2018/11/29

12神以外の主要神(ギリシャ神話45)


死者の国、冥界の神ハデス
 ハデスはゼウスの兄弟であり、詩人ヘシオドスの「神々の系譜」の物語では当然ゼウスの兄に当たる。ゼウスたち三兄弟による支配地の分担の神話はよく知られているところで、すでにホメロスの叙事詩に見られることはポセイドンの紹介のところでも触れておいた。その時ハデスは「冥界」を引き当てたわけである。従って重要である点では他のどの神にもひけは取らないのであるが、彼は常に冥界にあって死者をみていなくてはならず、地上のオリュンポス山などで宴会などしている暇はないというわけなのだろう、彼はオリュンポスの12神のうちには数えられない。

 そんなわけで、彼は「冥界がでてくる神話」には登場するけれど地上の出来事には介在せず、従ってトロイ戦争伝説でも活躍することはなく、一体に影が薄い。

その中で、結局彼の妻とされることになってしまう、先に紹介したデメテルの娘「ペルセポネ」との神話がひときわ有名である。

 死者の国は古くからさまざまにイメージされているが、日本仏教でいうところの「三途の川」のごときもあって、「怪犬ケルベロス」がその門を守っているというイメージがよく知られている。

その他、神話の中でよく活躍する神々
太陽の神ヘリオスと月の女神セレネ
 しばしば「ギリシャ神話」という本の中でアポロンを太陽の神などとしているものがあるが、それは後世ローマ時代になって太陽崇拝が盛んになっておきてきた混同であり、古代ギリシャ時代にはなかったことである。

 古代ギリシャには「ヘリオス」という太陽の神がおり、またその姉妹には「月の女神セレネ」もいる。ヘリオスは四頭立の馬車にのり、朝、東から出て、夕べには西に沈み、黄金の杯にのってオケアノスの流れを再び東に戻るとされた。セレネの馬車は二頭立てで、その見事な馬の彫刻が大英博物館のエルギン・ルームで一際目だっている(パルテノンの東破風彫刻)。

 ギリシャ本土ではヘリオスは主要神ではないが、ロドス島だけは例外で彼が主神となっている。この島は彼の妻「ロドス」にちなんだ名前をもち、二人の子供たちが初めてこの島を支配したという。また詩人ホメロスの『オデュッセイア』には彼の島トリナキエというのが出てきて、オデュッセウスたちが彼の家畜を無断で食ってしまうという事件を起こしている。

 その他、彼の息子パエトンの神話がよく知られている。それによると、はるばる父ヘリオスを尋ねてきた息子パエトンがヘリオスの馬車、つまり太陽にのって駆け出すが、もちろん彼にその馬車を駆るだけの力などなく、天上も地上も灼熱に焼かれ、ゼウスの雷に打たれて墜落死するという物語である。

 セレネにまつわる神話としては、彼女の恋人エンデュミオンの物語が知られる。

虹の女神イリス
 彼女はホメロスの『イリアス』において「ゼウスの使い」として活躍している。パルテノン神殿の東西の両方の破風彫刻に彼女は登場しており、その美しい姿の面影を伝えている。

西風ゼプュロス
 彼はルネサンス美術の代表的作品、ボッティチェッリの二つの絵画「春」と「ヴィーナスの誕生」の二枚共に描かれて重要な役割をはたしていることで知られるが、ようするに彼は「春を呼ぶ風」の神として重要なのであった。

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