2006/08/12

「あたご」と「おたぎ」

 京都・嵯峨野の外れに、修験者の行場といわれる愛宕山という山があります。 山頂にある愛宕神社は全国にある愛宕社の総本社で、防火の神として広く信仰を集めています。これらは、それぞれ「愛宕(あたご)山」、「愛宕(あたご)神社」と呼ばれますが、この山の麓にある愛宕念仏寺という寺院は何故か「愛宕(おたぎ)念仏寺」となります。しかも、この愛宕念仏寺のすぐ近くには「化野(あだしの)念仏寺」という、これまた読めない字の似たような名前があるからややこしい。今回は「化野(あだしの)」には触れない事にして、まずは「愛宕」とは、なんなのか? というところから掘り下げてみる事にしました。

アタゴは(a-tap-kop:我らがタンコブ(山))と考えます。2つの子音の「p」が取れた形がタコやタゴです。タップコップから日本語のダンゴ、タコなどが出たものと思われます。鹿児島弁ではダンゴはダゴですが、地名や人名にも田子、多古、蛸、などあり古代からの裏山の祭場だった場所です。ある研究者は、北海道から順次、このタップコップ地名を追いかけて来て、静岡県の田子の浦で迷ってしまったようです(「アイヌ・縄文地名から」)》

≪全国各地に「愛宕」の地名が見られるが、これは防火の神・愛宕権現に対する信仰により、愛宕神社が全国各地に建立されたことによるものが多いとされる。

なお、総本山の京都府右京区に存在する愛宕神社が建立される前より当地は「アタゴ」と呼ばれている。この「アタゴ」の意味は「高所」「険所」など諸説あるが、はっきりとはわからない。各地の愛宕地名の中にも愛宕神社とは関係がないものもあるかもしれない。≫

ポリネシア語による解釈
1.「愛宕山」《愛宕山(924メートル)は山城国と丹波国の国境に位置し、周囲の標高500600mの山地の面の上に瘤状に突出しています。頭を持ち上げ、両翼を広げたように見える堂々たる山容です。山頂の愛宕神社は、火防の神の総本社として全国の信仰を集めています。また天狗伝承があり、かつては柱松明の行事がありましたが、現在は山下の嵯峨清涼寺の行事となっています。愛宕山の天狗は「太郎坊」と呼ばれて日本第一の天狗とされています。

 この「あたご」は

(1)愛宕神社の祭神ホノカグツチの誕生に因って、母イザナミが死亡した事から「仇子(あだこ)」の転
(2)「アダ、アタ(儚い)・コ(処)」の転
(3)「ウタキ、オタキ(沖縄の聖所)」の転
(4)「アテ・ゴ(こちら側からは見えない側、裏側、反対側)」から
(5)「オ、ア(逢う)・タギ、タゴ(狭くて屈曲している、険阻な)」から

などとする説があります。

この「あたご」は、マオリ語の「ア・タ(ン)ゴ」、A-TANGO(a=collar-bone;tango=take,take hold of)、「鎖骨を持っている(山)」の転訛と解します。

嵐山付近から愛宕山を望むと、山頂の頭の下に左右から緩いV字形に尾根が出ているように見え、それが鎖骨に見える事から付けられたものです。この「ア」は、三重県鈴鹿峠の「阿須波(あすは)道」、福井県足羽(あすは)郡の「ア」と同じ語源です。

また、天狗の「たろうぼう」は、マオリ語の「タ・ラウ・ポウ」、TA-RAU-POU(ta=the;rou=club-footed;pou=a formof address to an aged person)、「がに股の老人」の転訛と解します》

②「愛宕(おたぎ)郡」《愛宕郡は、京都市の東北部一帯の地名です。この「おたぎ」は「オ(接頭語)・タギ(高地、急流、険阻)」の意、とする説があります。

 この「おたぎ」は、マオリ語の「オ・タキ」、O-TAKI(o=the place...of;taki=track,bring along)、「(淀川から賀茂川の川筋を)伝ってやってくる(地域)」の転訛と解します》

壺割り坂」の由来・・・ちなみに、愛宕さんを登った或る人に訊いた話ですが、坂の途中に「壺割り坂」という坂名があり、その由来は《将軍家に献上するお茶を山頂の方で保管するために運んでいたが、そのお茶の入った壺をここで割ってしまった》というのが、その名の由来という事でした(ホンマかいな?)

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