2023/02/21

ゲルマンの神々(2)

出典http://ozawa-katsuhiko.work/

ヘイムダル

 次に「ヘイムダル」ですが、彼はこの神々の世界を敵である巨人族から見張っている神であり、夜も眠る必要を感じず、夜の暗闇でも何処までも見通せ、草や羊の毛が伸びる音まで聞き逃さないと言われます。世界の終末の戦いの時、彼は角笛を吹き鳴らして神々やこの日に備えていた英雄たちを呼び集めると言われます。世界終末戦争において、彼は裏切り者の「悪神ロキ」と戦い相討ちとなっています。

 

ブラギ

「ブラギ」という神がおり、かれは賢く雄弁で、とりわけ「詩」に最も長けており「詩」は彼に由来すると言われます。

 

ヘズ

 「ヘズ」という神は非常に力のある神でしたが「盲目」であり、そのため悪神ロキにだまされて「バルドル」を死に追いやってしまうという悲運の神となります。彼は世界終末の後、新たな世界にバルドルと共に再生してきます。

 

ヴィーザル

 「ヴィーザル」は「トール」に次ぐ強さを持つとされますが「無口」で姿としては「厚い靴」を履いていると描写されています。彼は世界終末戦争において、オーディンが妖怪狼に食われて命を落とした時、すぐさまその仇をうつ働きを示し、新しき世界に生き残る神の一人となっています。

 

アーリ

 「アーリまたはヴアーリ」という神は「オーディンとリンド」の間の子で「名射手」だと言われます。彼も、また世界終末戦争で生き残る神の一人でした。

 

ウル

 「ウル」というのは「トール」の子で、決闘の折にはこの神に祈れと言われ、また「スキーの名手」だといわれるのが、いかにも北欧の神の性格を表しています。ノルウェーで広く崇拝された神らしく、地名にその名残を残しているとされます。

 

フォルセティー

 「フォルセティー」という神は、何か揉め事をもっていくと必ず和解して帰らすといわれ、神々と人間のための最もよい法廷であると言われます。

 

ニョルズ

 実は「エッダ」では早くに紹介される神なのですが、この神の出身が「アース・ガルド」ではなく「ヴァナ・ヘイム」に住む「ヴァンル神族」であるため別にしました。名前は「ニョルズ」といいます。彼がこの「アース神族」の中に数えられることになったのにはある経緯があって、「アース神族」と「ヴァンル神族」とが戦いになり、結局決着がつかずお互いに人質を差し出すことで和解したという事件がありました。この時「ニョルズ」が人質として、アース神族の世界に送り出されてきたというわけでした。こうして「ニョルズ」は「アース・ガルド」の住人になったのです。

 

 彼は風を支配し、海や火を鎮めるので「航海や漁」の時には彼に祈るべきとされます。彼は大変に裕福で財産家であり、祈願する者に土地でも動産でも与えることができると言われています。次に見られるようにニョルズたち「ヴァンル神族」は平穏で豊かで平和的です。この「アース神族」と「ヴァンル神族」との争いは、侵略者と原住民の戦いを歴史的背景にしていると考えられ、「ヴァンル神族」の方が原住民だと考えられています。

 

フレイ

 「フレイ」という名前の神が、この「ニョルズ」の子どもとして生まれており、従って彼も「アース・ガルド」の住人となります。この神は眉目秀麗である上に力も強く、何より雨と太陽を支配し、大地の成長を司り、豊穣と平和の神であると言われます。というわけで人間の「福祉」も司っていると言われ、もっとも有名な神だと言われます。

 世界終末戦争においては、彼は最も恐れられる「灼熱の国のスルト」と戦い、死闘を繰り広げましたが以前に宝剣を失っていたため、それが命取りとなって倒れていきました。

 

ロキ

 以上までが一応「オーディンと12神(合わせると13神)」ということになるのでしょうが、「エッダ」はこれに加えて「アース神の中傷者、あらゆる嘘の張本人、神々と人間の恥」とも呼ばれる者が「アース神の仲間」にいる、として紹介されてくるのが「ロキ」という名の神でした。

この神は「巨人族」の出身なのですが、この「アース神」の仲間として「アース・ガルド」におり、さまざまの「トラブル・メーカー」となってきますが、他方で神々を救うこともあり、ひどく気まぐれな神です。スノッリの「エッダ」による神々の物語というのは多くが彼に関係してきて、非常に特徴的なゲルマン神話の性格を作ってくるのは、実にこの「ロキ」だといえるのでした。彼については別個に特別に取り上げて紹介していきます。

0 件のコメント:

コメントを投稿