2024/06/05

カレワラ(フィンランド神話)(6)

34章〜第35章:クッレルヴォの帰還

クッレルヴォは、すぐさまイルマリネンの家から逃走し、荒野を放浪した。ところが、ここで通りかかった人から両親が健在であることを聞かされ、そのもとへと向かった。母親は喜び、家族の消息を説明し、妹が行方不明であると知らせる(第34章)。


彼は両親の元で働いたが、やはりうまくこなせず、舟をこげば櫂受けを壊し、網打ちをすれば網ごと粉砕した。そこで旅には慣れているだろうと、税金を納めに行くことになった。その帰り、彼はとある娘を橇に誘い、一夜を共にした。翌朝、互いの名乗りをしてみると、彼女は行方不明の妹だった。彼女は川に身を投げて自殺した。彼は自殺しようとするが、母が止めた。彼は考え直し、ウンタモ一族を滅ぼす決意をする(第35章)。

 

36章:クッレルヴォの最期

クッレルヴォは出征の準備をする。彼は皆に別れの挨拶をするが、母親以外はさほど悲しまない。彼が出発すると、追いかけて使者がきて、家族全員の死を順に知らせる。彼は突き放して答えるが、母に対してだけは大いに嘆く。彼はウンタモ一族を滅ぼし家を焼き、故郷に帰った。そこには空き家だけがあった。彼は泣いた。それから食料を探しに森に入って、気が付くと、そこは妹が死んだ場所だった。彼は刀で胸を突いて自殺した。それを聞いたワイナミョイネンは後世に向け、子供の育て方を誤らないようにと語った。

 

37章:黄金の花嫁

イルマリネンは、妻の死を大いに悲しみ、3ヶ月間泣き明かした後、金と銀で花嫁を作ることを思いつく。3度目に彼は黄金の花嫁を作り出したが、彼女は動くことも話すこともなく、抱いて寝ると冷たかった。彼はこれをワイナミョイネンに送ることにし、運んで行ったが、ワイナミョイネンはこれを拒否した。

 

38章:イルマリネン2度目の求婚旅行

イルマリネンは再びポホヨラに向かい、娘を求めた。女主人は娘の死を聞いて怒り、二度と娘はやらないと告げた。彼は娘に直接に願ったが拒否され、とうとう娘をさらって家を飛び出した。娘は怒り、悲しみ、許しをこうたが彼は聞かず、ある村に飛び込んだ時、彼は疲れて寝てしまった。目を覚ますと、娘は他の男と楽しんでいた。イルマリネンは怒り悲しみ、娘を鴎に歌い変えた。

 

イルマリネンは自分の国へ帰ると、ワイナミョイネンに出会い、ワイナミョイネンは彼にポホヨラの暮らしはどうだったかを訪ねた。彼は「向こうにはサンポがあるから幸せに暮らしている」と告げた。

 

39章:サンポ奪回へ

ワイナミョイネンは、イルマリネンにサンポ奪回を持ちかける。イルマリネンはワイナミョイネンに刀を作る。自分のためには鎧を作った。彼らは木の船を見つけ、船の願いに沿って、漕ぎ手として若者と乙女、それに老人の集団を出した。若者と乙女は力弱く、老人は少しましだったが船足は遅く、ついにイルマリネンが漕いだ。レンミンカイネンはこの船を見つけ、目的を聞くとこれに参加することを求め、船に乗り込んだ。

 

40章〜第41章:カンテレ

船は巨大なカマスの背に座礁し、レンミンカイネンはこれを倒そうとして海に落ち、イルマリネンは切りつけたが刀を折った。ワイナミョイネンは、刀でカマスを殺した。皆で料理して食った後、ワイナミョイネンは残りの骨からカンテレを作った。弾こうとしたが、だれにも弾けなかった。ワイナミョイネンは、ポホヨラには弾けるものがいるかもしれないと、これをポホヨラに送った。その地では多くの人が弾けたが、その音は喜ばしくなかった。楽器は再び作り手に戻された(第40章)。

 

ワイナミョイネンはカンテレを演奏した。すべての動物がこれを聞きに集まった。妖精たちも聞き惚れた。聞いた人間はすべて涙を流した。ワイナミョイネン自らも涙を流した。その涙は海に沈んで真珠となった(第41章)。

 

42章:サンポ奪回

イルマリネンは先頭の櫂、レンミンカイネンは後尾の櫂に、そしてワイナミョイネンは船尾に座り、船は進んだ。ポホヨラにつき、女主人のもとへ向かい、サンポを分けるように求めた。彼女はこれを拒否。彼は、ならばすべて持ち帰ると言ったので、女主人は立腹し、ポホヨラの全員を呼び出し、彼らは武装して集まった。ワイナミョイネンはカンテレを演奏し、彼らは全員よい気持ちになり、眠り込んだ。ワイナミョイネンはサンポをしまった扉を開き、運び出そうとしたが動かなかったので、牛を連れてきて引かせ、ようやく運び出し、船に乗せた。レンミンカイネンは漕ぎながら歌うと言い出し、再三止めたがついに歌い出した。その声でポホヨラのものたちは目を覚まし、盗まれたことを知って怒った。まずもやを歌い出し、ワイナミョイネンの足止めをした。彼はこれを払うと、さらに進んだ。今度は海からイク・トゥルソが現れたが、ワイナミョイネンにしかられて姿を消した。次は大風が吹き、カンテレは飛ばされた。ワイナミョイネンは悲しんだが、船を強化してさらに進んだ。

 

43章:サンポ戦争

女主人は軍勢を仕立て、戦船を進撃させた。ワイナミョイネンはこれを見つけ、暗礁を歌い出して船を粉々にした。彼らは全員眠り込んだ。武器を爪に変え、板をつなげて翼とし、鷲のような姿で飛び始めた。そして船に近づき、サンポを奪おうとした。レンミンカイネンは切り付けたが効果がない。ワイナミョイネンは舵を海から引きだし、殴りつけた。鳥の姿のものは海に落ちたが、爪が引っ掛かったのでサンポも海に落ち、破片となった。サンポの破片は各地にたどり着き、それぞれの地を富ませた。

 

ロウヒは復讐のために熊を送り、霰を降らせるというが、ワイナミョイネンはそれに対抗できる旨を答え、女主人は泣く泣くあきらめた。ポホヨラにはサンポの破片はほとんど来ず、ラップはパンの無い生活をすることになった。ワイナミョイネンは陸に着くと、サンポの破片を見つけ、それを以て土地が繁栄するように呪文を唱えた。

 

44章:新たなカンテレ

平和になったことからワイナミョイネンはカンテレを弾きたくなり、イルマリネンに鉄の熊手を作らせ、カンテレを探したが見つからない。彼が草原に行くと白樺が泣いていた。理由を聞くと、切られ、削られるのが怖くてならないと言う。そこで彼は皆の喜びになるのだと木を慰め、その木で新しいカンテレを作った。彼はそれを演奏し、皆それを聞いて感動した。

 

45章〜第46章:復讐

カレワが繁栄していることを聞いたロウヒは妬み、疫病を送った。ワイナミョイネンはそれを救いに出掛け、呪文や軟膏でそれを払った(第45章)。

 

カレワが救われたと聞いたロウヒは、今度は熊を送り付けた。ワイナミョイネンはイルマリネンに槍を作らせ、熊を捕らえ、礼を尽くして解体した(第46章)。

 

この章は熊祭の祭礼や歌を物語に取り込むために、ロウヒがそれを送り込んだことにしたものである。

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