我が常連は、スポーツ観戦嫌いが多いようだ。野球でさえ興味のない人が殆どだから、それよりはファン人口の遥かに少ない大相撲となれば益々興味を示す人はいないだろう、などと心配しつつも敢えて大相撲のネタを採り上げる事にする(たまにはいいでしょw)
野球と同様、小学校低学年の時からン十年の観戦歴のある大相撲だが、最近は朝青龍の独走で面白くない時期が続いていたため、TV観戦もめっきり減っていた。ところがここへ来て、あのバカ強い横綱・朝青龍を脅かすような素晴らしい力士が登場して来たから、俄然面白くなって来た。言うまでもなく、今年大関に上がってきた白鵬である。
最近、この白鵬を称し
「(二代目)貴乃花に似ている」
という声をよく耳にするようになったが、それを一番最初に言ったのは(職場の人間を除けば、誰も知らなかったろうが)何を隠そう、このワタクシなのである。
あの色白のおっとりした顔から、しなやかで柔らかい体つきまで何から何まで瓜二つなのだ。そして何といっても、この白鵬という力士が朝青龍と比べ何から何まで好対照なのが余計に興味深い。
ギラギラとした闘志のオーラが全身に漲るような朝青龍に対し、常に水のように冷静かつ穏やかな白鵬である。見るからにゴツゴツとして骨太そうな、体全体の絶対的な強さと全身のバネを感じさせる朝青龍に対し、底知れぬような懐の深さと、総てを吸収してしまうような柔らかさを兼ね備えた白鵬であり、相手の長所を完全に殺してしまう朝青龍に対し、相手の長所を巧みに吸収してしまう白鵬である。人間離れのした気合と集中力で立会いから相手を圧倒し、一気に攻め倒してしまう「攻」の朝青龍に対し、相手のペースに乗ったように見せかけながらいつの間にか自分のペースで戦っている、したたかな「守」の人が白鵬である。
少し前までの、あの圧倒的に強かった朝青龍を見ていた時は
(果たして、この力士に勝てるようなのが出てくるのか?
いつとわからぬ衰えを待つしかないか・・・)
と思えた事を考えるなら、この白鵬の急成長ぶりは驚異的であるばかりでなく、ここ数場所の直接対決を見る限り両者に力の差はもうない。今のところは経験と潜ってきた修羅場の数、さらには生まれ持った心臓の強さとここ一番の集中力、勝負にかける執着心では朝青龍が遥かに勝っている。しかしながら、何といってもまだ21歳の白鵬だから、先を考えればやはり末恐ろしいものがある事に変りはない。
「モンゴル対決」というところに寂しさはあるものの「これぞ、大相撲!」の醍醐味を堪能出来る名勝負を見せられるのは、この対決しかないのが現状であり、ここ数場所は期待に違わぬ好勝負が続いている。
【白鵬について】幕内で活躍していた旭鷲山の誘いを受け、2000年10月25日に6人のモンゴル人と共に来日。大相撲入りを目指して、大阪の摂津倉庫で相撲を習っていた。
猛虎浪、大想源、大河の入門が決まるなか、小柄だった彼を受け入れてくれる部屋は最後までなかった。失意の帰国前日12月24日、(帰国のチケットまで買った、出発の数時間前)、彼を哀れんだ旭鷲山が師匠である大島(元大関旭國)と会食中に相談し、大島は友人であった当時の宮城野(元前頭竹葉山、現熊ヶ谷)に受け入れを申し入れる。
こうして角界入りとなるものの、部屋の元力士に「若くてすらっとしている子」
という条件で連れてこさせた少年を見た宮城野は、父親の実績を知る由もなく、その小柄な体を見て大きな期待はしていなかったという。
しかし一方で、大きな手と足と腰を見て、もしかしたら化けるかもしれないと思い、入門してからの2ヶ月間は稽古をさせず吐く程に食べさせ、毎日牛乳を飲ませた。入門当時は175cmで68kgだった体も、熱心な稽古と食文化の違いを苦にせず大食漢だったことで、相撲の実力とともに体も大きく成長し現在も持続中である。
四股名は、横綱大鵬と柏戸に因んで柏鵬(はくほう)とする案があったが、色白だったことから白鵬と付けられた。
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