2009/02/09

天香具山(あめのかぐやま)


昔者之 事波不知乎 我見而毛 久成奴 天之香具山 久しくなりぬ 天の香具山
(いにしへの 事は知らぬを われ見ても ひさしくなりぬ あめのかぐやま)(作者未詳)

天の香具山は、大和三山の一つ。多武峰山系の尾根の一つが、平地に突き出たゆるやかな低い丘で、大和三山の中でも平べったく一番分かりにくい山です。この天の香具山には、不思議な伝説が伝えられています。それは、この山は「天から天降った山である」というものです。

釈日本紀に引用する、伊豫国風土記逸文に

「倭に天加具山あり。天より天降りし時、二つに分れて。片端は倭の国に天降り 片端はこの土に天降りき。 因りて天山と謂ふ。」

と記録されているそうで、また万葉集の歌にも

「天降りつく 天の芳来山 霞立つ 春に至れば・・・ あもりつく あめのかぐやま かすみたつ はるにいたれば」鴨君足人(かものきみたりひと)

と謡われています。

当時の人々は、この山が天から降って来たという伝説を、本当に信じていたんだと思います。だから「天降りつく」と謡われたり「天の香具山」 というような表現が生まれたんだと思います。香具山は天から降って来た山・・・山が天から降ってきて地面に叩きつけられ、平べったく大地に広がった・・・そう言われてみれば、香具山の姿はそんな感じもします。

ポリネシア語による解釈出典http://www.iris.dti.ne.jp/~muken/

天香具山は、竜門山地の末端部の丘陵に並行して、緩やかな「へ」の字形をしている細長い山で、『延喜式』には「畝尾」とあり、うねが長くつづく形状を示しています。

この「あまのかぐ」は、マオリ語の「アマ・ノ・カク」、AMA-NO-KAKU(ama=outrigger of a canoe;no=of;kaku=scrape)、「(中央部が)引き裂かれたカヌーのアウトリガー(舷の側に付けられた浮き材のような山)」の転訛と解します。なお、天香具山の地は旧十市郡の地域です。

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