逆転勝利」だ。加えてイングランドが誇る2枚看板にもほとんど仕事をさせなかったのだから、さすがにその実力は本物と認めざるを得ない粘り強さというしかない。

 

この結果、決勝は

 

スペインvsアルゼンチン

 

と、誰もが疑いようのない文句なしの「頂上決戦」に決まった。

 

先にも記した通り心情的にはスペイン応援となるし、休養日が1日多い分だけスペイン有利という気がするが、対するアルゼンチンも逆境には滅法強いだけに、どう転ぶかわからない。

ここまで7試合でわずか1失点という鉄壁の守りを見せるスペインの壁を、個人技に長けたアルゼンチンがこじ開けられるかがポイントとなるか。

 

珍しいことに、今大会は準々決勝~準決勝の6試合でPK決着がひとつもなく、文字通り手に汗握る好ゲームが続いているだけに、最後の決勝戦もPKなしですっきり勝敗を決していただきたいものである。

2026/07/13

準々決勝(ワールドカップ2026北中米大会)(6)


 「優勝候補」に挙げられていたフランス(FIFAランキング1位)、スペイン(同2位)、イングランド(同4位)、アルゼンチン(同3位)が、順当に準々決勝を勝ち上がった。

 

フランスの相手はモロッコ。

前回の準決勝に続く再戦となったが、2-0で今回もフランスの勝利。これまで良い戦いをしてきたモロッコも、フランスには完敗だ。

 

スペインは「赤い悪魔」ベルギーに2-1、イングランドとアルゼンチンは、それぞれノルウェーとスイスを相手に延長戦を戦った末、なんとか勝利をもぎ取った。

 

相手は、どれが勝ってもおかしくないような試合巧者だけに、ひとつくらいは波瀾があるかと思ったが、FIFAランキング上位4か国の「4強」が揃って準決勝に勝ち上がるとは、まことにここまで波瀾の少ない大会も前代未聞だ。

 

この結果、準決勝は

 

(1)      フランスvsスペイン

(2)      イングランドvsアルゼンチン

 

に決まったが、ここまで見る限り(1)が事実上の決勝と言えそうである。

2026/07/12

マキャベリ(2)

https://dic.pixiv.net/

概要

『君主論』や『戦術論』『政略論』などで有名な、イタリアルネサンス期を代表する思想家。

政治理論に科学的な手法を持ち込み、政治は宗教・道徳から切り離して考えるべきであるという現実主義的な政治理論を創始したことで、歴史上ではじめての近代的な政治思想家と言われる人物。

 

なお世間では『君主論』で述べられたマキャベリズムの元祖である、という誤解が浸透しているが、後述の生涯から共和制と君主制の両方を体験したことで、どちらの長所・短所も論じており、どちらかといえば理想の政体を決められず悩んでいた『政略論』の方が本音に近い。

 

日本語では「マキャヴェリ」「マキャベリ」「マキァヴェリ」「マキァヴェッリ」など様々な表記が見られる。

 

生涯

1469年、フィレンツェ共和国の法律家の三男坊として誕生。

決して裕福ではなかったが両親の愛情に恵まれ、当時の上流階級の必須教養であったローマ・ギリシャ古典やラテン語等を学んで育つ。

 

当時のイタリアは幾つもの小国に分裂し、それらがさらにフランスやスペインなどの外国の勢力と絡みながら争う、いわば戦国乱世の時代でもあった。当然、マキャヴェリの暮らすフィレンツェも例外ではなく、メディチ家の追放やサヴォナローラの神政と、その失敗などの政治的な動乱を目の当たりにしながら青春時代を過ごす。

 

1498年に共和国政府の内政・軍政を担当する第二書記局長に選出される。さらに「自由と平和のための十人委員会」秘書官・大統領秘書官も兼任。周辺諸国との交渉など、あちこちを飛び回りながら多忙な日々を送る。

 

その頃、フィレンツェにとって生命線の一つであった交易都市ピサが勝手に独立して、コントロール下から離れていることが問題となっていた。

マキャヴェリはピサの再征服を主張し、自ら軍事行動の立案から実行まで関わる。

 

しかし1499年の一度目のピサ侵攻は、兵力として雇った傭兵部隊が再領有目前で勝手に撤退して失敗。1500年の二度目のピサ侵攻には、フランス王から兵を借りて臨みマキャヴェリも軍顧問副官として赴くも、散々フランス軍に振り回されまくった挙句に失敗する。

後年のマキャヴェリの「自国の軍を持つ必要性」や他人の褌で相撲を取ることを考えてはならないという主張は、この経験に基づくといわれている。

 

1502年、チェーザレ・ボルジア率いる教皇軍が、フィレンツェ近くのウルビーノを征服したことでマキャヴェリは使節として派遣され、チェーザレと交渉、和議を結ぶ。

この時、古典を学び諸国を飛び回る中で様々な為政者を見聞きしていたマキャヴェリは、権謀術数に長けるチェーザレの姿に理想の君主像を見出すようになる。

 

1504年、マキャヴェリは自らの経験と考察から、国の根源は傭兵に拠らない軍事力にあると確信、市民兵による『国民軍』の創設を主張・計画する。

貴族や富裕層の中には国民軍創設に反対する者もいたが、それらをはねのけてコンタードの農民を徴兵し、自ら軍部秘書となって国民軍を実現させる。

 

しかし1512年、国民軍はメディチ家の復権を目論むスペイン軍にあっさり敗北。

マキャヴェリは失職に追い込まれた上、反メディチ家と目されて逮捕されてしまう。ジョヴァンニ・デ・メディチが教皇に選出されたことで大赦によりすぐに釈放はされたものの、年収の10年分にあたる保釈金を友人3人に借りて支払っている。

 

こうして1513年以降、当時43歳の若さで隠遁生活を余儀なくされたマキャヴェリは、妻子を連れてフィレンツェ郊外の山荘に移り住み、昼は農業・夜は著述活動に精を出すようになる。

 

彼の執筆活動は政治・歴史・軍事の評論から劇作までに及び、特に喜劇は大好評を博して文筆家としての名声を獲得した。だがそれでも愛国者であった彼にとって公職への執着心は捨てきれなかったようで、『君主論』の執筆の際は、わざわざ官服に着替えてから執筆していたことが明かされている。

 

1516年、フィレンツェ統治者にロレンツォ・デ・メディチが就任すると、マキャヴェリに謁見の機会が与えられ、謁見の場で彼がロレンツォに献上したのが著作『君主論』であった。

『君主論』は「君主たるものが、いかにして権力を維持し、政治を安定させるか」という政治手法を科学的に考察して書き記された謂わば『君主のためのハウツー本』であり、マキャヴェリはこの本を就職用パンフレットとして献呈することで、メディチ家に取り入ろうとしたのだった。

 

結局、この時は成功することがなかったのだが、1520年にはロレンツォの後任者であったジュリオ・デ・メディチ(後の教皇クレメンス7世)に『フィレンツェ史』の執筆を依頼されるなど、公職に就くことはできないまでも、メディチ家政権下において顧問的に扱われるようになる。

 

だが1527年、教皇クレメンス7世(ジュリオ)がローマ略奪の惨事を招いてしまったことで、メディチ家は再びフィレンツェを追放されてしまう。それに伴ってマキャヴェリもまた政権から追放される憂き目に遭い、失意のうちに病で急死した。享年58歳。

 

人物像

その政治思想や著述作品から、一般的には陰鬱かつ冷酷非情な男というイメージを持たれやすいが、私人としては陽気でおしゃべりでお人好し、酒好き・賭博好き・女好き、良き父(ちなみに上記の43歳で失職した時点で5児の父であった)・良き夫という現代にも通じるイタリア人男性のステレオタイプとも言える人間性の持ち主であった。

 

また、隠遁時代には昼間は家族と共にブドウやオリーブなどの農作業をする合間、地元の酒場で農民や職人らと賭け事をして過ごしたという。

2026/07/09

決勝トーナメント2回戦(ワールドカップ2026北中米大会)(5)


決勝トーナメント2回戦が終わり、ベスト8が決まった。

 

今大会は、出場国がこれまでの「32」から「48」に大幅に増えたことで

「なんという水増し大会か・・・今まで通り32で良いのに」

と嘆いたのは、何を隠そうワタクシである。

 

そして出場国が増えたことに伴い、決勝トーナメント進出国が「16」から「32」に増えたことについて

「これでワールドカップサッカーの権威も地に堕ちたな・・・」

と、さらなる嘆きに輪をかけたものであった。

 

「こんなことでは、ドローに恵まれた弱小国がムダに決勝にトーナメント出てしまい、つまらなくなるのは必定だ」

などと決めつけていたりもした。

 

ところがどっこい・・・なんと、これが決勝トーナメントの蓋を開けてみたら予想外の面白さで、正直言って

 

「かつて、こんなに面白いワールドカップサッカーがあったか?」

 

などと、もはや臆面も節操もなく喜んでいる。

 

いや、それほどまでに今回のワールドカップサッカーは、本当に面白いのだ。

 

「いったい、何がそんなに面白いのか?」

 

と聞かれると、決勝トーナメント1回戦も2回戦も、これという波瀾はなく「優勝候補」や「強豪国」と前評判の高かったチームは、ほぼ順当に勝ち上がった。

むしろ「こんなにも波瀾の少ない大会は珍しい」くらいだ。

 

もっとも強豪国が順当に勝ち上がってきているとはいえ、アルゼンチンがエジプトにまさかの2点リードを許しながら、終了間際にやっとこさ追いついてなんとか逆転したように、「優勝候補」や「強豪国」も決して余裕で勝ち上がっているわけではなく、結構薄氷の勝利だったりする。

 

こうしたエジプトに代表される「優勝候補」や「強豪国」にカテゴライズされていない国、その他ではカーボベルデやコンゴといった名脇役の健闘こそが、今大会を盛り上げているといって過言ではない。

※ちなみにエジプト側から「アルゼンチンの審判買収疑惑」が出ているが、この試合は地上波中継がなくワタクシは観戦できていないから、真相はわからない。

 

さらに、今大会の盛り上がりに大きく貢献しているのが「得点王争い」である。

 

先にふれたように「優勝候補」や「強豪国」と言われていたチームが、前評判通りに勝ち上がって来たの同様、得点王争いについても前評判の高かった強豪国のエースたちが、揃いも揃って期待通りの結果を残しているのである。

 

前評判の高かった強豪国のエースたちが、期待通りの結果を残している」というと何やら当たり前のように聞こえるが、決してそうではない。過去の大会を振り返れば明らかなように、大体において「前評判の高かった強豪国のエースたち」というのは、ワールドカップの舞台では得てしてパッとしなかったり、評判倒れの方が多かった。これも過去の大会に比べ、今大会の面白さがより実感できる大きな要因と言えるのである。

 

ともあれ、ベスト16までは3か国揃って残っていた北米勢は呆気なく全滅となり、8強のうち6チームが欧州勢と「ヨーロッパ選手権」の様相を呈してきた。欧州以外で生き残ったアルゼンチンとモロッコは、どこまで生き残れるのだろうか。

2026/07/05

決勝トーナメント1回戦(ワールドカップ2026北中米大会)(4)


決勝トーナメント1回戦。

これまで決勝トーナメントに進むのは16チームだったから、ひとつ勝てば準々決勝進出だったが、今回は32チームが決勝トーナメントに進出となったことで、準々決勝まで勝ち上がるには2勝が必要である。

 

通常であれば「決勝トーナメントからが真のワールドカップ」といえたが、「水増し大会」となった今大会は1回戦はまだ実力差が大きいだろうと思っていた。ところが蓋を開けてみれば好試合の連続で、観客の盛り上がりも物凄い。

 

ネットの「独占契約」が話題となったインチキサギ契約などは相手にしないワタクシ(実際には単にビンボーなだけだが・・・)としては地上波中継頼みだが、幸いにして地上波中継が皆無だったWBCとは違い、多くの試合が中継されるのは有難い。

 

その結果が、先にも記したように「1回戦じゃあ、まだつまらんだろう・・・」という予想を大きく覆し、これが手に汗握る好ゲームの連続なのだ。

 

「日本vsブラジル」は言うに及ばずだが、他にも「オランダvsモロッコ」、「ポルトガルvsクロアチア」、「ノルウェーvsコートジボワール」、「アルゼンチンvsカーボベルデ」などなど、どれも1回戦で当たるのが勿体ないようなカードが目白押しであり、結果的には波瀾と言えそうなのはドイツがPK戦の末にパラグアイに負けたくらいで、その他の強豪国は順当に勝ち上がってきた。

 

今大会「目標は優勝」などと、恥知らずの大風呂敷を広げていた日本は「順当に」ブラジルに敗退した。

「史上最強」チームとの呼び声も高かったが、終わってみれば4戦して格下のチュニジアに勝った1勝のみ。引き分けがやっとのオランダ、スウェーデンは揃って決勝トーナメント1回戦で早々に敗退したことから見ても、「優勝」などは夢のまた夢というのが現実だった。

 

確かに回を重ねることに力をつけてきていることは認めるが、まだまだトップとの差は大きいというしかないし、オランダにPK戦で勝ったモロッコは前回4強だから、これは番狂わせではない。日本は、まだまだ16強に残る実力すらなかったということであろう。

 

ともあれ、ベスト16が出そろった。

大陸別ではヨーロッパ「7/16」、南米「4/6」、北中米「3/6」、アフリカ「2/10」という中、悲惨なのはアジアで唯一の「0」。ムダに9か国も出場しながら、まさに恥をさらしに来ただけの体たらくである。

そもそもアジアの「9枠」は多すぎであり、精々「4」、いや「3」でもまだ多いくらいだ。

 

さて、先にも記した通り1回戦から好ゲームの連発を見るにつけ

「まだ先は長いのに、この先一体どうなるのか?」

となお期待は膨らむばかりだが、あるいは試合数が多いだけに、選手たちの疲労もピークに達してくるにつれ凡ゲームが増えて来ないか、との懸念も拭えないのである。