2012/08/20

まな板の鯉(歯医者地獄)(4)

元々、我々患者は歯について素人であるというだけでなく、歯は自分では見えないものだから案外と自分の歯のことはわからないものである。実際に下の歯が痛いと思っていて、歯医者に行ったら「悪いのは上の歯だよ」と言われ、確かに叩いたら上の方が痛かったということもあったくらいで、自分の感覚などはまったく当てにならないものである。ましてや表面に見える側の歯ならばともかく、裏や奥の方の歯などは目で見ることすら出来ないから、まったく当てにもならない「感覚」だけに頼っているのが実情だ。

 

歯というものは11本が独立しているように見えるが、根は繋がっていると考えた方が正しい。そう考えると、極端に言えば歯科医から

 

「事実は、こうだ!」

 

と言われたら、自分では確かめようがないから

 

「ああ、そうですか・・・」

 

としか言いようがないのであって、医師から

 

「この歯が悪いから、治療しないといけない」

 

と言われれば、実際にはそれが健康な歯であっても、本当のところはよくわからない。今はPCなどを使ってレントゲン写真を見せてはくれるが、実際にどの程度の処置が適切であるかとなると、素人にはよくわからないことに変わりはない。

 

「コレは抜くしか方法がない」

 

と言われても

 

「ああ、そうですか・・・」

 

としか言いようがないのであり、あの数千万円といわれる椅子に寝たが最後、俎板の鯉同然に我々は歯科医の言われるがままなのである。

 

余談だが、歯医者が虫歯になったらいかに名医とはいえ、内科の風邪のように自分で診察は出来ないから、他の歯医者に行くんだろうなー。

 

それにしても初めて勤務医にかかって、あまりに呆気なく治療が終ってしまったせいか、逆に天邪鬼のワタクシとしては

 

(こんなに簡単に終るなんて・・・この際だから、歯石とやらも取ってもらおうじゃないの・・・)

 

などと考えたのが運の尽き(?)で、結果的にこれを切っ掛けとしてあのような泥沼に嵌ることになろうとは。

 

歯石を取って

 

(これで綺麗になったぞー!)

 

と喜んだのは、ほんの一瞬で

 

「歯石を取って綺麗にはなりましたが、取ってみたら虫歯が一本見つかりました。歯石がかなり溜まっていたので、最初見た時にはわからなかった・・・」

 

ということだ。

 

「かなり大きな穴が開いているので、次回は麻酔をして治療しましょう・・・」

 

ということで、結局は例によっていつもの「泥沼通院パターン」に片足を突っ込み始めたような状況となったものの、それだけ酷い虫歯と聞いては放置しているわけにもいかない。

 

ところで、ワタクシには「麻酔」に対するある種の恐怖感があった。恐らくは普通の人がそうであるだろうが、自分自身も最初は

 

(麻酔をするんだから、抜こうがなにされようが痛くはないはず・・・)

 

と鷹揚に構えていたものだったのだが、どうやら「麻酔が効きにくい体質」であるらしいのだ。

 

初めて麻酔をした時も、痛みを感じて

 

(麻酔してるのに痛いっての、ありかよ?)

 

などと痛みを堪えていたものだったが、治療の途中から痺れた感覚がやってきて、治療が終って帰宅し食事をする時になってから本格的に痺れて来た、などということもあった。

 

「麻酔が効きにくい」というよりは「効くまでに時間がかかる」体質というのが正確で、これは毎日酒を飲んでいるせいかも知れない。その証拠に、ある人が

 

「麻酔が全然効かなくて、家に帰ってからビールのみ始めたら効いてきて、ビールがダラダラと口から流れ落ちてきた」

 

という話を聞いて

 

「そこまでして飲みたいのか!」

 

などと、上司にからかわれている相手に

 

(同類、発見!)

 

と快哉を叫んだくらいである。

 

そして恐れていた通り「麻酔をしたのに痛い治療」となりながらも、何とか虫歯の治療を終えたまでは良かったのだったが・・・

2012/08/16

サッカーだけじゃない「なでしこ」の活躍(ロンドン・オリンピックpart8)

女子レスリングで「オリンピック三連覇」を達成した2人は別格とはいえ、やはり競技によってメダルの意味は異なる。相対的にメダルをたくさん獲得している競技よりは、過去にメダルを獲ったことがない競技の方に重みを感じるのは当然である。特に今大会は、団体競技でサプライズが続出した。その最たる例が、男子サッカーである。メダルは逃したものの、あの「日本のへボサッカー」の快進撃を誰が予想しえたであろうか?

 

同様に「元々、期待していなかった」女子バレーボールと卓球も「ビッグサプライズ」と言えた。女子バレーボールに関しては、偶然にも前日の男子サッカーが3位決定戦で「多くの日本人が最も嫌いな国(勿論、ワタクシもw)」に敗れた直後だっただけに「江戸の仇を長崎で」というヘンテコな盛り上がりを見せる中、見事にリベンジを果たした。これまで話題性ばかりが先行し、実力が伴ってこなかった女子バレーボールであり、まったくの予想外の収穫と言えるところへ、木村沙織や狩野舞子といった人気の高い「美形選手」の活躍もあり、大いに盛り上がった。過去にも、木村のように期待されながらマスゴミに圧し潰されたのが大山であり、同様に怪我が多く評判倒れに終始したのが栗原といったエースであった。

 

「栗原、大山と比べたら、線が細く小粒なのでは?」と思っていた木村がこれまで大きな怪我もなく、またマスゴミや人気に圧し潰されもせずに、今や栗原以上のエースとして堂々と君臨し、遂に見事な躍進の原動力となったのは、いかにも日本人の喜びそうなストーリーである。が、その蔭には、長年「弱い日本」を支え続けてきた竹下の存在も忘れることはできない。

 

同様に、女子卓球の「銀」は、これまたビッグサプライズである。女子バレーボール同様、これまで人気に実力が伴わなかった、なんともじれったい存在が福原であった。ところが、ここに石川という新エースが、まさに「彗星の如く」に現れ様相が一変した。惜しくもメダルにこそ届かなかったが、シングルスでの石川の目の覚めるような活躍が、その後の「団体銀」への躍進に繋がったのは間違いない。

 

その上、この石川が19歳と若く「美形」と来ている。幼少のころから注目され、重荷を背負わされ続けてきた「おしん」福原には常に悲壮感が漂い「楽しめる要素が少なかった」だけに、石川の伸び伸びとした溌剌としたプレーは、スポーツの魅力を余すところなく伝え、見る者の胸を打った。

 

さらにメダルの掛かった団体戦準決勝では、福原を押し退けてダブルスにも登場するなど「銀」の立役者となる大活躍も目を瞠った。これぞ、まさに日本人の好きな「一生懸命頑張る姿」であり、それを見事に体現したのが石川であった。だが、ここに至るまでには「福原の長年の頑張り」という下地があったことも、律儀な日本人はまたしっかりと覚えているのである。

 

このオリンピックは、女子の活躍が目についた。バレーボールも卓球も「日本人だって、やればできるのだ!」という気にさせたのは、やはり「なでしこ効果」の齎した賜物と言えるだろう。正直を言うなら「銀メダルだって凄い!」と「銀」で満足のコメントに大いにガッカリしたのが本音ではあるが、それでもW杯以来の「なでしこ」の活躍が「女子は凄いが、男子はふがいない・・・」という論調に繋がったのは間違いない。

 

個人総合で「金」に輝いた体操の内村は、実力からすれば種目別と併せて複数の「金」が期待されただけに、正直なところ物足りなさが残った。これは日本選手の中に、内村のライバルとなるような選手がいないことが原因ではなかろうか。田中では明らかに役不足であり、そんな中でも「金」&「銀2」は立派には違いないが。

 

そうした状況下、最後の最後でボクシング・ミドル級の村田選手が「金」を射止めたのは、実に痛快であった。これこそ、48年ぶりの快挙であるとともに「女子は凄いが、男子はふがいない・・・」という停滞感を一気に吹き飛ばすような、実に値千金の爽快な「金メダル」と言える。

 

「僕は才能があってこういう金メダルを取れたわけであって、その上で努力はしましたけど、本当にすごいのは僕を支えてくれる家族であるとか、職場の人たち、日本アマチュアボクシング連盟の方々、何より僕にボクシングを教えてくれた武元先生こそが称えられるべき人間であって、僕はただ少し才能と努力があっただけです」

というコメントが、また素晴らしいではないか。

 

そして最終日。男子マラソンは予想通り「入賞一人」が賞賛されるほど目を覆うばかりの惨敗に終ったが、そのヘッポコマラソンの蔭に隠れるような形で「伏兵」扱いだったレスリングの米満選手が、見事に「金メダル」を獲得した。今や「王国」を築いた女子の前に、すっかり蔭が薄くなった男子レスリングだが、今回はこの「24年ぶりの金」を筆頭に銅が2つ。男女合わせると「金4個」と、日本が獲得した金メダルの半数以上を占めた。

 

ところで、これまで女子バレーの木村や卓球の石川ばかりをエコヒイキしてきたようかったに思うかもしれないが、その実最も感動したのは表彰式まで涙が止まらなかったレスリングの小原であるから、満更「美形」にばかりうつつを抜かしていたわけでではない。

 

柔道の不振は目を覆うばかりだったが、今大会はこれまでのお決まりの競技ではなく、フェンシングやアーチェリーなど色々な競技で日本選手の活躍が目についたのは、大きな収穫と言える。特にフェンシング準決勝土壇場の大逆転劇は、まさに「筋書きのないドラマ」そのものであり、普段は馴染みのない競技にスポットライトを当てた意義は大きい。特に「なんとしても日本にメダルを持って帰る」と言うような大田の気迫が凄まじかった。

 

蛇足として、最近のアホな義務教育のせいか「日の丸、君が代はダサい」などという声を耳にするが、あの白地に赤丸というシンプルで美しいデザインの国旗は二つとない。かつて、イギリスだかフランスの政府が「売ってくれ」と打診してきたと言われる通り、やはり見る目のある人々には高く評価されているのである。

 

「君が代」についても「軍国主義」などとこじつけるのは愚の骨頂で、あのような独創的かつ神秘的な国歌は、世界に二つとない誇らしい傑作と言える。もっとも国旗に関しては、なにかと文句ばかり言っている「某国」に「そんなに日本が嫌なら、サル真似はほどほどにしてデザインを変えればいい」などと、最早言うも面倒なのだがw

2012/08/12

日本流儀(ロンドン・オリンピックpart7)

男女合計14階級で「金」が「たった一つ」に終わった柔道。男子に至っては、オリンピック史上初の「金メダル0」という、歴史的惨敗に終わった。

 

かつては日本の「お家芸」と言われた柔道で、メダルが取れなくなってきた理由は、大きく2つあると見る。一つは、かつては世界的に見て競技人口が少なかったが、オリンピックなどを契機として世界中に広がっていったこと。本来、柔道というのは空手などと同様に「武道」であって「スポーツ」ではないが、外国選手にはおそらく「武道」などという概念はないから、柔道も「JUDOというスポーツ」の一種となった。だから外国における「JUDO」は、他の競技同様に「ポイントを競うスポーツ」へと変化している。

 

オリンピックの種目として世界に広まっていく段階で「柔道という武道の精神」などはどこかに置き去りにされ、単に「ポイントを競うスポーツJUDO」へと変わっていった。あの見苦しい「青い柔道着」こそは「スポーツJUDO」の象徴である。これは、あくまで「一本勝ちこそ柔道の美学」とする日本の「柔道」とは、まったく別物と言うべきである。あくまで綺麗な一本勝ちに拘る「日本の武道」と、不細工でも反則でもなんでもとにかく勝てばよいという外国の「スポーツJUDO」が戦うのだから、これは日本が不利なのは明らかである。

 

この図式は「国技」の大相撲にも通じる。かつての小錦や曙といったハワイ力士などは、最たる例である(モンゴルの場合は、日本の相撲に相当する「モンゴル相撲」の下地があるだけに、ハワイとはまったく異なる)。まさに圧倒的な体力にものを言わせるだけの「おしくらまんじゅう」であり、技も国技の精神もヘッタクレもなく、ただただブルドーザーのように闇雲に突進するのみであった。無能無策であっても、ただただ肉の圧力だけで土俵の外に押し出してしまえば勝ちという、あのハワイ力士の相撲は「SUMOというスポーツ」であり、それは力こそ正義の世界で「国技の精神」などは微塵も入る余地はない。

 

柔道の場合は「体重別」とはいえ、同じ体重でもやはり骨格の太さ、或いは肉食人種の筋肉が優れているのは自明である。相撲同様、柔道でもパワーは重要な要素だが「柔よく剛を制す」というように、単にパワーが強く大きければ良いというものではない。要するに、日本の「柔道」と外国の「judo」はまったく別物であり、日本が勝てなくなった理由は、まさにこれに尽きる。そして、オリンピックなどの国際大会では、もはやこの流れを変えることはできない。

 

となれば、日本の取るべき道はオリンピックなどの国際大会には背を向け本来あるべき「柔の道」を貫くか、あるいは「柔の道」と「スポーツJUDO」で勝つための「姑息なポイント稼ぎ」のスキルを追求する、この二つを分離して育成するかであろう。いずれにしても、今のように「一本勝ちの美学」に拘りながら、国際大会でも勝とうという中途半端な姿勢では、掛け逃げあり反則ありと勝つためには手段を択ばない「醜い柔道」の外国勢に太刀打ちできないことは、もはや明らかとなっている。それどころか、今回の代表選手に関しては簡単に一本負けを食うなど、あのYAWARAさんも指摘していた通り「武道家としての風上にも置けないようなヘボ集団」としか言いようがなかった。

 

「二兎追うものは一兎も得ず」という。ましてや、今回の代表団のような中途半端な実力ではなおさらで、今後は「武道・柔道」と「スポーツJUDO」を分離した育成を行うべきである。

 

これは必ずしも柔道に限った話ではない。日本と外国とでは、そもそも「勝負」に対する考え方が大きく異なる。「勝てば官軍」というのが「世界の常識」であり、バレさえしなければ反則でもインチキでも何でもやる。幾らクリーンであっても負けては価値がなく、裏を返せばダーティであっても「勝者」こそがヒーローだ。「金メダリスト」の称号は後世に残るが、内容などはすぐに忘れられてしまうのだから。

 

これに対し日本の場合は「一生懸命に頑張る姿」が、なにより尊ばれる。「一生懸命に頑張る」などは、名もない市井の社会人でも「当然の前提」である。ましてや「オリンピック」などという一生に一度の晴れ舞台、ここで頑張らなくてはいつ頑張るのかと言いたくもなるが、驚いたことに「結果よりも、一生懸命に頑張ることが大事」などと子供じみたことが、大の大人はおろか時には専門家の口からも真顔で吐き散らされるのである。

 

それも道徳教育のような「建前」かと言えば、決してそうではないところが日本人のユニークなところで、これが結構「本気」の発言だったりする。なによりインチキや不正などはもっての外であり、そのような「姑息な手段で獲得したメダルなんぞは一文の価値もない」という風潮が根強い。冗談ではなく「内容の伴わない勝利」ならば「正々堂々と戦って敗れた方が、遥かに評価される」のが日本である。

 

再び外に目を転じれば「メダル大国」のアメリカやイギリス、フランスなどは、黒人選手が大活躍している。無論、あれらの黒人選手は、本来ならば象牙海岸などアフリカ某国の代表でなければならず、実際には欧米とは何の関係もないはずなのだが、それでも白人たちは国旗を振って涙を流して喜んでいるではないか。その傍らで当の選手たちは、地べたに這いつくばってアッラーの神に祈りを捧げている。翻って日本は、ほぼ純血だ。仮に在日外国人の日本代表選手が金メダルを取ったとしても、あれほど手放しで喜ぶことは絶対にない。「負けても弱くてもいいから、日本人が世界を相手に頑張る姿」が、真に日本人の感動を呼ぶのである。

 

たとえばサッカーや陸上の「4×100」リレーに、それぞれ強力な外国人選手が入っていれば、メダルのチャンスも充分にあったろう。殊に黒人選手の独壇場ともいえる陸上短距離のあの陣容の中で、日本の4人がファイナルに残るというのは大変なことであり、メダルよりも黒人選手に囲まれて「日本人4選手が頑張った」こと自体が、なにより感動を呼ぶのである。なんだかんだとケチをつけているワタクシも、実は理屈を超えて多くの日本人と同じ感情を持っているのは、もはや「遺伝子」というレベルかもしれない。傭兵を雇ってまで、無理して「世界の常識」に迎合する必要はまったくない。たとえ1つか2つしか取れなくても「正々堂々と戦って日本人に獲ってもらいたい」という願望である。

 

その日本が、今大会は予想外に多くのメダルを獲った。「金」こそ7個に終わったものの、メダルの合計「38」は過去最多でアメリカ、チャイナ、ロシア、イギリス、ドイツに次ぐ6番目だから立派なものだ。このうちアメリカ、イギリスは黒人ら「傭兵」で多くを稼いだイカサマであり、チャイナは人口が日本の10倍以上だからそもそも比較の対象外である。

2012/08/11

「人類最強」の日本女子(ロンドン・オリンピックpart6)

メダルはたくさん獲りながら「金」メダルがなんとも遠い。大会12日目まで「金」が僅か「2個」と停滞していた日本に、ようやく待望久しい金ラッシュが訪れた。

 

以前に、体操の内村を「最も金メダルに近い選手」と書いたが、考えてみれば内村以上にガチガチの本命が存在していた。前回オリンピックの「大本命」と言えば、女子レスリングの吉田だった。そして今回は、同じ女子レスリングの伊調だ。なにせ、不戦敗を除く実際の試合で「150連勝」という実績が、燦然と輝く。20035月以来、10年近くも負けたことがないというのだから、世界中のどの競技を見渡してもこれほどの「絶対王者」が居るだろうか?

「世界選手権7連覇」、「オリンピック3連覇」と、出場した10大会で全て優勝とどれを見ても桁外れて物凄いのである。

「終わったら金だったという普通の感じ」と言うから、なんとも次元が違い過ぎる。万に一つも金を取れないような事態になったとしたら、その方がよほど大ニュースになりそうな逸材である。

 

が、その伊調のさらに上を行く実績の持主が、吉田であった。「オリンピック3連覇」、「世界選手権9連覇」、「アジア大会3連覇」、「アジアレスリング選手権5連覇」と「1996年以降出場した国際大会合計27大会で、すべてが金メダル」という前代未聞の怪物である。だが「怪物」とはいえ生身の人間だけに、遂に「翳りが出てきた」と言われた。それだけに、前回のような「絶対王者」とは言えなくなりつつある状況だったらしい。それでも「金」という結果は、やはりただ者ではない。

 

この2人は「別格」だが、さらに女子レスリングでは最初に登場した小原が、まさに「執念の金メダル」を捥ぎ取ったのが印象強い。テレビで繰り返された通り、この選手のオリンピック出場までの茨の道程を思えば、一層感動も強まる。思えば伊調も小原も、吉田を避けるために階級を変えた選手である。残る1階級のハマグチだけは「予想通りの惨敗」に終わり「全階級制覇」の大金字塔は逃した。とは言え、いずれも本命視されながら3階級での「金」独占は、実に圧巻であった。

 

この日は、さらにもう一つの「金」が期待された「なでしこJAPAN」だったが、残念ながらアメリカに惜敗し「銀」。さらに「奇跡の快進撃」を演じてきた女子バレーボールも、遂に敗退して3位決定戦に回る。男子サッカーに続き、女子バレーボールまでが「世界一対戦したくない相手」との3位決定戦となったのは、実にやりきれない。

 

それにしても、わざわざこの時期を狙って、ここぞとばかりくだらない話題作りに血道を上げ、存在感をアピールしようという、さもしい性根のクソ政治屋どもが恨めしい。ドサクサ紛れに消費税アップという姑息な小細工弄し、オリンピック中継の邪魔をしているアホッぷりが、なんとも許しがたいではないか ヽ(#`皿´)

2012/08/08

なでしこJAPAN、二冠を目指す(ロンドン・オリンピックpart5)

男女ともに準決勝進出という奇跡の快進撃を続けたサッカー。先陣を切って、女子がフランスと対戦した。

 

開始直後から、動きの良い日本。面白いようにパスが繋がる展開で先行すると、前半だけで2点を取る思わぬ展開となる。なでしこが強すぎるのか、はたまた強豪と見られたフランスが弱いのか、いずれにしろ願ってもない展開のまま、殆ど一方的なまま前半が終了した。

 

(なんせ「なでしこ」は、あのブラジルにも2-0だから、満更でもないか。これは案外と楽に勝てる?)

 

などと楽観死したものの、さすがにそうは甘くない。2点リードという余裕を持ちながら後半に突入するや、前半とは別のチームかと目を疑うばかりに、息を吹き返したフランスの怒涛の攻撃だ。まさに「怒濤のラッシュ」というのがピッタリの、10本を優に越えるシュートの嵐が吹き荒れる。身体を張って、必死に守るDF陣。どれもが得点に繋がってもおかしくないような場面の連続だったが、ファインセーブを連発するGKの守りは鉄壁だ。

 

2点差とは思えない、緊迫感に溢れた手に汗を握る攻防。なんとか綱渡りで相手の猛攻を凌いできたが、遂に鉄壁の守りが破られる。まだ1点リードしているとは言え、流れは完全にフランスペースだ。逃げ切るにはまだ時間が沢山ありすぎるが、依然防戦一方で攻撃の糸口さえ掴めないジリジリするような展開の中、遂に決定的な場面が訪れた。

 

PK

後半の一方的な流れを見る限り、ここで同点に追いつかれるのは負けにも等しい。 まさに絶体絶命。この目を瞑りたくなるような場面で、奇蹟の神風が吹いた。

 

フランス、まさかのPK失敗!

 

(やはり、勝利の女神は日本に微笑むのだ!)

 

と思いつつも、いつ追いつかれてもおかしくないギリギリの正念場は、なお続く。日本にもようやく訪れた決定的な場面にも僅か一本が決められず、逆に相手も決定的な場面を何度も作りながら、なかなかゴールを割ることは出来ない。ゴールは遠そうだか、ともかくこのまま逃げ切れば良いのだと思う、こうした時の残り「5分」のなんと長いことか!

最後まで続いたフランスの猛攻を耐え凌いだなでしこは、手に汗握る死闘を制し遂に「決勝進出」という栄冠を掴み取った。

 

なでしことともに「アベック決勝」が期待された男子は、残念ながら準決勝でメキシコに完敗。決勝に進出した大健闘の女子卓球団体は、予想通りC国に完敗を喫した。一方、女子バレーボールはC国を破るまさかの金星を上げ、誰も予想していなかった(?)「24年ぶりの準決勝進出」という快挙を達成。そして浜口を除く3階級で金メダルが大いに期待できる、女子レスリングが始まった。

 

それにしても、女子バレーは綺麗な選手が多くなったねー (*^m^*)

2012/08/06

競泳メダルラッシュと男女サッカーの快進撃(ロンドン・オリンピックpart4)

競泳陣のメダルラッシュが素晴らしい。

 

ここまで日本の獲得したメダルの総数は「24」、そのうちの半数近い「11」が競泳で獲得したものである。もちろん、これは「史上最多の快挙」だ。中でも圧巻だったのが最終日の「400メドレーリレー」で、男子が「銀」、女子は「銅」とアベックメダル獲得で締めくくったのは、まことに象徴的であった。

 

言うまでもなく、メドレーリレーは4つの異なる種目の選手で競うリレーであり、日本競泳陣が総合的な力を備えていることを証明した。競泳には、これまで北島という「絶対王者」がいたものの、その分「北島頼み」というところもあった。その「絶対王者」は遂に王座から滑り落ちたとはいえ、次々に新星が登場してくるという目まぐるしい展開で、すっかり蔭の薄くなった柔道に代わって大活躍だった。

 

しかしながら、なんといっても競泳以上のサプライズはサッカーである。ワールドカップ優勝という実績ある女子はともかく、これまでは「ヘッポコ」の代名詞だった男子サッカーの目の覚めるような快進撃は、ある意味このオリンピックで最大のサプライズとも言える。あくまでフル代表ではなくU23代表とはいうものの、子供のころから長年ワールドカップを見てきた自分としては、日本の男子サッカーが「世界の4強」になる日がこようとは、夢以上の信じがたい思いだ。しかも、男女ともに4強である。

 

が、問題はここからだ。これまで他の競技を見ても準決勝、決勝と進みはするが「決勝の壁」がなんとも厚い。大健闘したバドミントンの女子ペアも「歴史的な大健闘」に意義を挟む余地はないが、決勝は明らかに力負けだった。メダルラッシュに沸いた競泳陣と言えど、こと「金」となると一つも獲れていない。また個人総合に続く「金」が期待された内村も、種目別は「銀」に終った。すでに「銀」と「銅」は10個以上を獲得しているだけに、正直喉から手が出るほど欲しいのは「」のみである。

 

残る競技で「金」メダルの有力候補と目されるのは、女子レスリングの吉田、伊調くらいか。確度は下がるが、ハンマー投げの室伏も幾らかは期待できる。こうなると、本来なら金メダルが有力視されるはずだった野球やソフトボールがなくなったのは、やはり大きな痛手だ。日本が金メダルを獲得する競技は、オリンピックから消える運命にある。

 

準決勝進出を決めた卓球団体も「C国の壁」を破るのは至難の業だろうし、女子マラソンに至っては入賞はおろか16位が最高というテイタラクで、最終日の男子も期待できそうにない。となれば、益々男女サッカーの「歴史的快挙」に期待してしまうではないか

と書いた後で、フェンシング(フルーレ団体)の準決勝。土壇場で粘りを見せ残り1秒で同点に追いつき、延長でドイツを下して決勝進出。

2012/08/03

ノートPC劇場(後編)

 ところが、数日後にたまたまあるCDをダウンロードしようと、DVDドライブをUSBインターフェースに挿し込むと、これがまたまったく無反応なのである。


 (そんなバカな・・・実は、部品交換などしてないんじゃないのか?)


 と疑いつつ、前回同様にUSBメモリやマウスで試しても、やはり反応がない。念のため再起動してみると、今度はUSBメモリ、マウス、外付けHDDなどは、すべて認識された。


 が、最後に問題のDVDドライブを挿し込むと、これがやはり無反応だ。


 こうなると、さすがに


 DVDドライブがおかしいんじゃ?)


 と思わずにはいられない。


 (なぜ最初から、そこを疑ってみなかった?)


 と思うかもしれないが、実際には最初も


 DVDドライブがおかしいのか?)


 と思う場面もあったのだ。ところが、その後に今度はUSBメモリやマウスで試した時も同様の事象が出たため、USBインターフェース自体の不具合と結論付けたのだった。

 

 が、振り返ってみれば、USBメモリやマウスなどが認識されなかったのは、確かに「DVDドライブを挿し込んだ後」だっただけに「DVDドライブを挿し込むと、動作がおかしくなる」ことが判明したのである。その証拠にUSBメモリやマウスに関しては、再起動後はちゃんと認識されたではないか。もしPCUSBインターフェースがおかしいとなった場合、再度DELLに送らなければならぬ


 ということは、またしても工場出荷状態に戻さなければいけないわけで、さらにその後にはまた苦労してデスクPCからデータをコピーしなければならない。


 こうした面倒を考えると


 (DVDドライブが原因であってくれ!)


 と祈るような気持ちだった。


 そうして新宿ヤマダ電機にDVDドライブを持ち込むと、デモ機のVAIOでもやはり無反応である。同じメーカーの製品は信用できないからと、同価格帯のIO DATAの製品で試すと、これは問題なく認識される。念のため持ち込んだPCでも試してみたが、3つのUSBインターフェースのいずれも問題なく動作が確認できたことで、明らかに「B社製DVDドライブの初期不良」が決定的となった。


 まことに精密機械の故障というのは原因特定が難しいもので、数ヶ月前に購入した電機シェーバーでも「不可解な初期不良」があったばかりだった。I精機というメーカーの「1時間充電式」タイプで「1時間充電で約20分間使用可能」と書いてあってのが、充電せずに使用したに関わらず7回くらい使えた。その時点でおかしかったが、さらに1時間充電式」のはずが使いきった状態で充電しても30分程度で充電が終ったり、それでいて10回くらい使用してもバッテリーがなくならないなど、最初から動作がおかしかったが1ヶ月も経たないうちに動かなくなった


 正確には充電したままの状態(交流)では動くが、充電を止める(直流)とウンともスンとも動かないのである。早速ヨドバシカメラに持ち込み「初期不良」で交換したはよかった。交換したのは、同じ製品である。


 店員によると


 「イズミのは、大変良く売れていますよ。性能的に同ランクでも、P社やH社など大手メーカーより割安ですからねー」


 ということだった。ところが不可解なことに、交換した製品は2ヶ月くらいは正常に動作していたのが、突如として動かなくなってしまったのである。しかも今度は交流でも動かないのだから、まったくどうしようもない。再度、ヨドバシカメラに持ち込み、差額を払ってP社の製品に変えた経緯があった。


 このように、最初の場合は明らかに初期不良というのがわかるが、2度目のは2ヶ月程度は問題なく使用できていただけに、原因の特定は不可能だ。シェーバーですらこれだから、比較にならないくらい精密なPCの動作不良とあっては、最早お手上げなのである。


 とはいうものの、最初にDVDドライブを交換していれば簡単に解決していたはずなのは確かで、後知恵とはいえ無駄に部品交換してもらったDELLには、チト悪い気がしないでもない。

絶対王者の復活(ロンドン・オリンピックpart3)

このオリンピックで「金最有力」と目されていたのが、体操男子の内村だ。

 

その根拠はといえば「2009年から2011まで世界選手権三連覇中」という、これ以上は考えられないほど輝かしい実績である。もっと解りやすく言うなら、前回オリンピック以来、一度も負けていない無敵の王者と言うべきか。その「前回オリンピック」も「銀メダル」なのだ。

 

この実績を見て、誰が「金」を疑うものか?

ところが、やってみなければわからないのが「勝負の世界」というのものである。いかに「精密なロボットのよう」であっても、生身の人間であるからには「絶対」ということはない、と改めて痛感させられたのが、この数日である。そうは言っても「予選9位」というのは「まさか」かとしか言いようがなかった。

 

これだけでも充分に驚きに値するのたが、さらに団体戦での不振が「絶不調の証明」だった。前回も触れた通り、エースとして大車輪の働きが期待されながら、日本を金に導くどころか、むしろ足を引っ張っていたのが実情だ。繰り返しになるが、最後のあん馬でかつて見たことのないような、あの着地の「不細工なミス」が目に焼きついている。あまりに不細工だったせいか、史上稀に見るお粗末なレフェリーの誤審を招いたのは必然であったが、あわや土壇場でメダルを逃す「立役者」になりかねない醜態である。

 

「世界チャンピオン」たる本人ですら「なんでかわからない」というほどの重症であり、それから何日も経っていないだけに、この個人総合も期待は尻すぼみだった。そんな「針の筵」のような状況の中でこそ、真に「悩める絶対王者」の真価が問われた。実際「絶対王者」の実力を思えば、恐らくは本来の出来には遠い内容だったろう。最も得意とされる床で尻餅をつきかけるなど、またしてもヒヤヒヤさせられたものの、幸運にも有力選手が相次いでミスを犯した結果、念願の「金」に結びつけたのは、やはり「絶対王者の実力」と言うべきかもしれない。

 

目を覆うばかりの低調を極めているのが、男子柔道である。この日も早々に2回戦で破れ、いよいよ「金ゼロ」という「前代未聞の屈辱」が濃厚となった。ここまで日本が獲得した金メダルは、合計で僅か2つだが「銅メダルラッシュ」となった競泳のお蔭で、メダル総数では疑惑のC国と黒人頼みのアメリカに次ぐ3位という健闘ぶりだ。それだけに、なおさら「金」を獲るのが如何に至難かと思わずにはいられない。

2012/08/01

「絶対王者」の迷走(ロンドン・オリンピックpart2)

三日目にして、やっと「金」が誕生した。

 

女子柔道の松本。内容的には、それほどではなかったものの、この最悪スタートの「惨敗的状況」においては、なにより「金」という結果こそが尊い。とはいえ良かったのは松本のみで、情けないことに「アベック金か?」と期待した自分が愚かしくなるような、男子の中矢の決勝は「惨敗」だった。

 

この後、続く四日目も「金」が期待された女子の上野が敗退したばかりか、男子に至っては遂にメダルすら届かず未だ「金ゼロ」という惨状を呈している。が、なんと言っても期待外れの大本命は、体操男子の内村である。この大会で最も「金」の有力候補と目され、1人で複数のメタルが期待された内村が予選から信じ難いミスの連発だから、ア然ボー然だ。種目別での予選通過が「たった一種目」にも驚いたが、さらに団体戦でも不振を極め最後の最後まで「チームの足を引っ張る立役者」になろうとは!

挙句の果ては、クソ判定にも加担して「あわやメダルなし」の悪夢の道先案内を務めるという、まさかのお荷物ふりを発揮したから堪らない。無論「ド素人レベルのヘボ審判」はハナから論外とは言うものの、普通では考えられないミスが「世紀の誤審」を招いたという見方も出来る皮肉さで、それを象徴したのが土壇場のあん馬で見せたお粗末なフィニッシュであった。

 

断っておくが、決して個人攻撃をしたいのではない。なんと言っても、他でもない「世界選手権三連覇中」という圧倒的な実力を持つのが内村なのである。世界選手権もオリンピックもやることは同じはずなのだから、この大舞台でのテイタラクでは「世界チャンピオン」の名が泣くじゃないか、と残念でならないのだ。

 

この大会三日目は競泳で三つの銅を獲るなど、柔道と併せてメタルラッシュとなり、メダル獲得数は一気に10個の大台を超えた。とは言え「金」となると、たった一つだけに「金を獲るのはいかに至難か」を痛切に感じる。そうした中、女子卓球・石川選手の「史上初の準決勝進出」という快挙が「ひっそりと」生まれた。言うまでもなく、女子卓球と言えば福原ばかりが持て囃され、その蔭に隠れてきた石川選手の快挙は、あくまで「ひっそり」なのだ。実のところ、石川選手を見たのはこれが初めてなのだが、人気先行で不景気な表情の福原よりよっぽどカワイイじゃないかと思うのはワタクシだけか?

 

「万里の長城」とも言えるチャイナの壁が聳える卓球だけに、ここから勝っていくのは並大抵ではないだろうが、さらなる快挙に期待したいものである。