2010/11/25

現場(プロジェクトF)(1)

ネットワーク担当の体制は、トップに面接を担当していたPMが居て、その下に同じ元請C社のT氏、さらにバリバリの技術者が2人(1人はチャイナ人)の4人だ。実作業はPMを除く、バリバリ技術者のT氏以下の3人で行ってきていた。

 

今回の採用は、この夏から始まる「K省大規模Web系システムのインフラ更改」というミッションに向けた増員計画である。10人以上が一緒に面接をした「リーダー面接」で採用されたのは自分ひとりだったが、その後に行われた「メンバー面接」では、新たに3人の技術者が採用されたらしい。

 

後続の3人はWorkerの役割で、その3人をまとめるリーダーかと思っていると、PMから「オレの代わりの役目を期待している」と言われた。PMの月間稼動時間は優に300時間を優に超えていたらしく、そうした負荷を軽減していく役割が特に期待されていた。

 

が、いきなり「オレの代わり」と言われても

 

(まだ入ったばかりの自分に、数年もこのシステムに携わっているPMの代わりなど、おいそれと務まるかいな・・・)

 

というのが正直なところだ。本来であればPMと同じ社の後輩で、その役を務めるべきはT氏であったが

 

「あいつは、まだまだダメだから・・・」

 

などと、PMは常にT氏をボロクソに貶していたようにまったく信用しておらず、その人物に代わる役割も期待しているようだった。

 

なぜT氏は、PMからボロクソにこき下ろされているのか?

技術スキルは高いT氏だが、調整や折衝などトップに必須のコミュニケーションスキルや推進力がまったくない。おまけにいい加減な性格で、休んでばかりいた。

 

既存の技術者からも

 

「にゃべさんは、これからAさん(PM)の代わりですよ・・・」

 

と冷やかされ

 

「Tさんがいるのに・・・」

 

と言うと

 

「Tさんは、リーダーというタイプじゃないですよ。にゃべさんが頑張ってください」

 

などと、冗談交じりに言っていた。

 

最近はどこの現場に入るのにも、入場の手続きが段々と煩雑化してきている。契約が決まってから、実際に入場するまでに様々な手続きがあって、待たされたりすることも珍しくない。特に今回のような官公庁系のプロジェクトの場合、その傾向が益々顕著となるのが相場だったが、その点でこの現場は特に酷かった。

 

とにかく人手が必要だということで無理やりに人を突っ込んだのは明らかで、受け入れ準備がまったく整っていないのだ。通常、作業で使用するPCは現場側で用意するのが当たり前だが、この現場では

 

「作業用PCは、自社にて用意すること」

 

というルールがあった。

 

しかも

 

「入場日には、現場に到着していること」

 

という指示があり、さらに使用するPCの「条件」も

 

ü  HDDはデータが保存されていない新品であること

ü  BIOSOSのパスワードが設定されていること

ü  Windowsアップデートを行っていること

ü  ウィルス対策ソフトが入っており、ディスクのウィルススキャンを行っていること

ü  それらの結果、総て問題ないことを証明するエビデンスを提出すること

 

といった、細々とした指示が出ていた。

 

そこまで細かいことを言うなら、そっちで用意してくれと言いたいところだが、仕方がない。今回、所属することになったS社のD社長に用意してもらうことになった。

 

木曜日に面接、金曜午前に「OK」が出た後、土曜日にD社長自ら秋葉原に出向いてPCを購入、アップデートなどで深夜まで掛かって日曜に発送し、月曜の朝には宅急便で現場に届いていた。ところが当日現場に入ると、ネットワークは当初はワタクシが1人だけだったが、サーバ側は10人ほどが採用されていたため「席がない」という状況で、暫定として打ち合わせ用の長テーブルに新規参入の10人以上が雁首を並べて座らされることに。そんな状況だから当然PCの設置など出来るわけもなく、折角初日に合わせて送られてきたPCも、当面ダンボールに入ったまま眠らされるというバカゲタことになっていた。

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