若い頃から歯医者嫌いで、虫歯は痛みが我慢できなくなるまで放置が基本だった。
当時、近所に同じように歯医者嫌いの若者が居て、ジーさんから聞いた話ではあまりに酷くなるまで放置していたために
「顎が腐って、顔の皮を剥いで顎の骨を削った」
という脅しめいた話を聞かされてから、益々「歯医者恐怖症」が嵩じていた。
さらには高校生の時に、バイト先のブティック店長が「歯を抜いてくる・・」と言い残して朝に店を出てから、まったく何の連絡もないままに夕方になっても戻ってこず、閉店間際の夜の8時近くに廃人のようになって戻って来たこともあった。その日は、痛みでまったく話が出来なかったらしく、翌日になって
「抜く歯が歪んでたとかで、鑿で叩かれた・・・麻酔も切れて、死ぬかと思った」
という話も聞いていただけに
「オレも、これだけ放置していたくらいだから、鑿で叩かれたり顎が腐っていはしまいか?」
という恐怖感が拭い去れなかった。
そんな背景もあって、歯医者へのトラウマからかなりの痛みでもなんとか我慢をしてきていたが、遂に耐えられないまでの痛みが数日間続くに及び
「こんなに痛いんなら、歯医者の痛みの方がマシだろう・・・」
と、ようやく重い腰を上げたのである。
当時、20歳そこそこのことで、おそらく小学生の時以来の歯医者だった。近所で評判の良い歯医者があり、何人かから
「あの歯医者は痛くない! H先生は上手だ!」
と何度も聞いていたため、迷わずその「H歯科」に通うことに決めた。
最初にレントゲンを撮ると、恐れていたように「顎が腐っている」とか「鑿で叩く必要がある」というほどの話は出なかったのには安心したが、それでも
「奥歯が2、3本酷い状態だから、抜かなければいけない」
ということだ。ところが、よく見るとあまりに酷くなるまで放置していたせいか、すでに歯がボロボロに欠けていたため、抜くに抜けずに残骸を手で取っていくような感じで、不思議と痛みも殆ど感じなかった。こうして、痛みの原因は無事に取り除いたが
「今回処置した以外にも、何本か治した方がいい歯があるけど、どうする?」
と聞かれた。
「今回処置した以外にも、何本か治した方がいい歯があるけど、どうする?」
これだ!
これが、歯医者嫌いの原因なのだ!
歯医者には、常にこれがついて回る。普段は、これといった持病を持たないだけに、医者に行くのは風邪の時くらいである。風邪で内科に行く場合は、当然のことながら風邪の症状が消えればそれでお終いで、面倒がない。風邪の治療で、内科に行ったついでにレントゲンを撮って
「他にも悪いところがあるようだから、この際徹底的に治しましょうか?」
というようなことは、まずないだろう。ここが、歯医者との違いだ。歯医者の場合は、必ず頼みもしないのに最初にレントゲンを撮られるのである。
正直なところ、こちらとしては今、痛みがある歯だけをナントカしてくれればいいだけなのである。歯医者の通院などは、必要最小限に止めたい自分としては、今痛みがないのなら痛み出してから治せばいいではないか、というのが本音である。
が、いざ歯医者で
「他にも悪いところがあるから、ついでに治しとこうか?」
と聞かれて「イヤです」とはいい難いから、本心とは逆でも「では、お願いします・・・」となってしまうのである。
歯医者からすれば、長く通わせてたくさんの治療をした方が儲かるのは間違いないだろうから、虫歯のたくさんある患者は「良いカモ」といえる。そこに歯医者の「算術」が隠されているのだろうと思うのは、自分自身が治療を怠ってきたせいもあるだろうが、必ず何度か通院させられるハメになるからなのである。
しかも内科での風邪の治療に比べ、歯医者の費用は高くつく。風邪の場合は初診だけは2000円程度はかかるが、2度目以降は大体1000円程度で済む。が、歯医者の場合は毎回2~3000円程度かかるだけでなく、さらに毎週の治療が2~3ヶ月は続くから、トータルであっという間に数万は掛かってしまうのだ。これは、大きな出費である。
が、この時はあの地獄のような痛みを体験したのと、またH先生が評判通りの腕らしく思ったほどの痛みを感じなかったことから、この時ばかりは珍しく
(この際、徹底的に治してしまおう)
という気になって、遂に虫歯を根絶した上に歯石も取って、完全に奇麗な状態となった ヽ(・∀・)ノ ワチョーイ
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