2007/07/01

シューマン 交響曲第3番『ライン』(第1楽章)



 シューマンは、1810年にザクセン地方のツヴィカウで文学愛好家で出版業の父と、歌が上手な母との間に生まれた。早くから楽才を現しつつ、バイロンやホフマンやハイネ、そして特にジャン・パウルなどの幻想的なロマン派文学に傾倒して育つ。

 

 しかし父の死により、生活の安定を願う母の希望で法律を学ぶため、28年(18歳)の時にライプツィヒの大学に入学した。ここで、ピアノを弾く9歳下の天才美少女クララ・ヴィークを見初める。

 

 気後れした彼は、直ぐハイデルベルク大学(ドイツ最古の大学)に転校するものの、音楽への夢断ち難く1830年(20歳)で母の許しを得て、音楽家を志す。

 

 再びライプツィヒに戻り、当時有名なピアノ教師フリードリヒ・ヴィーク(クララの父)に弟子入りしたが、右手に無理な負荷を掛け過ぎて怪我をした(自分で考案したピアノ速成器具で、右手薬指を吊るして他の指だけを動かす訓練をした)ため、作曲で身を立てる決意をした。

 

1楽章

 ベートーヴェンの交響曲第3番『エロイカ』と同じ調性で書かれているせいか、どことなく似たところが見られる(番号も同じ『第3番』)

 

 この楽章は、序奏なしでいきなり厚みのあるスケールで始まるところが、ライン川の雄大さをイメージさせる。

※したがって、この冒頭の演奏がスケールの小さいものは論外である。

 

 3/4拍子でありながら、あまり3拍子っぽっくないところも『エロイカ』と同じだ。

 

 第2主題はオーボエとクラリネットが短調で表れ、この2つが交互に出てくるうちに提示部が終わり、展開部へと移る。展開部はかなり長く短調の第2主題を中心に、ホルンに最初の雄大な旋律を謳わせ再現部となる。

 

 コーダは金管の強奏を交え、明るい雰囲気で終結する。 

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