2006/05/23

突然の昼食難民

 かつてまだ、名古屋にいた頃のお話である。

以前にもご紹介したように、平日の昼食は丸の内の某ビル地下にあった、厚生レストラン「A」で済ませていた。この食堂は安くて広い上に、レストラン直営の店だけに、こうしたセルフの大衆食堂にしては味の方もまずまず良かったため、数年通いつめていた。

ところが暮れの或る日、いつものようにセルフのお盆を棚に乗せて順番を待っている時に、何気なく視線を動かした拍子に

(これまで二十数年間に渡ってご贔屓いただきましたが、諸事情により年内限りで閉店する事となりました・・・云々)

と書いた張り紙が目に入った時は、まさに青天の霹靂であった。

(こりゃ参った・・・来年からは、一体どうすりゃいいんだ・・・オイオイ・・ (;´д`)

何しろ途中で仕事の現場が変わった時を除いては、自分でもトータルで何年通っていたか憶えてないくらい長い間通い続けていただけに、常にあるのが当たり前として、こうした事態の出来などは考えてもいなかったから、その時になって大いにうろたえたものである。

しかしいくらうろたえたところで、今更相手の決定が引っ繰り返る事はないから

(早いとこ、代わりを見付けておかないと・・・)

とは思いつつも、師走でなにかと忙しかったり生来の無精癖も手伝って、結局なにもしないままに年が明けた。

かつて56年位前、三の丸にある某省に出向していた際に、合同庁舎の地下に同じような大衆食堂や厚生食堂が幾つかあり「A店」(9p)に通う前は、この合庁にあった「B店」(8p)、×号館の「C店」(4p)、「D店」(6p)や県庁の「E店」(6p)で食べていた事を思い出し

(あそこなら少し遠くなるが、まあ似たようなもんだ・・・)

と、久しぶりにかつて通い慣れたその合庁の「B店」へ行くと、思わぬ事にビル地下全体に工事の白布が被せられたまま廃墟と化しており、おまけに県庁の「E店」もいつの間にやらなくなっているではないか。こうなれば、やむを得まい・・

 一時、散々通い詰めたせいで少々飽きの来ていた「松屋」(6p)や「吉野家」(5p)も

(まあ、週に2回くらいなら・・・)

と、コンビニ弁当(5p)嫌いのワタクシの目は牛丼店へと向いていたところへ、あの降って沸いたようなBSE騒動である(ちとネタが古いが、ちょうどその頃の話)

当初はまったく気にしてなかったものの、年末くらいからニュースなどで大きく報じられて来るに及び

(やはり、どこか定食屋でも見つけた方が無難だな・・・牛丼にしても、いいとこ週2回が限度だしな・・・そういえば名古屋駅構内グルメ街に、セルフの定食屋のようなのがあったな・・・)

と思い出し、早速足を運ぶとナント、該当の「グルメ・ワン」そのものが、いつの間にやら大掛かりな工事中で廃墟と化しているではないか・・・

(一体、どうなってんだ、これは・・・?)

そうしてドタバタしている間に、今度は「松屋」など牛丼店に《鶏唐揚げ丼》  が登場し

(鶏なら安全だし、食べてみるか・・・)

と思っていた矢先に、今度は考えている間もないうちに「鶏インフルエンザ」の発生に至る ( ̄_ ̄;) うーん

といった具合で「A店」の閉店から始まった踏んだり蹴ったりの挙句、市役所×庁舎に「F店」(7p)、という食堂がもう一つあったのを、ようやくの事で思い出した。

この店も、かつての×省出向時によく通っていただけに、些か懐かしい気分で行ってみると、長年レストランが経営していた「A店」の味に慣れていたせいか  

(ナヌっ?
これが、あの同じ店か・・・?)

と思われるほどに、何を食べても不味くなっているではないか。

かくて、昼食の時間を迎えるたびに

(ああ・・・「A店」さえ、なくならなければ・・・)

と死んだ子の年を数えるが如く、ないものねだりをしながらモゾモゾと箸を操る毎日であった。

※アルファベットで表した店名の後ろに( )で表記した(xp)は、旨さレベル10段階表記。

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