2024/09/30

アステカ神話(2)

建国神話

ウィツィロポチトリの誕生

ウィツィロポチトリはメシカの守護神であり、その母はコアトリクエである。コアトリクエがコアテペトル(ヘビの山)の上の神殿で掃除をしていたとき、天から羽根が落ちてきた。その羽根の力で、コアトリクエはウィツィロポチトリを妊娠した。コアトリクエの娘であるコヨルシャウキと、400人の兄弟は母親の不品行に怒って山に攻め登ってきたが、ウィツィロポチトリが武装して誕生し、シウコアトル(火のヘビ)でコヨルシャウキを攻撃した。ウィツィロポチトリはコヨルシャウキの体をバラバラにして山の上から落とし、400人の兄弟を打ち破った。

 

メキシコ盆地への移住

メシカの伝説では、4つの集団が外部からメキシコ盆地にやってきた。最初の集団はチチメカ、2番目がテパネカ、3番目がアコルワ、4番目がメシカであった。ディエゴ・ドゥランによると、メシカは洞窟あるいは泉から生まれ、アストランと呼ばれる所に住んだ。アストランの位置は明らかでないが北方にあり、テノチティトランと同様に湖の中の島だった。アステカという名前はアストランに由来する。

 

アストランからの移住については、文献によって大きく異なる。あるいは人々はアストランを離れてチコモストク(7つの洞窟)という所に至り、そこでテパネカ、アコルワなど7つの部族に分かれて南下したともいう。

 

ウィツィロポチトリに導かれた集団は民族名としてメシカを名乗り、長い年月をかけてメキシコ盆地にやってきた。しかしメシカは最後にやってきたために、先にこの地に住んでいる集団と軋轢を起こした。メシカははじめテスココ湖の西のチャプルテペクに住んだが、戦いに敗れて追いだされた。それから南のコルワカンの領主に従属して、ティサアパン(今の大学都市附近)に住むことを許された。コルワカンは、トルテカ以来の高い文化を持つ都市だった。しかしコルワカンの支配層の娘をウィツィロポチトリの生贄にささげたためにコルワカンの人々を怒らせ、そこを追いだされてテスココ湖の中の無人島まで逃げた。

 

彼らが島に上陸したとき、彼らはノパル(オプンティアに属するサボテン)に一羽のワシがとまっているのを見た。この光景は、ウィツィロポチトリの神官が幻影に見た目的の地であると見なされた。メシカはそこに都市を築いた。これは2の家の年(通常1325年と解釈される)のことだった。これがテノチティトランであり、今日のメキシコシティの中央部にあたる。この伝説は、現在のメキシコの国旗やメキシコの国章に描かれている。

 

神々

アステカ神話の神々はさまざまな由来を持ち、その数は非常に多い。1971年に人類学者ヘンリー・ニコルソン (H. B. Nicholson) 129の神々をまとめて14の群に分類し、それぞれ代表的な神によって名づけた。その分類によると、

 

ü  天上の創造神、父なる神

ü  オメテオトル群 - 原初の神。神々を創造した。オメテクトリとオメシワトル、あるいはトナカテクトリとトナカシワトルが含まれる。

ü  テスカトリポカ群 - 万能の神で王の守護神。イツトリ、チャルチウトトリン、テクシステカトル、テペヨロトルなどがここに属する。

ü  シウテクトリ群 - 健康と火の神。ウェウェテオトル、女神チャンティコおよびコヨルシャウキもここに属する。

ü  雨、水蒸気、豊穣の神

ü  トラロック群 - 雨と豊穣の神。

ü  センテオトル群 - トウモロコシの神。ショチピリ、マクイルショチトルなどがここに属する。トウモロコシの神には、ほかにチコメコアトルとシロネンがある。

ü  オメトチトリ群 - プルケ、リュウゼツラン、豊穣の神。400匹のウサギ(センツォン・トトチティン)のひとり。マヤウェルもここに属する。

ü  テテオ・インナン群 - 大地と豊穣、癒し、妊婦の女神。ショチケツァル、トラソルテオトル、シワコアトル、コアトリクエ、ツィツィミメなどの女神もここに属する。

ü  シペ・トテック群 - 豊穣神、金細工職人の守護神。戦争、犠牲、血、死の神

ü  トナティウ群 - 太陽神。

ü  ウィツィロポチトリ群 - 戦争、犠牲、太陽の神。メシカの守護神。

ü  ミシュコアトル群 - 戦争、犠牲、狩猟の神。

ü  ミクトランテクトリ群 - 死、地下世界、闇の神。その他

ü  ケツァルコアトル群 - 創造、豊穣、金星、風の神。神官の守護神。風神エエカトルはケツァルコアトルのひとつの姿とされる。

ü  ヤカテクトリ群 - 商業神。商人(ポチテカ)の守護神。

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