2006/06/19

モーツァルト『戴冠ミサ』(6.Agnus Dei)

 


アニュス・デイ

宗教曲とは思えないほど豊かな雰囲気のある前奏の後、ソプラノ・ソロが「アニュス・デイ」と歌い始める。このメロディは、オペラ『フィガロの結婚』第3幕の伯爵夫人のアリア「美しき日はいずこ」とそっくりである。この曲自体もアリアそのもので、切なくなるほどメロディアスだ。テンポが少し速くなり、冒頭の「キリエ」のソプラノソロで歌われた旋律が再度登場する。

 

最初の曲と最後の曲に同じメロディが出てくることで、曲全体の統一感が出ている。その後、テノールなどでもこのメロディが歌われ、次第に盛り上がっていきながら最後は堂々とした合唱で終結を迎える。

 

全曲は殆どハ長調で書かれ、ジュピター交響曲と同じ調性で明るく堂々とした雰囲気がある。その一方で、ソロ歌手が歌うオペラ・アリアのようなメロディも随所に出てきて、全体として親しみやすい雰囲気もある。編成は、どういうわけかヴィオラ抜きだが、トロンボーンやオルガンなども入っており、歌の方は4部合唱及びソプラノ、アルト、テノール、バスの独唱という編成となっている。

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