滋賀

　各地に「しが」という地名がある。滋賀県の「滋賀」の表記は少ないが、スキー場でよく知られている長野県志賀高原の「志賀」の他、「志珂」、「磯賀」という表記もある。同じ地名が存在する場合、同じような地理的条件にあるケースが多いのだが、滋賀県と長野県では違うようである。

まず滋賀県の滋賀は、天智天皇の

「ささ波や志賀の都は　荒れにしを昔ながらの山桜かな」

の歌の中の「しが」を別の漢字で表記し、同県志賀町はそのままをいただいているわけで、天智天皇の時代には既に確立していた地名である。

この「しが」とは、何を意味するのだろうか。

地名辞典の中には「意味不明」とするところもあるが「比良山」の「比良」がもっともよく知られているが、このあたりにアイヌ語や朝鮮語の地名が残っており、これに由来するのではないかという説がある。

アイヌ地名研究家の山本直文氏は「大きなガケのあるところ」を意味する地名である「シカ」によっているという。実際、志賀町あたりに出かけてみると、なるほどと思わされる。

比良山の「ヒラ」は、大きなガケが切り立って海や湖に突き出ているところを意味する事によっているという説も、多くの人の知るところだろう。これも、比良山近くに出かけてみると納得させられる。

同じ滋賀県に、焼物でよく知られている「信楽（古くは紫香楽とも表記した）」があるが「しがらき」の「しが」も、同じルーツを持っているのかという興味がわいてくる。ここは違うようで、動詞「シガラム」の連用形に、接尾語である「キ」がついたもので、つまり河川が柵堰で堰きとめられてできたようなちょっとした高地、あるいは山間の盆地を意味する、という説が有力である。

では長野・志賀高原の「しが」は、何を意味するのか。これは多くの地名辞典が記しているように、日本の北部の寒い地域で「霧氷」や「樹氷」を意味する「しが」、「すが」に由来するようである。

　滋賀県は、県庁所在地の郡名「滋賀郡」に由来し、古くは「志賀」と表記された例も見られる。「滋賀」の地名の由来には「シカ（石処）」の意味で「石の多い所」をいったとする説と「スカ（砂処・州処）」の転とする説がある。

旧郡内（現在の滋賀県大津市）にある「石山寺」は、巨大な岩盤の上に建つため「石山」と名付けられている。また、他地域の「シガ」という地名も石の多い所を指している事が多いため、滋賀は「石の多い所」とする説が有力と考えられる。

一方「スカ（砂処・州処）」の説は琵琶湖沿岸の低湿地を指しており、横須賀の「スカ」の由来にも通じる説である。しかし滋賀県以外にも、全国各地にある「シガ」の地名で「スカ」から転じたと考えられるものはなく「滋賀」だけ特殊な例となるため考え難い。

出典http://chimei-allguide.com/

滋賀という名の由来には所説あるが、シ（石）カ（接尾語）で「石の多いところ」又はスカ（砂州）からとされている。シガとは「あっち側」との意味で、逢坂山を越えた場所を示しているとの説もある。昔は、音さえ合っていれば字は軽視されたので「滋賀」でも「志賀」でも正しかったが、志賀は雅号（文人などが使う、風流な別名）として使われる事が多かったようである。なお「志何」、「斯我」とした書物もある。