2006/01/31

氷上のバレリーナ(フィギュアスケート特集part3)


 さらに、別のサイトから引用。

<活躍が目立つ日本女子フィギュアジュニア世代の近年、国際舞台における成績です。

200112月 ジュニアグランプリファイナル スロベニア(ブレッド)
1
位 安藤美姫(14歳・愛知)

3
位 鈴木明子(16歳・愛知)
5
位 中野友加里(16歳・愛知)
6
位 太田由希奈(15歳・京都)

20023月 世界ジュニア選手権 ノルウェー(ハマー)
2
位 中野友加里(16歳)
3
位 安藤美姫(14歳)
9
位 太田由希奈(15歳)

200212月 ジュニアグランプリファイナル オランダ(ハーグ)
1
位 太田由希奈(16歳)

3
位 安藤美姫(15歳)= 4回転に成功

20033月 世界ジュニア選手権 チェコ(オストラバ)
1
位 太田由希奈(16歳)

2
位 安藤美姫(15歳)
4
位 浅田舞(14歳・愛知)

200312月 ジュニアグランプリファイナル スウェーデン(マルム)
1
位 安藤美姫(16歳)

4
位 浅田舞(15歳)
8
位 北村明子(15歳・京都)

20043月 世界ジュニア選手権 オランダ(ハーグ)
1位 安藤美姫(16歳)
4
位 浅田舞(15歳)
5
位 澤田亜紀(15歳・愛知)

200412月 ジュニアグランプリファイナル フィンランド(ヘルシンキ)
1
位 浅田真央(14歳・愛知)

6
位 北村明子(16歳)
7
位 澤田亜紀(16歳)
8
位 武田奈也(16歳・東京?)

20053月 世界ジュニア選手権 カナダ(キッチナー)
1
位 浅田真央(14歳)

9
位 澤田亜紀(16歳)
14
位 北村明子(16歳)

太田は、2002-2003シーズンにジュニアグランプリファイナルと世界ジュニア選手権を制し、シニアに上がった2003-2004シーズン、17歳で国際大会シニア初優勝を遂げます。

20041月 四大陸選手権 カナダ(ハミルトン)
1
位 太田由希奈(17歳)

6
位 中野友加里(18歳)
8
位 恩田美栄(21歳・愛知)

 このあと2004-2005シーズンからは、怪我に苦しみます。2005-2006シーズンも村主、荒川、恩田、中野、安藤らとトリノを目指す「6」だったものの、怪我のために派遣予定だったGPシリーズのNHK杯を欠場。トリノへの道も閉ざされました。

これによりGPシリーズ・スケートカナダにしか出場出来ず、GPファイナルを望めなかった中野友加里が太田の代わりにNHK杯に派遣され優勝。GPファイナル出場権まで獲得し、そこで3位となりトリノ候補として最後まで素晴らしい戦いを見せてくれました。中野には失礼な「シンデレラ」などというキャッチコピーが生まれた裏には、太田の怪我も関わりがあったのです>

<その太田とは、私が見てきた中で一番、表現力のある選手です。指先まで気を抜かない手の動きも素晴らしく、上半身だけ見ていても飽きません。演技と音楽の調和を、強く意識しているようにも感じられます。ジャンプが苦手なのか、よく転んだり着氷が乱れたりしますが、彼女の演技にジャンプなどいりません。  ジャンプに割く時間を踊りに充てて欲しいので、むしろ跳ばないで欲しい(無理)、そんな選手です>

<今年(2005年)のジュニアグランプリファイナルは、太田が優勝した世界ジュニア選手権(2003年)の開催地、チェコ(オストラバ)で行なわれました(中略)

右上には浅田真央のライバルになりそうな、今大会優勝者ユナ・キムの写真。 その左下に太田の代名詞でもある、美しいイナバウアーがフィーチャーされた今大会のサインボードの写真があります。イナバウアーと言えば、トリノ代表に決まった荒川の深く反るあれも美しく有名ですが、私は太田のイナバウアーの入り方、形の美しさ、終わり方の一連の流れが好きです>

太田由希奈 2003 世界ジュニア選手権SP 死の舞踏

 四大陸選手権で優勝した17歳の太田の演技の動画です。

Yukina Ota 2004 Four Continents SP Yukina Ota Four Continents Championship 2004 F.S.
 
音楽に乗った彼女の演技。全体的に美しい。前述のイナバウアーを迎えるのは245秒過ぎ・・・美しい。その後に続くフリーレッグがピンと伸びたきれいなスパイラル、330秒あたりのレイバック、ラストのフライングシットの入り方、足先まで美しいY字スピン。長いリハビリ生活で、このまま終わってしまうには惜しい。来シーズンは元気に復帰して、素晴らしい演技を魅せて欲しい選手です>(某webページから引用)

4回転ジャンプに成功した安藤を抑えて優勝した「2002ジュニアグランプリファイナル」の演技は、奇しくもトリノ五輪で金メダルに輝いた荒川と同じ『トゥーランドット』だ。16歳とは思えない表現力の豊かさは「氷上のバレリーナ」と称されたほどであり、高度な技術力を誇る浅田とはまた違った才能がキラリと光る。

これまでのジュニア時代の実績では、三人の中で一歩リードしている太田由希奈、そして惜しくも五輪出場は逃したがここへ来てグングンと力を付けて来た中野、年齢的に見てこれからの努力次第では最も伸びる可能性のある安藤と、それぞれが持ち味を伸ばして競っていく事になるのだろう。

トリノ五輪では荒川が素晴らしい演技で、日本人初めての金メダルを獲得したが、現時点において次の五輪の代表となるであろうと目されるのは間違いなくこの新しい世代であり、さらに才能では遥かに上を行く見られる浅田を含め、さらに熾烈な争いとなっていくのだろう。そうして切磋琢磨の末に、誰が金メダルを獲ってもおかしくないような陣容が組めれば理想的である。

フィギュアスケート王国造りの基礎は荒川、村主らにより既にトリノで完成しているのだから、それを不動のものとしていくのが彼女らに託された大きな使命である。その時には唯一、既に五輪という大舞台の怖さ、そして素晴らしさを身を持って体験した安藤には、エースとして頑張って貰わなければ困る。そうなってこそ、代表に選ばれた事が意義深いものになるのであり、浅田とともに安藤への期待は今後、益々大きなものとなっていく事だろう。

2006/01/30

埋もれた逸材(フィギュアスケート特集part2)

 裏事情はともかくとして、表向きは有力六選手による熾烈な代表争いの最終選考会となったのが、年末に行われた全日本選手権である。結果的に五輪代表に選ばれた荒川、村主、安藤と、代表の座を逃した中野、恩田、そして実力的にはナンバーワンだった浅田という、かつてないような豪華な顔触れだったが、本来はここにもう一人有力な選手が登場していなければならないはずであった。

 その選手とは、太田由希奈・・・「太田由希奈」と訊いても、恐らく一般的には名前すら殆ど知られていない存在である。ましてや、彼女のスケーティングをTVででも観た事のある人は、滅多にいないだろう。実を言えばワタクシ自身も、つい最近まで名前すら訊いた事がなく、インターネットの動画で初めて演技を目にしたくらいであった。

先に「もう一人、いなければならなかった」と書いたが、実はより正確に言うなら、本来は中野のところに太田が入るはずだったのである。

元々、代表争いの資格を満たしていなかった中野は、太田の怪我による長期戦列離脱によって棚ボタとしてチャンスを手にしたのであり、そこから急成長してGPシリーズで表彰台に立つほどまで、躍進を遂げたのだった。

代表選考について「三人目は安藤ではなく、中野を選ぶべきだった」という声を少なからず耳にしたが、それでは太田がいればどうだったか。万全の体調であれば安藤は言うに及ばず、過去の実績からしても中野よりは上にいったとしてもまったくおかしくはない(以前に紹介した、スポンサーがらみの噂が事実であれば、知名度が皆無に等しい太田のメはまったくなかったろうが・・・)

この太田選手に関して、某サイトにおもしろい記事が出ていたので、引用(抜粋)してみる事にする。

 <安藤美姫が、公式戦で女子選手として初めて4回転ジャンプに成功したのは、2002年のジュニアグランプリファイナルだった。安藤はスポーツ新聞のみならず、一般紙の一面にまで登場しテレビも大特集を組んだ。

実はこの時、安藤美姫は一人の若い日本人スケーターに完敗し、最終順位は3位に終っている。2002年のジュニアグランプリファイナルを制したのは、太田由希奈という名の少女だった。だが彼女の名を知るのは、一部のスケートファンにとどまっている。報道は、された。だが、その扱いは「安藤のおまけ」に過ぎなかった。

当時、私は「4回転は、ジュニアグランプリ優勝より凄い事なのだろう」と思った。しかし、そうではなかった・・・

2003年、安藤美姫は遂にジュニアグランプリファイナルの栄冠を手にした。 2004年は新星・浅田真央が優勝した。いずれも大々的な報道が行われ、フィギュアスケートの新時代到来を日本人に印象付けたのだ。

2003年、太田はジュニア選手権でひっそりと優勝している。メディアが注目したのは、パッとしないまま2位に終った安藤だった>

<2004年のジュニア選手権、安藤美姫は見事に優勝を飾り、2005年は浅田真央が優勝。スタジオのアナウンサーも、現地のレポーターも大興奮だった。

2004年、太田は四大陸選手権で優勝した。しかし、その事実を知る日本人は驚くほど少ない。2005年の四大陸選手権が、村主章枝と恩田美栄の一騎打ちで話題になった事とは対照的だ(ちなみに村主が優勝、恩田が準優勝)

勿論、2005年の四大陸は世界選手権の出場権を賭けた重要な決戦場であり、そして世界選手権の結果は、トリノ五輪にも繋がってくる。だから2004年と2005年では重みが違う、という解説には一理あるが・・・

つまり、日本女子フィギュアスケート界の福原愛は安藤美姫と浅田真央であり、太田由希奈は実績と関係なく注目されてこなかった(というのが私=Webの主催者=の解釈)>(某サイトからの引用)

<彼らの記事を読むド素人の私は、下衆の勘繰りと承知していても太田さんの気持ちを空想せずにはいられない。女子フィギュアスケートという人気競技で世界の頂点を極めながら、街行く人の誰も自分の顔を知らない。名前も知らない。  

「安藤美姫が4回転に成功した時に優勝した人」と説明しても「そんな人、いたっけ?>(某サイトからの引用)

2006/01/29

代表選考までの軌跡(フィギュアスケート特集part1)


 冬季オリンピックの華と言えば、フィギュアスケートである。そして、このフィギュアスケートにおけるトリノ五輪の代表選考が、かつてないほどの盛り上がりを見せたのは、ご存じの通りだ。

かつては五輪でメダルを獲った伊藤みどり、また世界選手権金メダリストの佐藤有香といった、メダルの期待されたスター選手がいるにはいたが、彼女らはあくまでも一握りの例外的な存在(特に伊藤)に過ぎず、二番手以降に選ばれる選手たちは、常に付録のような存在でしかなかった。事実、その他の選手は五輪や世界選手権といった大きな舞台では、まったく通用しなかったのである。

ところが、今回に限っては代表候補の三人を選ぶだけでもひと苦労という、かつてない嬉しい悲鳴が響いた。こう書くと聞えはいいが、見方を変えれば「ドングリの背比べ」と言えるのかもしれない。

現状を観る限りは誰が選ばれるにしろ、三人が三人ともメダルを狙えるような位置にいるとは言い切れないし、実質的には長年に渡って文句なしに世界一だった伊藤などとはまったく比較にはならないとはいえ、それでも常に振るわないままの男子を含めた日本のフィギュアスケート界にとっては、画期的な事だと言えるのだろう。

ちなみに、主な代表選考対象となった大会の結果は、以下の通りであった。

・グランプリシリーズ第一戦(アメリカ=10月)
3位 恩田美栄

・グランプリシリーズ第二戦(カナダ=10月)
3位 中野友加里
8位 村主章枝

・ グランプリシリーズ第三戦(中国=11月)
2位 浅田真央
3位 荒川静香

・グランプリシリーズ第四戦(フランス=11月)
優勝 浅田真央
3位 荒川静香

・グランプリシリーズ第五戦(ロシア=11月)
2位 安藤美姫
3位 恩田美栄

・グランプリシリーズ第六戦(大阪=12月)
優勝 中野友加里
2位 村主章枝
4位 安藤美姫

・グランプリファイナル(東京=12月)
優勝 浅田真央
3位 中野友加里
4位 安藤美姫

・全日本選手権
優勝 村主章枝
2位 浅田真央
3位 荒川静香
4位 恩田美栄
5位 中野友加里
6位 安藤美姫

ここまでの成績を見れば、海外の大会(フランス杯)で唯一の優勝を含め、二大会で優勝している浅田がトップである事は誰の目にも明らかだ。が、残念な事にまだ15歳の浅田は五輪の出場資格(年齢制限)に引っかかってしまい出場する事が不可能となり、この絶頂期にありながら千載一遇のチャンスを逃すという、泣くに泣かれぬ不運に見舞われてしまったのである。

フランス杯とともに、もう一つ出場した中国杯でも2位、さらに全日本選手権も含めた総てに一緒に出場した、ベテランの荒川(ともに3位)を上回っている事からも、この若き天才の並々ならぬ実力がわかろうというものだ。次いでスケートカナダで3位、NHK杯でライバルたちを抑えて優勝している中野も、ここまでは順調だった。こうして迎えたのが、代表選考最終戦となる全日本選手権である。

 有力6選手によって五輪代表が争われるという舞台で、前日のショートプログラム(以下SP)での接戦を受けて、30%台を超える(瞬間では40%超)というフジテレビの番組では、この年最高の視聴率を記録した事からも、その注目度の高さが窺えよう。

SPを終えた時点での順位は、次の通りであった。

1位 荒川静香 68.76
2位 村主章枝 67.30
3位 浅田真央 66.64
4位 恩田美栄 62.20
5位 中野友加里 61.46
6位 安藤美姫 60.24

実はこの大会を前に、元選手の渡部絵美が「実力とは関係なしに、3人(今回選出)に決まる」と、以下のように予言していたらしい(某サイトから引用)

<「今の実力からすれば、選ばれるべきなのは浅田(真央)、中野(友加里)と村主か荒川のどちらか。でも代表は安藤と村主、荒川になるので見ていなさい。 日本スケート連盟(JSF)の現状というべきですか、やはりスポンサーの問題が大きいと思います」

代表3選手は、JSFが「親会社」とする日本オリンピック委員会(JOC)が、スポンサーから資金を集めるための「シンボルアスリート」に選ばれている。個人にも、大手企業のスポンサーも付いており「連盟は彼女たちを落とせない」  と読んでいたという。

そんな“裏事情”は素人のファンも感じているのか、大手プロバイダー「BIGLOBE」が代表決定直後からネット上で実施しているアンケートでは、選考結果に「納得できない」とする回答が9割を超えている。理由として「調子の悪いやつを出してどうする」、「裏がある」、「やらせの茶番劇」、「スポーツに汚い金が絡んでいる事が分かった」との手厳しいコメントが並ぶ。

渡部さんは「プロや素人の視点といった話とは別に、誰が見ても安藤が一番良くなかったのは明らかで、アンケート結果は当然」と言い切った。一部週刊誌などで「フィギュアスケート界の女帝」と伝えられた城田憲子フィギュア強化部長は、村主や荒川の指導者だった事がある一方、浅田や恩田(美栄)は伊藤みどりを育てた山田満知子コーチの教え子。2人の対立関係が選考に影響したとの指摘にも、渡部さんは「その通りだと思う」と話す。

安藤について、渡部さんは「明らかに他の選手と比べ、練習不足にみえます」 と指摘。ただ、スポンサーや指導者の問題は「大人の事情」で、安藤にも「かわいそう。自分が実力で選ばれたのではない事を、一番わかっているのが安藤でしょうから」と同情する>