2012/03/29

レビューの鬼(プロジェクトJ)(3)

ユーザー(銀行)のS氏というのが、J社の窓口になっている人物で、年のころはまだ30半ばと若いが「相当なやり手」という触れ込みだった。

 

なにしろ、面接の時には

 

「ユーザーのJ銀行の担当のSさんという人が凄い人でして・・・100人に1人というレベルの人で・・・」

 

という話を聞いた時は

 

(はぁ?

たった『100人に1人』って、全然たいしたことねー。100万人に1人ならわかるが・・・)

 

と、その担当者のボキャ貧っぷりに苦笑を我慢するのに苦労したが、そのうるさ型のS氏も

 

「ふ~ん。まあ、いいんじゃないですかね・・・特に指摘はないかな・・・」

 

と、そのレビューもあっさりと終ってしまった。

 

レビュー会場を後にすると

 

「凄いですね!

なあ、T! あんなにあっさりレビューが終わるなんて、これまでなかったよな?」

 

「そうですね・・・ちょっと、これは突っ込みどころがない感じでしたね・・・」

 

と、元請けS社の2人はしたり顔で大喜びだったから、ここまでは確かに「順調すぎるほどにの」船出といえた。これでは

 

(開発計画書なんて、どうなるかと思ったが・・・やっぱりオレってすごいんじゃ?)

 

などと舞い上がるのも無理はない。

 

「開発計画書の次は、詳細設計書を作るスケジュールになっているので、これもにゃべさんにお願いしてよいですか?」

 

とT氏から振られ、深く考えずにOKしてしまった。

 

開発計画書というのは、いわゆる基本(概要)設計書のようなものだから、そこまで技術的に細かい記載は求められず全体感が表せれば良かったが、これが詳細設計書となると初めから終わりまで技術的な観点に終始するだけに、まったく得意とするところではなかった。が、なにせこの時は最初に作成した開発計画書が、自分でも想定してみなかったよう品質で仕上がった満足感から

 

「初回で、これだけの設計書を作れたのだから・・・今度は、もっと品質の高いものを作ってアッと驚かせてやるわ・・・」

 

などと、安易に考えていたのである。

 

(さて、次の詳細設計書は、どうやって作り込んでいくかな・・・)

 

などと考えているうちにも、プロジェクトは動いている。

 

元請けS社唯一のNW担当であるT氏から、

 

「J社データセンターの構築・テストの手順書を作りましたので、レビューに参加いただけますか」

 

と声がかかり、レビューに参加することになった。

 

レビュー参加者は、S社のリーダーであるN氏とNWチームのK氏、S氏、そして自分の3人。レビューイはT氏だ。T氏と言えば、元請けS社から参画している唯一の社員であり、S社と言えばまずはネットーワーク系では知られた一流企業である。そこの社員のT氏だから、年齢こそまだ30を出て間もないという若手といえたが、そのスキルは大ベテランのK氏にも匹敵しうるレベルだった。

 

とはいえ、まだ年も若いだけにK氏に比べてはまだ経験も浅いから、現場での構築やテストに関しては詳しいようだが、この手順書を見る限りは必要な観点が漏れているのが目に付いた。そこで、細かい点も含めて幾つか指摘してみると

 

「なるほど・・・そういう観点があったか・・・」

 

と唸るN氏に、S氏も被せるように

 

「すいません、そこは私もまったく気づいていませんでした・・・」

 

と、あっさりと認めるシーンもあったが、どういうわけか最も煩型のK氏は何も言わなかった。

 

ようやく終わりの方になって

 

「それで言うと、あとこんなことも言えるかな~」

 

とボソッと指摘をした。

 

こうしてレビューは終わると、リーダーのN氏が

 

「いや~、にゃべさんの指摘は、まったく考えてなかったとこを突かれましたね。さすがに見る観点が鋭いというか・・・なあ、T!」

 

「そうですね。これまでは、そこまで細かくはやってなかったので、私も参考になりました・・・」

 

と案外と素直に認めてくれたのである。

 

このレビューの体制では、まずリーダーのN氏はそもそもNWの専門ではないから良くわからないだろうし、S君はスキルが低いため参加するだけで指摘できるレベルではなく、実際にどうでもいいようなしょーもない指摘しかしていなかったのは、その実力からして致し方ないが、この中で唯一、経験豊富な大ベテランのK氏の態度だけは、どうにも腑に落ちなかった。

 

K氏の目から見れば、こちらの指摘したことや他にも突っ込みどころがありそうだったが、元請け社員のリーダーN氏とT氏への忖度からか、はたまた単に面倒だったのかは定かではないが、実際にこのK氏というのが歳のせいなのか、かなりのモノグサというか面倒くさがり屋だった。

 

このレビューを見る限りは、これまでもこうして殆ど指摘事項がなくシャンシャンで手打ちというイメージが推測できただけに、新しく入って来たばかりのワタクシから思わぬ指摘を立て続けに受けたT氏やN氏、さらにはK氏やS氏などもさぞかし面食らったことだろう。なにしろ、こっちはかつて「ミスは絶対に許さない」という針の筵のようなD社プロジェクトにおいて、まさに重箱の隅を突付いたり、揚げ足取り放題のようなケンカ腰のレビューを繰り返してきた経験が土台になっているだけに、このころは第三者からみれば「レビューの鬼」状態だったに違いない。当時はレビューの度に神経をすり減らし、十分な準備をして臨むことが求められたから

 

(もう、こんな現場は御免蒙る・・・)

 

としか思えなかったが、今となってはあの時の経験が財産と言えた。

2012/03/25

歯医者地獄(1)

若い頃から歯医者嫌いで、虫歯は痛みが我慢できなくなるまで放置が基本だった。

 

当時、近所に同じように歯医者嫌いの若者が居て、ジーさんから聞いた話ではあまりに酷くなるまで放置していたために

 

「顎が腐って、顔の皮を剥いで顎の骨を削った」

 

という脅しめいた話を聞かされてから、益々「歯医者恐怖症」が嵩じていた。

 

さらには高校生の時に、バイト先のブティック店長が「歯を抜いてくる・・」と言い残して朝に店を出てから、まったく何の連絡もないままに夕方になっても戻ってこず、閉店間際の夜の8時近くに廃人のようになって戻って来たこともあった。その日は、痛みでまったく話が出来なかったらしく、翌日になって

 

「抜く歯が歪んでたとかで、鑿で叩かれた・・・麻酔も切れて、死ぬかと思った」

 

という話も聞いていただけに

 

「オレも、これだけ放置していたくらいだから、鑿で叩かれたり顎が腐っていはしまいか?」

 

という恐怖感が拭い去れなかった。

 

そんな背景もあって、歯医者へのトラウマからかなりの痛みでもなんとか我慢をしてきていたが、遂に耐えられないまでの痛みが数日間続くに及び

 

「こんなに痛いんなら、歯医者の痛みの方がマシだろう・・・」

 

と、ようやく重い腰を上げたのである。

 

当時、20歳そこそこのことで、おそらく小学生の時以来の歯医者だった。近所で評判の良い歯医者があり、何人かから

 

「あの歯医者は痛くない!  H先生は上手だ!」

 

と何度も聞いていたため、迷わずその「H歯科」に通うことに決めた。

 

最初にレントゲンを撮ると、恐れていたように「顎が腐っている」とか「鑿で叩く必要がある」というほどの話は出なかったのには安心したが、それでも

 

「奥歯が23本酷い状態だから、抜かなければいけない」

 

ということだ。ところが、よく見るとあまりに酷くなるまで放置していたせいか、すでに歯がボロボロに欠けていたため、抜くに抜けずに残骸を手で取っていくような感じで、不思議と痛みも殆ど感じなかった。こうして、痛みの原因は無事に取り除いたが

 

「今回処置した以外にも、何本か治した方がいい歯があるけど、どうする?」

 

と聞かれた。

 

「今回処置した以外にも、何本か治した方がいい歯があるけど、どうする?」

 

これだ!

これが、歯医者嫌いの原因なのだ!

 

歯医者には、常にこれがついて回る。普段は、これといった持病を持たないだけに、医者に行くのは風邪の時くらいである。風邪で内科に行く場合は、当然のことながら風邪の症状が消えればそれでお終いで、面倒がない。風邪の治療で、内科に行ったついでにレントゲンを撮って

 

「他にも悪いところがあるようだから、この際徹底的に治しましょうか?」

 

というようなことは、まずないだろう。ここが、歯医者との違いだ。歯医者の場合は、必ず頼みもしないのに最初にレントゲンを撮られるのである。

 

正直なところ、こちらとしては今、痛みがある歯だけをナントカしてくれればいいだけなのである。歯医者の通院などは、必要最小限に止めたい自分としては、今痛みがないのなら痛み出してから治せばいいではないか、というのが本音である。

 

が、いざ歯医者で

 

「他にも悪いところがあるから、ついでに治しとこうか?」

 

と聞かれて「イヤです」とはいい難いから、本心とは逆でも「では、お願いします・・・」となってしまうのである。

 

歯医者からすれば、長く通わせてたくさんの治療をした方が儲かるのは間違いないだろうから、虫歯のたくさんある患者は「良いカモ」といえる。そこに歯医者の「算術」が隠されているのだろうと思うのは、自分自身が治療を怠ってきたせいもあるだろうが、必ず何度か通院させられるハメになるからなのである。

 

しかも内科での風邪の治療に比べ、歯医者の費用は高くつく。風邪の場合は初診だけは2000円程度はかかるが、2度目以降は大体1000円程度で済む。が、歯医者の場合は毎回23000円程度かかるだけでなく、さらに毎週の治療が23ヶ月は続くから、トータルであっという間に数万は掛かってしまうのだ。これは、大きな出費である。

 

が、この時はあの地獄のような痛みを体験したのと、またH先生が評判通りの腕らしく思ったほどの痛みを感じなかったことから、この時ばかりは珍しく

 

(この際、徹底的に治してしまおう)

 

という気になって、遂に虫歯を根絶した上に歯石も取って、完全に奇麗な状態となった ヽ()ノ ワチョーイ

2012/03/22

開発計画書(プロジェクトJ)(2)

このような経緯で現場に入ったのだが、初めて顔合わせした前任者のK氏というのが、どうみても60は優に超えていそうな高齢であったことだ。

 

「この人が、前任者のK氏か。スキルが高いということだったが、年恰好から見て大したことはなさそうじゃね?」

 

などと決めつけていたものの、すぐにこの考えを改めなければならなかった。

 

というのも、入ってすぐに分かったことは、このK氏のスキルが予想をはるかに超えて高かったことで

 

(とてもじゃないが、オレにこの人の代わりが努まるはずがないじゃないか)

 

ということとともに、S社の担当のT氏もまだ30そこそこだけに経験値の浅いのは否めなかったものの、それ以外のスキルはさすがに大手SIerの社員らしくK氏に匹敵しうるレベルだった。

 

(これは、案外とえらいところに来てしまったか・・・?)

 

と慌てるところだったが、そんな中で唯一というべきか、契約先となるI社のS君のスキルはといえば、これが逆の意味でお話しにならず

 

(こいつは、本当にNWエンジニアなのか?)

 

と疑ってしまうレベルだったのである。実際にK氏の引継ぎには、S君も同席していたのだが、入ったばかりの自分でも簡単に分かることが理解できておらず

 

「このバカ!

何度も教えたのに、なんでわからないんだ!」

 

と、頭を叩かんばかりの辛辣さでK氏はS君を罵倒し、すっかりS君の馬脚が現れた格好だ。

 

さて、そんな体制にあって「引継ぎ」とはいっても、文字通り老体に鞭打つかのようなK氏の稼働は低かっただけに、手取り足取りどころか殆ど引継ぎもないままに、早速リーダーのN氏とT氏に呼ばれ

 

「今度、機器リプレースの大きめのプロジェクトがあり、その設計書を作らないといけないんですが、これをにゃべさんにお願いしたい」

 

ということだ。

 

「開発計画書の作成は、Kさんがある程度進めているはずなので、Kさんから引き継いで完成させてほしい」

 

このユーザーの銀行では、設計書を「開発計画書」と呼称していたらしいが、過去の資料を見ると要するにNW設計書を作ればよいわけだ。

 

早速、MtgでK氏に確認すると

 

「ああ、あれね・・・全然作ってねーな・・・私はもう残り少ないから、あれはにゃべさんにお願いしたい・・・」

 

と、すっかりトンズラを決め込もうという姿勢のK氏から丸投げされた。

 

とはいえ、S氏はスキルが低くて(というよりは、殆ど素人レベル)全く頼りにならないから、いよいよ偶にしか出てこなくなったK氏に色々と聞いたり、K氏が居ない時は隣の席のT氏に聞いたりしながらコツコツと作成していくしかない。ところが、もうすぐいなくなる半病人のようなご老体のK氏はともかくとして、まだ30そこそこと壮年で今が働き盛りのはずのT氏が、やたらと「病欠」が多かった。

 

ある日のこと、リーダーのN氏から

 

「どうですか?

開発計画書の方は、進んでますか?」

 

と聞かれたので

 

「そこそこ進んではいますが・・・最近はKさんもあまり出てこないのは、まあ仕方ないとして、Tさんはどうしちゃたんでしょう?」

 

と聞くと

 

「アイツはね・・・ちょっとメンタルの問題を抱えているのでね・・・正直、あまり充てにしない方が良いですよ。なので、これまでNWチームはKさん中心に動いてきましたのでね・・・これからは、そこはにゃべさんが・・・」

 

というではないか。

 

(なんで元請け社員のT氏や、先輩格のS君がいるのに、新参者の自分が・・・)

 

と思いつつも、開発計画書の作成が進んでくると、これが自分でも意外なくらい案外と興に乗ってきてしまった。

 

過去の計画書を沢山読み込んで研究してみると、

 

(こうしてみると、案外大したものはない気がする・・・どれもイマイチというか・・・こうなりゃ、オレがアッと驚くようなものを作ってやるか!)

 

と、なぜかすっかり「やる気」を出してしまったのだ。

 

人間、「やる気」になった時ほど、強いものはない。しかもそれなりの裏付けもあるから、コツコツと頑張った結果、当初全く想定していなかった、自分でもうっとりして何度も読み返すような完成度の高い(と思われる)成果物が出来上がった!

 

K氏とT氏、そして(おまけに過ぎないが)S氏とのレビューでは、辛口のK氏も

 

「良いんじゃないですかね・・・これは」

 

としか言わなかったが、元請け社員のT氏も

 

「Nさんにも見てもらって、問題なければJ社のSさんレビューに進みましょう」

 

とT氏の見解がわからないまま、N氏のレビューへと進む。T氏やK氏とは違い、率直な性質のNリーダーは

 

「これなら十分、Sさんレビューに出せるレベルと思いますが・・・TとKさんは、どうです?」

 

「私も、直すところはないですね・・・」

 

と、T氏も初めて本音を言った。

 

こうして、ユーザーであるJ銀行のS氏のレビューが設定された。

2012/03/15

面接(プロジェクトJ)(1)

面接を受けたのは、ユーザーの大手信託銀行が入っている晴海トリトンスクウェアのCaféだった。

 

面接は、二次請けと三次請けの現場担当者とで行われたが、三次請けの担当者がNWチームの担当ということで、もっぱらこの出しゃばり男が喋っていた。

 

現状、NWチームの中心となっている人物が高齢のため、体調の関係で週に2~3日出勤の半稼働となっている。ところが、最近体調が悪化したのに伴い後任者に1か月程度引き継いだうえ、プロジェクトを退きたいということらしく、その後任者として白羽の矢が立てられたのである。

 

半稼働とはいえ、かなりのベテランだけにK氏のスキルは高いらしく、当然ながら後任となる人材には、それを補うレベルのスキルが求められるということだった(この時点では、面接で偉そうにしていたS君もそれなりのスキルがあって、K氏とコンビを組んでいるものと勘違いしていた)

 

一次面接は二次請けL社のサーバ担当T氏と、三次請けのI社のネットワーク担当S氏に加え営業のA氏が同席した。ネットワーク担当ということからか、はたまた単に押しが強い性格からか、業務の説明や必須となるスキルについての説明はもっぱらS氏が喋っていた。

 

この一次面接はすんなりと通り、次は元請けの大手SIerであるS社リーダーとの面接で合否が決まるという。晴海トリトンというのが通勤には正直面倒ではあったものの、一次面接で聞いた限りは、それほど難易度が高いという感じではなかったため、ともかく最終面接に進むことにした。

 

面接は、やはり現場のトリトンの会議室で行われたが、元請け大手SIerのS社リーダーのN氏が気さくな人柄なのに加え、年齢が同じとあって

 

「私と同い年ですね・・・」

 

というところから始まると、極めてとんとん拍子に話が進んだ。

 

一次面接の時と同じ二次請けL社のT氏と三次請けI社のS氏に加え、元請けS社からはリーダーのS氏だけでなくNWチームのT氏も同席して来た。

 

こうして面接が進んでいる中

 

「大体の話は、してもらったんだよね?」

 

とN氏から確認されたS君は

 

「はい。Kさんの代わりということで、Kさんのスキルや担当業務をひと通り説明しております。まあ、いきなりKさんの代わりは無理なので、私もフォローしながら一緒にKさんの穴をカバーしていければと・・・」

 

というと、リーダーのS氏が

 

「Kさんの代わりはSさんじゃなく、にゃべさんだからね・・・」

 

と釘を刺したが、この時点ではその意味はわからなかった。

 

丁度という、このタイミングでS氏の携帯が鳴り

 

「おっと・・・

ちょっと失礼・・・」

 

とS氏が席を外すと、面接者のN氏がやおら身を乗り出して来た。

 

「実は・・・本来ならSさんがKさんの代わりになってくれると良いんだが、彼のスキルではKさんの代わりは到底務まらなくてね。今回来てもらう人には、Kさんの代わりとして来てもらいたいわけですよ・・・」

 

「ああ、そういうことですか。まあ、話を聞いた限りは、なんとか対応できるのではないかと・・・」

 

というと、

 

「そうですよね。Kさんは大ベテランだから、かなりスキルは高いですが、経歴などから見てにゃべさんなら代わりが務まりそうかなと。少しは、Kさんの引継ぎもありますしね・・・まあ、半稼働だから、実質2週間程度にはなるでしょうが・・・」

 

ということで、図らずもS氏の中座により瓢箪から駒のようにリーダーS氏の本音が聞かれた。

 

「まあ、Kさんが辞めた後も自分がいるので、必要ならフォローしますよ」

 

と、同席しているS社のT氏が優しく言った。

 

さて、なにも知らぬS君が戻ってくると、リーダーS氏が

 

「正式な結果は追って連絡しますが、今話を聞いた限りではKさんの代わりとしても十分に行けるんじゃないかという感触を持ちましたので、前向きに回答させていただきます。Tは、どうだ?」

 

と、NW担当のT氏の見解を求めると

 

「私も、大丈夫と思いました・・・」

 

ということで、殆ど決まったようなものだった。

 

そして、その日の夜のうちに早速、所属のF社から

 

「トリトンの案件で、ぜひ参画願いたいといってきていますが、いかがしますか?」

 

と確認の電話が入り、承諾したのだった。