2006/05/16

身勝手(二度目の技術審査part2)


 という事は4日あるように見えるものの、現実に審査に費やせる時間は実質的には3日もないという事である。

リーダーのN氏からは

「今回は、タイトなスケジュールだ。いつものように、終わってから報告書をまとめていては到底間に合わないから、審査中に終わった分の報告書をリアルタイムでまとめておかないとダメだな」

と言われており、また言われなくともそうしなければ、とても終わらないと考えていた。

また審査自体にしても、途中で何かアクシデントが起こらないとも限らない。 少しでも早めに、出来る準備は整えて起きたいこちらは

「最初のフェーズだけでも、月曜夜のうちにやっておいてくれませんかね?
そうすれば火曜の朝はそちらの作業を待たずに、こちらは朝一番からスムーズに始められますので・・・」

と、S氏に電話で念を押しておいた。

それにしても、いつもの事ながら不可解なのはS省の担当課長だ。こちらには、常日頃から無理難題ばかりを押し付けてくるのに比べ、対外的にには不当な(と言うよりは、無知であるための的外れな)要求も安易に受け入れてしまう態度は、まったく度し難い。恐らくは内弁慶的な傾向もあるのだろうが、それ以上に対外的に良い顔を見せておき、電子政府推進に向け他府省を自らの支配下にコントロールしやすくするシステムを作り上げよう、との意図があるのかもしれない。

それはともかくとして、開始初日となる火曜日は慣例通り朝一番に開始宣言のメールを出したものの、一向に音沙汰がなかった。待っていても埒があかんと思い、業を煮やして先方のリーダーS氏に電話を入れると

「審査に使うための環境がぶっ壊れてしまい、原因解明のため業者を呼んで対応して貰っている最中だ」

との事だった。しかも復旧の見込みすら、皆目わからないというではないか (-_-) ウーム

「というわけで、とにかくこの環境が直るまでは、何も出来ませんでして・・・」

との事で、こちらとしては相手の環境が復旧するのを、ただ待つしかない。 これが、この稀に見る「呪われた審査」のケチの付きはじめだった!

「そちらの復旧作業が長引くとなると、3日以内に終わらせるというのは難しくなりますよ。そもそも3日以内に終わらせたいというのは、そちらからの要望と聞いてますがね」

とイヤミを言ってやると、向こうは担当がチーム丸ごと他プロジェクトと掛け持ちで動いているため、木曜日は丸々一日この審査の対応が出来ないとの事で、今日と翌日(水曜)、そして金曜の3日間で終わらせたいという意向に変化はなかった。

「ともかく復旧したら、ご連絡差し上げます・・・」

S氏の元々の性格かもしれないが、ジリジリしているこちらとR氏などとは対象的に電話越しにも切迫感が感じられず、のんびりと構えているようなところに一段の腹立ちを覚えた (メ▼д▼)y──┛~~

 確認したところ、他作業のスケジュールに関しては先に決まっているため絶対に動かせないものであり、また担当を他の空いている技術者に代えるという事も、これまた不可能だという事だった。

 「先方は、このようなバカゲタ事を言って来ているし・・・こんな状況で3日以内なんて無理でしょ?」

 リーダーのN氏に、怒りをぶつけると

 「まったく、バカな事を言ってやがる!
 だが、向こうがどうしてもその日程を動かせないというなら、それに合わせてやってやるしかないだろう」

 という返事だ。

 「しかし・・・どう考えても、3日でやるのは無理じゃないですか?」

 「無理じゃなくて、やるんだよ・・・3日以内で。そんな風に、やる前から無理だなんて言ってたら出来っこない!」

 「しかし、どーやって?
 すでに今日もこの調子で潰れたら、実質2日しかないのに?」

 「例えばだ。これまでは、夕方の17時半とか18時で終わっていたよね。これで、3日~4日で終わるのが普通だ。だとすると、例えば夜の21時、22時までやったら、2日で終わるかもしれないじゃん。
 担当のにゃべさんは、ちょっと大変になるけど、2日だしなんとか頑張れば出来るんじゃないかな?」

 これは盲点だった。確かに一理あると思い、先方に伝えると

 「先にも申しましたように、ウチの方は木曜日が終日動けませんので、なんとか水曜までに大部分を終わらせてしまいたい。その代わり火曜と水曜は、遅くなっても大丈夫ですので、何とか頑張って今日、明日で進めましょう」

 あくまで、3日で終わらせたい様子だった。

 そうして午後の2時過ぎになって、ようやく向こうの審査環境が復旧した旨の連絡が入る。

 「では、始めましょう」

 と予定より4時間遅れの14時になって、ようやく審査が始まった。

 「そこで、ご相談ですが・・・」

 相手の言うには、通常技術審査での双方のやり取りはメールで行われる事が原則になっているが、今回は時間も切迫している状況でもあり、効率を上げるため電話で直接やり取りをしたい、という事だ。

 こちらとしても、メールのやり取りでは常日頃から隔靴掻痒の感は否めなかったし、のんびり見えていた相手も一応は焦りを感じていることがわかり、この申し出を承諾した。

 こうして作業は電話でのサポートの分だけ捗って、初日の22時くらいの段階で全体の3割以上を終えるという、まずまず良い進捗となった。

 その後も、翌日までに全工程を終えるため、もう少し頑張ろうと続けた結果、一気に全体の3分の1までが完了した。

 「今日は、このくらいにしきましょうか・・・かなり捗った事だし」

 「ありがとうございます・・・この調子なら、なんとか上手くいきそうです」

 と、この初日は平穏無事に終わったかに見えた。

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