2024/04/26

カレワラ(フィンランド神話)(4)

1章:語り始めと天地創造

語り始めの言葉の後に、天地創造が説かれる。大気の娘、イルマタルはある時、退屈しのぎに大空から海面に降り、そこで波によって身ごもった。彼女は長らく大きなお腹のままさまよい、その間に彼女の膝に降りたカモの生んだ卵が砕けて天地が造られた。彼女は、さらにさまざまな地形を作った後、ワイナミョイネンを産み落とした。彼は産まれたときにすでに年老いていて、海上をさまよった後に陸に上った。

天地創造は、元の伝承ではワイナミョイネンが行ったことになっており、イルマタルにそれを移したのはリョンロットが聖母マリアを想定した創作である。

 

2章:巨大な樫の木と大麦

ワイナミョイネンは、サンプサ・ペッレルボイネンに命じて種蒔きを行う。樫だけが育たなかったので、四人の乙女と海のトゥルサスの働きで育て直したところ、今度は育ち過ぎて天地を覆い隠すようになった。そこで海の母に願って、樫を切り倒すものを呼んだ。やってきた男は最初は小人だったが目の前で大男となり、木を切り倒した。倒れた木は海に落ち、その破片は人々に幸せをもたらすものとなった。

全ての植物は育つようになったが、大麦だけは育たなかった。ワイナミョイネンは木を切り倒し畑を開墾したが、白樺を1本残した。その理由を鷲に問われて「鳥が止まれるように」というと、鷲は火を打ちだし開墾地を燃やした。そこに麦を蒔くと、麦はよく育った。ワイナミョイネンは、郭公によく鳴くように命じた。

 

3章〜第5章:アイノへの求婚

ワイナミョイネンの名声を聞いて、若者ヨウカハイネンは父母の反対を押し切って出掛け、対決を申し込んだ。ワイナミョイネンは彼を相手にしなかったが、母イルマタルの創造までを自分の技だという彼の大言壮語に腹を立て、魔法の歌で彼を地面に埋めてしまう。ヨウカハイネンは命乞いをし、贈り物を提案するが全て拒否され、最後に妹のアイノを差し出すというと、助けられる。家に帰って報告すると、父母はそれをむしろ喜ぶが、アイノは悲嘆にくれる(第3章)。

 

アイノの前にワイナミョイネンが現れ求婚すると、彼女はこれを拒否し大いに泣く。父母が慰め、気晴らしに着飾って森に行くように言うと、彼女はそうして海辺に出て、そこで落ちて溺れ魚になる。ウサギにこのことを父母に伝えるよう願い、ウサギは伝える。母は大いに泣く(第4章)。

 

ワイナミョイネンはこれを聞き悲しんだ後、その海へ出掛け釣りを始める。そして不思議な美しい魚を釣り上げる。彼が料理しようとすると、魚は海へ逃れた後に自分がアイノであることを告げ、「食べられにきたのではなく、妻になりにきたのに」と伝え姿を隠す。彼は悲しみ、網を引くが魚は捕まらなかった。ワイナミョイネンは母にどうすればよいか尋ねると、母はポホヨラの娘に求婚するように告げる(第5章)。

 

6章〜第9章:ポホヨラ往復

ワイナミョイネンは、ポホヨラへ旅立つ。そこをヨウカハイネンが弓で撃った。3発目が当たり、ワイナミョイネンは海に落ちた(第6章)。

 

ワイナミョイネンは海をただよっていたが、鷲がそれを見つけ陸まで乗せて飛んだ。そこで泣いていると、その声をポホヨラの女主人ロウヒが聞き、彼を家に迎える。ワイナミョイネンは自分の国へ戻る道を尋ねると、ロウヒは「私のためにサンポを作るなら、国へ帰し、うちの娘を嫁にやる」と約束する。ワイナミョイネンはそのためには自分の国に戻り、鍛冶屋のイルマリネンを呼ばねばならないと言って、国へ帰してもらう(第7章)。

 

ワイナミョイネンが帰国の途中、道の頭上にポホヨラの乙女が現れる。彼は彼女に求愛すると、彼女は3つの難題を課す。2つまではやすやすとやり遂げたものの、3つ目の船の建造の最中に斧がそれて、彼の膝を大きく傷つけた。彼は血止めの処置をするが十分にできず、橇で村に向かい助力を願う(第8章)。

 

村の男は血止めの呪文のために必要な「鉄の起源」が分からないというので、ワイナミョイネンはそれを語って聞かせ、それによって軟膏は完成し、傷が治る(第9章)。

 

10章:サンポの鋳造

ワイナミョイネンは、カレワラの荒れ地に巨大な木を歌い出した。その枝先に太陽や月を引っ掻けた。そうして鍛冶屋のイルマリネンの元へ行き、ポホヨラにサンポを作りに行くよう願うが、拒否される。そこで枝に太陽や月の掛かった木があると行って呼び寄せ彼を木に登らせ、それから大風を吹かせてその木ごと彼をポホヨラへと送り出した。ロウヒは彼が到着するや娘たちに着飾らせ、彼に「サンポができたら娘を嫁に」というので、彼も承知して鍛冶場作りから始め、とうとうサンポを作り上げた。ロウヒは大いに喜び、これを山の奥深くに隠した。イルマリネンは娘を要求するが娘が拒否、彼は悲嘆に暮れて帰国する。

 

11章〜第14章:レンミンカイネンの求婚旅行

レンミンカイネンは男前で有能な青年だったが、血の気が多く女癖が悪かった。彼はサーリに求婚しに出掛ける。そこでは彼は笑い者であったが、次第に娘たちを籠絡し、すべての女に手をつけた。名家の娘キュッリッキは、彼になびかなかった。彼は彼女をさらい、彼女に結婚を承諾させる。ただし彼は今後戦に出かけないこと、彼女は村へ遊びに出ないことを約束した(第11章)。

 

2人は約束を守って暮らしたが、ある時彼女が約束を破り、腹を立てたレンミンカイネンはポホヨラへ戦に出掛けようとする。母や妻が止めるのを押し切って出掛け、ポホヨラに着くと、すべての男たちに呪いをかけてしまう。ただし盲目の老人一人は「おまえは、既に哀れなものだ」と言って呪いをかけなかった(第12章)。

 

そこで、レンミンカイネンは娘をよこすように言った。ポホヨラの女主人は、最初にヒーシの鹿を狩ることを課題とした。レンミンカイネンは、スキーの名工にスキーを作らせ狩りに出るが失敗する(第13章)。

 

彼は改めて狩りの呪文を唱え、ついに鹿を捕らえる。女主人は次にトゥオネラの白鳥を撃ってくるように求める。彼が獲物をねらっていると、かつて彼が呪わなかった老人が彼を毒矢で撃った。レンミンカイネンは川に落ちて死んだ(第14章)。

 

15章:レンミンカイネンの再生

レンミンカイネンの母は彼の死を察し、ポホヨラへ走り彼の行方を訪ねた。女主人は何度かごまかそうとするが、詰問されて答える。母は彼の行方を尋ね回り、やがて彼が川に落ちたことを知る。彼女はイルマリネンに頼んで熊手を作らせ、それで川底を漁り息子の破片を集め、つなぎあわせて元の姿とした。しかし、彼はものも言わなかったので特に軟膏を作り、ようやく彼は元に戻った。彼と母は自国に戻った。

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