2013/02/01

見解相違(歯医者地獄)(9)

結局、クチコミランキングで評判の歯科はどこも予約が取れず、上京して最初に通った「T歯科」に舞い戻る結果になった。評判も不明なまったく未知の歯科に飛び込み、トンデモないヤブかもしれないではないか。「T歯科」であれば「全幅」とまでは行かないまでも、ある程度の信頼は置けるのだから妥協も必要だ。

 

およそ3年ぶりとなった「T歯科」の院長は、開口一番「お久しぶりですね・・・」と、こちらのことを憶えていた。

 

前回は、向こう視点からすれば「治療途中でトンズラした」ようなイメージがあったかもしれないため

 

「今度はまた、どういったことで・・・?」

 

と聞かれ

 

「前回治療したところは問題なく、その後は仕事が忙しくなって足が遠のいた」

 

というストーリーにしておく。

 

「その後、暫くは問題がなかったが、最近別の歯が痛み出した・・・」

 

事実、今回の痛みが発生したのが祝日であり、他の医院と同様にこの「T歯科」も祝日は休みだから、仕方なく「C歯科」に行ったのだ。そこから派生した奥歯の痛みは、かつて「T歯科」で根治を奨められながら「今すぐでなくても良い」という言質をもらっていたため放置していたものだった。

 

ともあれ、これまでの一連の経過をそのまま話すと、さすがにセラミックの歯が「3本で50」というところで目を剥いた (  ゜ ;)エッ!!

 

「それは高いですね・・・うちでもセラミック治療はやりますが、そんなに高くはないですよ・・・」

 

と呆れ顔だ。

 

「いきなり言われても払える額じゃないので・・・金属で充分だと思っていますが」

 

と言うと

 

「勿論、セラミック以外にも色んな素材がありますから、保険内治療も出来ます」

 

と請合った。

 

「その歯科の話では、金属は食物や味噌汁の塩分などで溶けてくるので、結局数年立つと錆びて穴が開くと。その隙間から侵入したゴミが溜まるので、同じ繰り返しで根治にならないとか言うことでしたが・・・」

 

「必ずしも金属だから錆びるとか、穴が開くわけじゃないですけどね。金属といっても様々な素材もありますから、決してセラミックしかダメだと言うことはない」

 

と、話が大きく食い違っていた。

 

「参考までに、治療費と回数はどの程度になりますかね?」

 

と聞くと

 

「さあ・・・まだ見てみないと解らないけど・・・少なくとも、50万までは掛からないことだけは確かですね」

 

と苦笑いをしていた (m*)

 

この「T歯科」は、平日が7.5時間、土曜は午前のみの3時間の診療で、日祝は休診だ。予約は、1コマ30分で区切っている。17.5時間だから、フルに予約が埋まって平日15コマ、土曜は6コマで「15×575」+6で合計「81コマ」であるが、予約が一杯になるとは限らないから、仮に稼働率75%程度として「週60コマ」としておく。

 

これを月に換算すると「約250コマ」となる。治療費は平均すると2000円くらいかと思うが、中には高額な患者もいるから平均3000円としよう。3000円は患者負担であり、患者の負担分は「3割」だから、歯科の点数は3.3倍で「約1万円」である。

 

・「1万円」×250コマ」=¥2,500,000でざっと250万、これがT歯科の月収予想だが、中にはセラミックや審美のような保険外の治療もあるだろうから、その分を加味して「350万」としておく。月収350万だから、年収はさっと4200万となる。

 

この額はあくまで「売り上げ額」だから、ここから経費を引かなければいけない。病院の経費は膨大で「収入の78割が経費」と言われる。「T歯科」の場合、看護婦兼助手の女性が1人だけだから、経費は7割と見積もってみる。それでも医師の年収は3割しかないから、やっと12001300万程度だ。

 

開業医の場合は、莫大な開業資金の借金返済もあるだろうことを考慮すれば、結構厳しいかもしれない。さらに開業医の場合は、夜7時の診療が終っても勤務医のように自由があるわけではなく、レセプトの作成仕事が待ち受けており、これが実に大変だといわれる。診療を終えて20時に帰宅したとしても、このレセプト作成で恐らく夜中まで仕事に追われるだろうことを考慮すると、甚だ割に合わない。

 

先に見たように、診療時間から消化できるコマ数には限度があるだけに、旧来の保険内治療のみでは1500万くらいが頭打ちと思われる。なるほど、こうしてみると「審美歯科」やら先に見てきたような「セラミック治療」といった「取り放題の保険外治療」に力を入れたくなるのも、あながちわからないではない。

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