2006/07/25

シューベルト 弦楽四重奏曲第14番『死と乙女』(第3楽章)


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苦痛は理性を鋭敏にし、心を強くする。それに反して、喜びは理性など殆ど気にかけず、心を虚弱にするか、軽薄な人間にするだけである。僕は心底、あの一方的なものの見方というものを嫌っている。それは、自分たちのやっていることが最高で、それ以外のことは取るに足らないことだと、多くの惨めな人間に思い込ませようとする、あの一方的な物の見方だ。

ひとつの美がすべての人間に、その全生涯を通じて感動を与えるというのは真実である。しかし、この感動の余光は、他のすべてのものをも明るく照らし出すものでなければならない。

 

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誰も他人の苦しみを理解することはできないし、誰も他人の喜びを理解することもできない!

人はいつも一緒に歩いていると思っているが、いつもただ並んで歩いているだけだ。それに気づくというのは、何という苦しみであろうか!

僕の作品は、音楽への理解と僕の苦しみから生まれたものだ。苦しみだけから生まれたものが、世界を喜ばせることは稀のことと思われる。

 

3楽章

2楽章の終わりの天国的な安らぎを打ち消すように現れる力強いスケルツォ。シンコペーションとアクセントが、まるで何かに抵抗するかのようである。中間部に置かれたニ長調のトリオは、それとは対照的に限りない優しさに満ちている。

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