2019/02/03

太陽の神ヘリオスと月の女神セレネ(ギリシャ神話49)

しばしば「ギリシャ神話」という本の中でアポロンを太陽の神などとしているものがあるが、それは後世ローマ時代になって太陽崇拝が盛んになっておきてきた混同であり、古代ギリシャ時代にはなかったことである。

古代ギリシャには「ヘリオス」という太陽の神がおり、またその姉妹には「月の女神セレネ」もいる。ヘリオスは四頭立の馬車にのり、朝、東から出て、夕べには西に沈み、黄金の杯にのってオケアノスの流れを再び東に戻るとされた。セレネの馬車は二頭立てで、その見事な馬の彫刻が大英博物館のエルギン・ルームで一際目だっている(パルテノンの東破風彫刻)。

ギリシャ本土ではヘリオスは主要神ではないが、ロドス島だけは例外で彼が主神となっている。この島は彼の妻「ロドス」にちなんだ名前をもち、二人の子供たちが初めてこの島を支配したという。また詩人ホメロスの『オデュッセイア』には、彼の島トリナキエというのが出てきて、オデュッセウスたちが彼の家畜を無断で食ってしまうという事件を起こしている。

その他、彼の息子パエトンの神話がよく知られている。それによると、はるばる父ヘリオスを尋ねてきた息子パエトンがヘリオスの馬車、つまり太陽にのって駆け出すが、もちろん彼にその馬車を駆るだけの力などなく、天上も地上も灼熱に焼かれゼウスの雷に打たれて墜落死するという物語である。
セレネにまつわる神話としては、彼女の恋人エンデュミオンの物語が知られる。

虹の女神イリス
彼女はホメロスの『イリアス』において「ゼウスの使い」として活躍している。パルテノン神殿の東西の両方の破風彫刻に彼女は登場しており、その美しい姿の面影を伝えている。

西風ゼプュロス
彼はルネサンス美術の代表的作品、ボッティチェッリの二つの絵画「春」と「ヴィーナスの誕生」の二枚共に描かれて重要な役割をはたしていることで知られるが、ようするに彼は「春を呼ぶ風」の神として重要なのであった。

ヘーリオス(古希: λιος , Hēliosは、ギリシア神話の太陽神である。その名はギリシア語で「太陽」を意味する一般名詞と同一である。象徴となる聖鳥は雄鶏。太陽は天空を翔けるヘーリオス神の4頭立て馬車であると古代ギリシア人は信じていた。日本語では、長母音を省略してヘリオスとも表記する。

紀元前4世紀頃から、ヘーリオスはアポローンと同一視(習合)されるようになった。これはアポローンに光明神としての性質があったためと考えられる。同様に、アポローンの双子の姉であるアルテミスは、ヘーリオスの妹で月の女神であるセレーネーと同一視されるようになった。

概説
ヘーシオドスの『神統記』によれば、ヒュペリーオーンとテイアーの息子である。曙の女神エーオースや月の女神セレーネーは姉妹。また魔女のキルケーやヘーリアデス(太陽神の5人の娘たち)、パエトーンの父親でもある。アポローンが乗る太陽の車を青空の牧場に駆る御者とも考えられた。

オリュムポスからみて、東の地の果てに宮殿を持つ。盲目になったオーリーオーンの目を治療した。また、常に空にあって地上のすべてを見ているため、アプロディーテーのアレースとの浮気をヘーパイストスに密告したのも、ハーデースがペルセポネーを誘拐した際にゼウスが加担したことをデーメーテールに教えたのもヘーリオスとヘカテーである。

レウコトエーとクリュティエー
ヘーリオスは、アプロディーテーとアレースの不義をヘーパイストスに言いつけた。アプロディーテーはこの仕打ちを許すことができず、ペルシア王オルカモスの娘である美女レウコトエーにヘーリオスの目を釘付けにさせ、彼女を荒々しく抱かせる。ヘーリオスの寵愛を受けていたニュムペーのクリュティエーはこれを見過ごせず、オルカモスにレウコトエーが男と密通している旨を告げ、父王の手で彼女を裁かせる。ヘーリオスは、その罪により砂に埋められたレウコトエーの死体にネクタールを降り注ぎ、彼女の姿を乳香の木に変え、天界へいざなう。一方、クリュティエーはヘーリオスからもはや振り向いてはもらえず、太陽を見ながら悲しみ泣き暮らすうちに死んでしまう。そして彼女は一輪の花になり、いつも愛しい人の方を向いているのである。

クリュティエーの変じた花は、ヒマワリやヘリオトロープ、あるいはキンセンカであるとも言われている。概して絵画や文学のモチーフとしてはヒマワリとされることが多いが、ヒマワリやヘリオトロープはアメリカ大陸の原産であり、この神話の成立時期にはヨーロッパでは知られていなかった。

セレーネー(古希: Σελήνη, Selēnēは、ギリシア神話の月の女神である。長母音を省略してセレネ、セレーネとも表記される。ローマ神話のルーナと同一視される。

概要
ヘーシオドスの『神統記』によると、ヒュペリーオーンとテイアーの娘でエーオースとヘーリオスの姉妹。なお、ゼウスとセレーネーとの間の娘にパンディーア、ヘルセー、ネメアがいる。また、兄であるヘーリオスとの子供に、四季の女神ホーラがいるともいわれる。

輝く黄金の冠を戴き、額に月をつけた絶世の美女で、銀の馬車に乗って夜空を馳せ行き、柔らかな月光の矢を放つ。後にアルテミスやヘカテーと同一視され、月が形を変えるように三つの顔を持つとも考えられるようになった。月経と月との関連から、動植物の性生活・繁殖に影響力を持つとされた。また、常に魔法と関係付けられた。聖獣は馬、驢馬、白い牡牛。

恋物語
セレーネーの神話で一番有名なのは、美青年であるエンデュミオーンとの物語である。セレーネーは彼を愛し、ゼウスに願って彼に不老不死の永遠の眠りを与えたと言われる。セレーネーは、夢の中のエンデュミオーンと交わりを重ねて50人の娘・暦月の女神メーネたちを生んだ。他には、牧神パーンもセレーネーの美貌に魅了され、恋い焦がれたことがあり、純白の羊毛皮を贈ってセレーネーを誘った。
出典 Wikipedia

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