2011/04/16

嘘八百(原発問題part1)

「直ちに健康に影響が出るものではない」の欺瞞

原発現場の作業員ですら即死してはいない(と思われる)のだから「直ちに健康に影響が出るものではない」のは、わかりきっている。現状の放射性物質垂れ流しが、今後も長期間継続される状況に鑑み「将来的に、どのような影響が出るのか?」が最大の問題なのだが、この最も肝心なことについては一切触れない。

 

「直ちに健康に影響が出るものではない」というのは、裏を返せば「この状況が長期的に続けば、なんらかの影響が出る可能性がある」と同義であり、そして現状推移は明らかに「この状況は、今後長期的に続く」見通しである。

 

とはいえ影響が出るのは、精々10年~20年先の話だという。そもそも「生きる」ということは、様々な外的要因からの害悪を受容し続けることでもある。そして当然ながら、死体を解剖してみたところで「死因は放射能汚染デシタ」などと書いてあるわけはない以上、その他の様々な害毒に紛れてしまい、実際の因果関係などは判定不可能である。

 

今、詭弁を弄している口舌の輩どもの狙いは、まさにそこにある。20年~30年先など、当の本人さえ生きているかどうか定かでないのだから、無責任の言いたい放題だ。某官房長官の冗漫なばかりの長広舌は、あたかも学生の弁論大会を聞くが如し、空虚な呪文にしか聞こえない。

 

東電お任せの無責任

福島原発事故は、地球環境に汚染を齎すような大規模な事故に発展し、施設内に溢れ出して来た汚染水の処理さえままならないなど、まったくコントロールできていない状況だ。原発の構造やら、放射性物質の物理特性などは何ひとつとしてわからない素人としては「東電なにやってんだ!」と言いたくもなるが、それ以上に不可解なのが政府の無策ぶりである。

 

国際的にも注視されている前代未聞の大惨事だというのに、常に表に出てくるのは東電とド素人の保安院とやらばかりで、たかが一民間企業に全対応を委ねて極楽トンボを決め込んでいるような政府の危機感の欠如は実に救いがたい。

 

「放射性物質を含んだ水を海に放出する」といった「重大な決断」を東電が行い、原子力保安院がこれを「了承した」といったようなニュースが発信されている。その東電にしても、この一大事に社長が「体調不良」で雲隠れし、会長がいかにも渋々といった調子で出てくる。その東電を管理すべき上位機関とやらの原子力保安院こそは、あの不備だらけの原発を認可した最大の「犯罪人」のはずなのだが、そのトップ(院長?)というのが公にまったく姿を現さない。もっとも、唯一トップが出てきているのは原子力安全委員会なる組織だが、その人物を見ると「やはりトップは、フロントに出てこない方が無難だ」と思わざるを得ないようなロクデナシだったが・・・

 

体内被曝と体外被曝を混同する詐欺

「このほうれん草を1年間食べ続けたとして、胃のレントゲンやCTスキャン〇回分の被曝量以下であり、直ちに健康に影響をもたらすものではない」という詐欺口上。改めて確認するまでもないが、レントゲンやCTスキャンから受けるのは「体外被曝」であり、ほうれん草など食物の摂取から受けるのは「体内被曝」だ。体外被曝はX線などといった「放射線」が、人体にダメージを与えるものである。

 

原子炉から放出される「中性子線」やら「ガンマ線」やらといった「〇〇線」という名称を持つものが「放射線」であることくらい、素人でも知っている。したがって、現場の作業員が「線量計」で計っているのは、主として「〇〇線」によって外部被曝した「放射線量」のことで、これらは現地で作業をしていない一般人には、まったく無関係だ。

 

マスゴミなどが盛んに垂れ流していた「放射能は距離の2乗に反比例するから2km離れれば1/2に減る」やら「多くの放射能はコンクリートのビルなどに遮られるので、都市部などは影響が少ない」などは、この「放射線」のことで、そんなものが何10km、何100kmも飛んでくるわけではないから、そもそも作業員でない一般人には関係がない。

 

一般人に関係してくるのは「放射線」ではなく、原発施設から漏れて飛んでくる「放射性物質」だ。この「放射性物質」が大気中に漂っている塵などに付着し、これらを吸い込んだ場合に体内に取り込まれて「内部被曝」をする。或いは、この「放射性物質」の付着した塵が落下し、水源や土壌などが汚染された結果、水や食物と一緒に体内に取り込まれ遺伝子などに悪影響を与えるとされる(現状の問題点)

 

これが水、或いはほうれん草など食物に関わってくる話で、どこからどう見てもX線やCTスキャンなどとは何の関係もない。だから、原発近くに住む人が被曝していないかを調べるためと称し、測定器で放射能測定といって体や頭に機械を押し当てていたが、あれで被曝量が計れるはずもなく、単にその時の衣服や毛髪に付いている「放射線物質」の量を見ているに過ぎぬ。「体内被曝」といった遺伝子レベルとなると、それこそ細胞を調べでもしなければわかるわけがないのである。

 

そもそもポパイではあるまいし、ほうれん草などというものは毎日食べるものではないのに、毎日摂取する水や牛乳と同じ基準で論じている前提からして、デタラメすぎる。さらに、ほうれん草など「水で洗えば、放射性物質の90%はなくなる」などと喧伝されていたが、ほうれん草の放射性物質が問題視されるような地域は、同様に水も汚染されていると見るのが妥当であり、その汚染された水で洗い流して放射性物質がなくなる道理があろうはずがない。まったくもって、何もかもが破綻しているとしか言いようがない。

0 件のコメント:

コメントを投稿