2023/11/15

パタンジャリのヨーガ・スートラ(3)

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ヨーガの人体宇宙観

ヨーガにおいては、生命の源は宇宙の気=プラーナであると考えられています。

この宇宙の気=プラーナが人体を満たし、宇宙の雛型である私達を生かし、宇宙もまた私達の雛型であると考えらているのです。

 

そのプラーナが人体を通る道はナーディーと呼ばれ、そのルー トの数は7万2千本とも35万本ともいわれています。これらは現代医学では血液の循環経路や神経管の経路とも捉えることができますが、比較的東洋医学の鍼灸に用いられる「経絡」に近いものと考えられ、ヨーガで は微細体(プラーナヤマ・コー シャ)の次元の経路と考えられます。そして、それらのナーディーなかでも大切なルートは14本あり、その中でも特に重要な幹線が次の3本となります。 

 

・スシュムナー管

このスシュムナー管が頭頂から脊髄の基底部へと通り、人体の中軸となり、天と地を貫くプラーナの通り道となります。宇宙の生命エネルギーであるプラーナは人体の中ではクンダリーニ・シャクティと呼ばれ、このスシュムナーの基底部で三巻き半のとぐろを巻いている蛇と隠喩されています。またこのスシュムナー管を通る生命エネルギー(クンダリーニ・シャクティ)は、その中に7つあるといわれる蓮華の花に喩えられるチャクラ(輪=センター)を経過し、次第にそれらを開花(活発化)させて行きます。

 

これらチャクラは、ヨーガに基づいた生活をしていると徐々に活性化されて行くものですが、クンダリーニ・ヨーガとはムードラやバンダ等を用いた特殊な体位法や呼吸法、瞑想法等の修行によって、より効果的にその眠っている生命力の源、クンダリ-ニ・シャクティ(女神)を目覚めさせ、それぞれのチャクラを活性化させ眉間の部位(アジナ・チャクラ)で待っているといわれるシヴァ神(男神)と合体し、体内の歓喜のエネルギー(プラーナ)を宇宙全体に解放し、梵我一如(ブラフマン・アートマン・アイキャ)の体験を実現しようと発達したヨーガの体系です。

 

このクンダリーニ・ヨーガといわれる中には、タントラ・ヨーガやハタ・ヨーガ等が入ります。このスシュムナー管を中軸にして、イダーとピンガラーという二つの拮抗したエネルギーの流れる代表的なナーディ管が、チャクラをはさんで左右交叉しながら通っていると考えられている。これらは、あたかも現代の医学においての交感神経と副交換神経の働きを指しているようであり、またそのチャクラ()という微細体のセンターも、医学的には各種のホルモン体の位置に対応しているとも考えられている。

 

・ イダー(月の気道)

イダーは月に象徴され、このイダーを通るプラーナの流れは「陰の性質」を受け持ち、冷やす・静的・女性・精神性等が優位になります。上部では左の鼻腔に通じています。ですから片鼻のアヌローマ・ヴィロマなどで、こちらを優位に呼吸をすると、副交感神経を刺激し、また、交叉して右脳(感性)を活発化いたします。

 

・ピンガラー(太陽の気道)

ピンガラーは太陽に象徴され、このイダーを通るプラーナの流れは「陽の性質」を受け持ち、暖める・活動的・男性・行動性等が優位になります。上部では右の鼻腔に通じています。ですから片鼻のアヌローマ・ヴィロマなどで、こちらを優位に呼吸をすると、交感神経を刺激し、また、交叉して左脳(理性)を活発化いたします。

 

[チャクラについて]

これらはプラーナマヤ・コーシャ(微細体=イメージ体)上のものであるので、修行者やその状態によって異なる場合がありますが、脊椎の基底部から上にスシュムナーに添って順に説明していきましょう。

 

ムーラダーラ・チャクラ

ムーラは「根」「土台」、アーダーラは「支え」「支柱」の意味です。人体においては最下部にあり、生命力の源・クンダリーニ・シャクティの内蔵されている場所です。会陰部、または肛門と関わりがあります。瞑想によって、4枚の花弁があり燃えるような金色をしていると捉えられている。

 

スヴァディシュターナ・チャクラ

スヴァは「自身の」「私の」、アディシュターナは「状態」「立場」の意味です。人体において性器の辺りにあり、宇宙の気の出入りを司ります。瞑想によって、6枚の花弁があり血のような赤色をしていると捉えられている。

 

マニプラ・チャクラ

マニは「宝石」、プーラは「町」の意味です。人体において臍の辺りにあり、内蔵の働きを調節する太陽神経叢にあたると云われている。瞑想によって、10枚の花弁があり火をあらわすオレンジ色をしていると捉えられている。

 

アナーハタ・チャクラ

アナーハタとは「打たれざる」「触れざる」という意味です。人体において胸あるいは心臓の辺りにあり、打たれざる音「ナーダ音」がします。血液の循環とともに、感情のセンターでもあり真我のとどまっている所です。胸腺とも関わりがあります。瞑想によって、12枚の花弁があり蕾のような内部は緑がかった輝く光で、外側はピンクのバラ色をしていると捉えられている。

 

ヴィシュダ・チャクラ 

ヴィシュダは、「清浄にされた」の意味です。人体において喉の辺りにあり、言葉を司り興奮ホルモンを分泌する甲状腺とも関わりがあります。瞑想によって、26枚の花弁があり海のような色をしていると捉えられている。

 

アージニャ・チャクラ

アージニャは「命令」「指揮」の意味。人体においては眉間の辺りにあり、第三(霊視)の目であり命の統合・命令・調整を司ります。脳下垂体や視床下部とも関わりがあります。瞑想によって、2枚の花弁があり白光色をしていると捉えられている。

 

サハスララ・チャクラ

サハスラは「千」の意味。千の花弁を持つ蓮華のチャクラと云われています。人体においては脳の中、そして頭頂から天に開いています。アージニャ・チャクラでシヴァ神(智恵)とシャクティ女神(生命力=クンダリーニ)が合体し、ブラフマ・ランドラ(結節)を突き抜けて頭頂へ至り梵我一如の境地を得て、サハスラを経て宇宙へ至ります。千枚の花弁があり、光の虹色をしていると捉えられている。

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