2004/09/30

スーパーアイドル

 入学直後から人気が爆発した茜と、最初の試験の学年5位ですっかり過大評価を受け、ジワジワと人気が上昇していたにゃべが後期のクラス委員長に選ばれたのは、大方の予測通りであったろう。

入学早々から気になっていた存在の茜と、遂にお近づきのチャンスが到来した (*`▽´*) ウヒョヒョヒョ

この茜は、さすがに小・中学生時代を通してリーダーの役割を担ってきただけあり、テキパキと物事を運んでいくのは、実に手馴れたものだった。そのうえ万事において飲み込みが早く、その頭の回転の早さにはさしもの自信家にゃべでさえ、舌を巻かされる事が何度もあった。

(うーむ・・・世の中には賢いのがいるものだ・・・)

かつて、ともに委員長を務めた香や真紀、或いは成績トップの常連・マザーらに比べても引けを取らぬどころか、寧ろ「能ある鷹は爪を隠す」を絵に描いたようなマザーに比べ茜の方が賢く見えたのは、あの表現力豊かでポジティブな性格のせいもあったろう。

万事に鷹揚なマザーとは逆に、やや才気に走り過ぎるきらいはあるものの、あの虫も殺さぬようなおしとやか気な顔とは対照的に、どんなことにも積極的にチャレンジしていく度胸のよさに、男子もタジタジであった。

そうしてパッと目の醒めるようなカワイさに加え、この年頃の娘としては信じられないほどに天才的な社交術を備えていたのだから、一気にクラスのアイドルとなったのは当然の帰結といえる。

『B中』女子で人気のあったのは小夜子、美佳、千春、香といった辺りだったが、人気、美貌いずれを取っても茜の比ではなかった

いったいに学生時代は、いわゆる美人系の整った顔立ちよりは、愛嬌ある「かわいい系」の女子に人気が集まるものだ。その典型が香で、顔立ちの良さでは文句なしのナンバーワンだったが、比較的無口で真面目という地味な性格だったせいか、皆から一目置かれるような存在ながら、その人気が爆発するようなところまではいかず、寧ろ小夜子の方が人気があった。

最も華やかさを持った千春は、性格的にワガママだったり傲慢なところが見え隠れするため、目立たない男子生徒からは煙たがられているようなところがあった。

それら各人の欠点を総て解消したようなのが、スーパーアイドル・茜である。彼女の姿が現れただけで、教室中にパッと華が咲くような、その圧倒的な存在感は

(こういうのが、天性のタレント性というヤツか・・・)

と、つくづく実感させられたものだ。勿論、人間であるからにはなんらか欠点はあるはずで、裏を返せば「八方美人」の典型とも言えたが、それをイヤミに感じさせないところが天性の才と言えた。

2004/09/27

ロックにはまる


 姉の影響で、この頃からロックを聴き齧り始める。休日に名古屋の地下街に出かけると、お気に入りのミュージシャン愛用のファッションを求めて徘徊するなど、すっかりファッションにも凝り始めた。

若い頃は、誰しも多かれ少なかれそういった傾向はありがちだろうが、他人に対してばかりでなく、己に対しても人一倍というか異常なまでに容姿に対する拘りが強かった。必然の結果ながら、MTVに出てくるロック・ミュージシャンに対する眼も例外ではなく、もっぱら美男美女ばかりに目がいく。

「やっぱ、ガイジンはカッコ良いなー」

すっかり憧れてしまい、またしても名古屋地下街に繰り出し、黒のロングコートに真紅のマフラーなどを買い込んだりしたものだった。

こうして最初のうちしばらくは、もっぱら美男美女スターばかりにご執心だったのが、次第に音楽そのものにも目覚めて、本格的にロックにのめり込んでいくことになる。

当初は容姿を重視した結果のアイドル系に始まり、次第に実力派に興味が広がり、さらにプログレッシブを経て終的にCHICAGOに辿りついた(これが、その後のClassicへと至る道筋であった事は、いうまでもない)

もっとも、当時はすっかりディスコの常連になっていた、名古屋の高校生・ミーちゃんの影響はやはり大きく、ディスコサウンドなどにも大いにブレイクしていた。

2004/09/25

プロ野球選手会のアホ(後編)

そもそもプロ野球は興行であり、興行というものは客からお金を取って自分たちの(高度な)プレーを見せることが第一義であるから、これを放棄する姿勢はそもそもプロとして失格というしかない。無論、労働組合として経営者側に対する脅しとかの駆け引きの要素が強いのではあろうが、いやしくもプロの選手たるものが公然と「スト」などという言葉を軽々しく口にしてはいけない。それは、自らの存在を否定する事である。

「我々選手やファンの意見を聞かずに、合併を推進する事はケシカラン!」 などと理想ばかりを言ってみたとて、現実に合併しなければやっていけないのでは、どうにもならないではないか。選手やファンの意見を聞けば、贔屓の球団の合併なんぞが理解を得られるわけもなく、そんな事を一々平社員や部外者に訊くようなバカな経営者がいたら、お目にかかりたいものだ。

三井と住友が合併するという、歴史から見れば比較にもならない重大事にして、住友(或いは三井)の社員が「オレは合併には断固反対だ!」などと息巻いたところで精々クビになるか干されるのが落ちであろうから、賢明な社員は思っていてもそんなアホな事は言わない。そんな社員の気持ちなどとは関係なく、市場の力学に従って粛々と動いていくのが社会というものであり「勝手に合併したのは納得イカンから、ストライキだ!」と仕事を放擲して不貞寝を続ける子供のような幼いメンタリティの持ち主は、一般の会社ならば即刻クビになるのは確実なのである。

 そもそもプロ野球などは、一般的には恐らくは興味のない人の方が多いのだろうし、所詮は「娯楽」といっては失礼かもしれないがエンターテイメントの世界である。鉄道や銀行のストなどのように、一般社会において正常に機能しなくては死活問題になりかねない業界と違い、ゲームがないからといっても当事者以外には生活に支障をきたすものでもないのだから、ストなどは大して効果的な手段とは思えない。むしろ「なくても社会生活には、さしたる影響はないじゃないか・・・」という事を、わざわざ知らしめただけに過ぎないのではないのか、と一ファンとしては逆に心配になってくるくらいである。

いずれにしろ、多くの興味のない人からすれば

「なんで一般のニュースで、あれほどバカみたいに連日騒ぐ必要があるのか・・・?
そんな大層な事なのか?」

と眉を顰めさせ、益々野球嫌いに拍車が掛かるくらいが関の山であろう。

プロ野球選手よ、どうしてこんな簡単な理屈すら分からないのか?
かつては野村ID野球の申し子と言われ、球界を代表する知性派と思われた古田も所詮は野球バカに過ぎなかったのか?

副会長の立浪が、ストに反対と訊いた時は

(やはり良識派もいるじゃないか・・・)

と、嬉しくなったものだったが

「このままでは、日本シリーズがなくなってしまう・・・これまで何のために頑張って来たかわからないし、せめて来年の開幕とかからにして欲しい・・・」

いう嘆きを訊いた時には、正直呆れてしまった。副会長ともあろうものが、私利私欲しか念頭にない選手会・・・実に、お寒い限りというしかないではないか。

しかも・・・である。どうせやるのなら最後まで徹底的にアホを貫けばいいものを、たったの2試合だけストライキをしておしまいというのでは、効果を推し量っているような下種な駆け引きのようなものだけが見え隠れして、ナントモ中途半端としか言いようがない。

選手たちよ・・・時代遅れのストライキなど、下らぬ事に血道をあげているような暇があるなら、その情熱をもっと練習に振り向けてくれよ。そうすれば、まったく面白味のないペナントレースも少しくらいは興味深くなり、本当の野球ファンを惹き付ける事が出来るんじゃないのか?

野球人気の低下が叫ばれて久しい現状にあって、球団批判もいいがそれ以前に自分たちの存在価値の原点を見つめ直してみる事こそ、真に必要なのではないかな?