WBC決勝は、日本vs韓国となった。ひとつの大会の中で、同じ相手と5度も対戦するというのがそもそも正気の沙汰とは思えないが、その相手が韓国となればなおさら嫌気がさそうというものである。
元々がアメリカ主導の大会だから、アメリカがリーグ1位通過を当て込んで、有利な日程を組んでいるのはミエミエだった。そのアメリカが日本にボロ負けしたのは痛快だったが、この皺寄せで日本が韓国と5度の対戦というバカゲタ組み合わせになったのは、なんとも恨めしい。これでは、まるで「日韓大会」である。
「日本の決勝戦」としては、別のチームとの対戦が観たかったが、ここまで来たら「毒を食らわば皿まで」で、否応なく付き合わねばならないし、日本としては絶対に負けられない厳しい決勝戦となった。
内容的には日本が終始圧倒し、本来なら5点差くらいでもっと楽に勝てた試合だから、正直言って不満は多い。9回に杉内をダルビッシュに代えなければ、もっとすんなり優勝できたのにという思いも強いのが、偽らざる感想だ。とはいえ、ワタクシ自身がこれまで「プロは結果が総てだ」と繰り返してきたのであるし、今でもその考えに変わりはない。
「一生懸命、頑張った」や「内容は良かった」では許されないのが、シビアなプロの世界というものであり、適当にやろうが内容がいかに酷かろうが、要は最後に勝ち残ればいいのだ。その日本の結果は、キューバを圧倒して2連勝に続きアメリカをも撃破し、格下の韓国にもリベンジをして迎えた決勝で、再び返り討ちにしての2連覇は立派である。韓国はともかく、多数のメジャーリーガーを擁する中米のチームを抑えての優勝であり、しかも「前回覇者」の栄誉を引っ提げての連覇だから、これは賞賛に値する。結果としては、まったく文句の付けようがないのである。
日本の勝因は「頭脳を駆使した、緻密で丁寧な精度の高い野球」であろう。ベネズエラの試合は見ていないが、アメリカのあの大味な試合を見る限り、パワーだけに頼った中米の大雑把な野球は、日本の精度の高い野球の前に「なす術もなく屈した」と言えよう。中米に比べれば精度の高さを誇った韓国の野球も、日本の緻密さの前に屈した。日本の目指す方向性に、間違いがなかったことが証明されたのが、なによりも喜ばしい。
優勝を逃せば「A級戦犯」に落ちぶれていたハズだったあのイチローが、最後の最後であのような場面を演出したのだから、やはり千両役者というべきなのかもしれない。 日本としては、理想以上の出来すぎた結末だったと言えるが、これもここまでの努力の賜物なのであろう。プレッシャーを撥ね退けて栄冠を勝ち取った日本代表には、惜しみない拍手を送りたい。