2009/12/28

女の戦い(フィギュアスケート全日本選手権観戦記)(1)

最初に登場したのは中野だ。中野は安藤のようなゴツゴツした無骨さがないし、前から繰り返しているように堅実な安定性は感じるが、どうもこの選手は華というか存在感が希薄なのである。どうしても浅田、安藤に次ぐ「第三の女」(最近では、鈴木の後塵を拝して「第四の女」か)の印象は拭いきれず、どうにも中途半端な存在に映ってしまう。それなりに高い技術を持っているのだから、もっと魅力的にアピールして欲しいと以前から指摘して来たが、やはり何かに欠ける気がする。安定感はそれなりにあるとはいえ突出したものがないし、さりとて安藤のような意外性もなく、常に及第点である。

 

ここままのスタイルでは、いつまで経っても浅田、安藤の引き立て役で終わってしまいかねないだけに、どこかで殻を破らないといけないと言い続けてきたが、なかなか簡単ではなかったようだ。演技同様に、インタビューでもいつも優等生的な匂いはするが、これといった決定打というか、面白みに欠けるのである。マスゴミは、例によって最近急上昇中の鈴木とライバル関係を作りたがっているようだが、確かに両者は対照的なタイプと言える。

 

鈴木の方は、お世辞にもかわいいとはいえないが、表情の明るさや豊かさと力強いアピール力があり、対する中野はどことなく表情が暗く蔭も薄い。要は「苦労人面」なのである。過去に会心の演技をしながら、意外なほどに得点が伸びなかったことが何度かあったが、典型的な得点の出難いタイプだ。おそらく性格的に生真面目で、中途半端に頭を使うからいけないのだ。採点競技なのだから苦労の跡を見せてはダメで、鈴木のようにもっとバカになって演じきらないとダメなのである。

 

気になるのは、インタビューで自らの演技に満足しているようなコメントが聞かれることで、素人に本音をさらけ出す必要はないからあれは本心ではないのかもしれないが、現状に満足していては上を望むのは難しいと思う。

 

続いて登場した安藤については過去に散々書いてきたし、今回は代表選考の対象外のため割愛する(以前から読んでいる人はご承知の通り、個人的にはあまり好きではないし、得点ほどに上手だとも思っていない) 皮肉にも、安藤はこの大舞台で唯一五輪出場を決めており、緊張感に欠けた戦いになったことは、本番でマイナスに作用するような気がして仕方がないのだが。

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