2013/09/04

安曇

安曇」の語源は、古代にこの地に移住してきた海人族安曇氏に由来する。安曇氏は、元々北九州の志賀島周辺を本拠地としていたが、全国に散らばって行った。穂高神社は信濃の安曇郡に定住した安曇氏が祖神を祀った古社であり、志賀島から全国に散った後の一族の本拠地はここだとされる。

 

安曇野」が指し示す範囲としては、明確に画定された線引きは無いが、概ね安曇野市、池田町、松川村の3市町の他、さらに松本市梓川地区(旧・梓川村)、大町市の南部(常盤・社地区)まで含まれることもある。古くは「安曇平(あづみだいら)」と呼ばれていたが、臼井吉見の小説『安曇野』によって有名になり、この名称が定着した。なお、「安曇」の平仮名表記については明確な基準は無いが、安曇氏が「アマツミ」に由来していることから「あづみ」と読む場合が多いが、現代仮名遣いでは一般的に「づ」は「ず」と表記するように定められていることから「あずみ」と表記している例もある。例:「あづみ」安曇野市、JAあづみなど。「あずみ」安曇追分駅など

 

「綿津見命(わたつみのみこと)」を信奉する安曇族(あづみぞく)は、かつて筑紫を中心に北部九州で海運を司っていたが、のちに東遷してこの場所に定住したらしい。 律令制の元で、信濃国安曇郡が成立。「アヅミ」は「海人津見(アマツミ)」の転じたものとされる。驚いたことに、筑紫と似た風習が食文化(馬食等)や地名、方言(安曇弁)などに残っているとか。

 

《西から東へと移動する海人は無数にあった(中略)

海人の中で代表的なものはアヅミ族で、「和名抄」にいう筑前国糟屋郡安曇郷、および博多湾の東を扼する志賀島に本拠を持つ。アヅミは阿曇、安曇、厚見、厚海、渥美、阿積などと表記されるが、その足跡は瀬戸内海を経由して阿波、淡路、播磨、摂津、河内、近江におよび、琵琶湖の西側には安曇川の地名を残している(中略)

さらに信濃国安曇郡は、糸魚川から南下した安曇一族が開拓したと伝えられ、式内社の穂高神社は安曇氏の祖神と仰がれる穂高見神を祀っている。

 

アツミという名の由来については、太田亮はアマツミ(海積)の省略であるとする。「ツミ」は原始的カバネの一つで、君、ヌシ、長、タマなどの語と比べられるという。吉田東伍は、海人持(阿麻都母智)の麻を省き、母智を美として「阿都美」としたのである、と述べている。

 

和名抄に「安曇は 信濃の安曇郡の例によってアヅミという。近江・筑前にも安曇郷がある。」、「海人津持(アマツモチ)」という古い呼び方を安曇姓にしたもので、安曇連は古事記にも出てくるが豊玉彦命の後裔である。今、伯耆の国に上安曇と下安曇の二つの村がある。これらはアヅマと呼ぶが これは住民がアヅミを訛ったことによる」   といったことが書いてある。

 

吉田東吾の大日本地名辞典には「安曇郷(米子市)は、安曇連に繋がる者の居住地であったことに由来するかもしれない」という。

 

日本歴史地名大系に「郷名のアズミはアマズミの縮まったもので、漁業や航海に従う海部の長となった氏族を指すと考えられている」としている。米子市のホームページを見ると、この米子市周辺は妻木晩田(むきばんだ)遺跡を始め、古代の遺跡がたくさん出てくる土地である。湧き水が豊かで、山麓部の棚田の存在など地理的条件から見ると、おそらくこれらの遺跡より古い時代に水田稲作耕民が入植した可能性はある。 

 

ポリネシア語による解釈

出典http://www.iris.dti.ne.jp/~muken/

古代からの郡名で、県の北西部の飛騨山脈(北アルプス)の東側、梓川左岸および糸魚川・高瀬川流域に位置し、おおむね現在の大町市、北安曇郡、南安曇郡(安曇村の一部(奈川右岸)および豊科町の一部(梓川右岸)を除く)、東筑摩郡奈川村の一部(奈川左岸)の地域です。

 

『和名抄』は「阿都之(あつし)」と訓じます。他の伯耆国会見郡安曇郷、筑前国糟屋郡阿曇(雲)郷、近江国伊香郡安曇郷はいずれも訓を欠きます。一般に「あづみ(あずみ)」と呼ばれます。

 

郡名は「アヅミ(「アマツミ」(海神)の転)」で、海人族の阿曇氏が土着したことによる「アヅ(崖、傾斜地、自然堤防)」の意とする説などがあります。この「あつし」、「あずみ」は  「アツ・ウチ」、ATU-UTI(atu=to indicate a direction or motion onwards,to indicate reciprocated action;uti=bite)、「繰り返し・(洪水で)浸食される(地域)」、「アツ・ミ」、ATU-MI(atu=to indicate a direction or motion onwards,to indicate reciprocated action;mi=stream,river)、「(至るところに)水が・湧き流れる(地域)」の転訛と解します。

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