2006/07/02

準々決勝(サッカーW杯2006ドイツ大会)(5)

 W杯サッカーの準々決勝が行われた。

決勝トーナメントに入って、一段とレベルの高いチーム同士によるプレーの展開は前回にも触れたが、予選グループで相手に恵まれたり、運良く勝ち上がったチームがさらに淘汰され、残った8ヶ国によるさらにスピーディかつ高度な鬩ぎ合いは、益々一瞬たりとも目が離せなくなって来た。

その中で「これが世界最高のサッカーだ!」という、まさにお手本のような『ドイツvsアルゼンチン

選手個々の巧さとチーム力では幾らかは相手を上回って見えた、最も魅力的だったアルゼンチンがPK戦で地元のドイツに敗れてしまったのは、最も惜しまれる事であろう。この大会が始まってから大歓声を背に受け、試合を重ねるごとに好調さを増していくような、ドイツの勢いこそは脅威である。

しかしながら、ワタクシも含めて「この一戦に勝った方が、決勝まで行くのではないか」という見方が多かったようだが、そうした予測を覆しそうな安定した強さを見せ付けたのがイタリアだ。初出場で勢いに乗るウクライナに殆どチャンスを作らせず、完璧なまでに封じ込めた「カテナチオ」(Catenaccio)は健在。サッカーの質の違いをあからさまに見せつけた、文句なしの快勝である。

ともに優勝候補の一角に挙げられていた『イングランドvsポルトガル』は、個人技で勝る「ヨーロッパの南米」ポルトガルと、総合力のイングランドが『ドイツvsアルゼンチン』と同じように共に守りを固め、シュートは少ないが前半からジリジリとするような、見応えのある攻防が展開された。精彩を欠いたベッカムが交代した後半、頼みのルーニーが非紳士的行為で退場となった事で一人少なくなったイングランドに対し、デコのいないポルトガルも攻め手を欠き、間延びしたような展開のまま延長でも決着がつかずPK戦に・・・運の要素もあるとはいえ、このPK対決は明らかにGKの差が残酷にもハッキリと出てしまった。イングランドのPK四本総てを読み切った、ポルトガルGK・リカルドの素晴らしさばかりが目を惹いた。

そして結果的には、準々決勝最大のハイライトとなった『ブラジルvsフランス』だ。優勝候補筆頭と言われ、連覇を目指したブラジルだったが過去1勝2敗と苦手のフランスの前に、またしても苦杯を舐めさせられる結果に。結果は1-0だが、フランスはエース・ジダンの圧倒的な存在感と堅い守りで、ブラジルの攻撃をほぼ完璧に封じ込めて、内容的にも快勝であった。

この結果、準決勝は『ドイツvsイタリア』と『ポルトガルvsフランス』に決まった。

最初のカードは、地力ではややイタリアが有利かという気がするが、勢いでは圧倒的にドイツが勝る。イタリアの伝統的な堅い守りを、好調のドイツが抉じ開けていけるかどうかが観どころで、過去の戦績はイタリアの22分だが、好勝負になるのは間違いないだろう。

もう一方のヤマは、ポルトガルの個人技と老獪さで勝るフランスという、これまた大変に興味深い初の対決となった。ここまで来ると各チームには殆ど力の差はないだろうし、何が起こるかわからないのが勝負の世界だけに、勝負の予想は難しい。いずれにせよ、頂点を目指した世界最高峰の戦いも、残すところあと僅かになった。

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