2007/05/01

採点の技術(フィギュアスケート観戦ガイド)part3

プログラム構成要素の採点プログラム構成要素は、演技後ジャッジにより、0.25から10の範囲の0.25きざみの点数で評価される。点数は、次の段階に対応している。

0:とても劣っている
1
:劣っている
2
:弱い
3
:まずまず
4
:平均的
5
:中の上
6
:良い
7
:とても良い
8
:優れている
9-10
:とても優れている。

端数は、ある段階とその次の段階の特徴を併せ持っている演技に対して用いられる。

■ショートプログラム(あるシーズンでのシニア女子の例)
1
.アクセルジャンプ:2回転
2
.ステップからのジャンプ:3回転
3
.ジャンプコンビネーション:3回転&3回転or3回転&2回転
4
.フライングスピン:任意8回転以上
5
.足換えスピン:レイバック or サイドウェイズ 8回転以上
6
.スピンコンビネーション:基本姿勢をすべて含む 足換え1度、左右各6回転以上
7
.ステップシークエンス:任意
8.
スパイラルシークエンス:ポジション3つ 足換え1度以上

■フリースケーティング(あるシーズンでのシニア女子の例)
・ジャンプ要素:7つまで、うち1つはアクセルジャンプ、コンビネーション・シークエンスは3つまで
・スピン要素:3つまで、うち1つはコンビネーション(10回転以上)、1つはフライングから(6回転以上)、1つは単一姿勢のもの(6回転以上)
・ステップシークエンス:1つまで
・スパイラルシークエンス:1つまで(ポジションは2つ以上)

さて、前回までこれまで引用して来た通り、プログラム構成は膨大な必須の要素を含めた複雑極まりないものになっているが、それだけにそれを評価する方も大変だ。採点の方法は、大まかにいって以下のような感じになるらしい。

■技術要素
・ジャンプ
・ステップ
・スピン
・リフト

■演技全体の技術・表現・構成など
・スケーティング
・振付け

選手が演技した技術要素ひとつひとつに対し、また演技全体の技術・表現・構成など定められた基準ひとつひとつに対して、全ジャッジの意見をまとめた上で審判団として1つずつ点数を発行し、その合計点で順位を決める。一つの要素に対する配点も総て決まっていて、さらに後半の何分かという時間単位で同じ技でもボーナスポイントの加算があったり、当然の事ながら逆にミスをした分の減点のポイントも、着氷時の傾きや手を突いたり尻もちを付いた場合といった具合に、実に微に入り細に渡るまで細かく規定されているのである。

 《採点を細かくしたり、配点をあらかじめ決めておく事で、評価を一様に行う事が意図されています。ここから見て評価しなさい、ここから見て評価しなさい・・・として偏りのない評価を目指していますし、またこれをすればこの点数、この出来ならこの点数、これとこれの比重はこう、というように優劣の基準をあらかじめ示しておく事で、ジャッジの主観が入る余地を少なくしています》

これだけ覚えるのだけでも大変だが、これらの総てをプログラムの中に含めて構成しなければいけないのだから、選手は大変だ。TV中継などで、前半のジャンプなどで失敗した場合に、予定していたその後のプログラム構成を変えて演技をしている選手をよく見かけるが、あれだけ一分の隙もないくらいに複雑にプログラミングされた構成を一瞬のうちに、しかも激しく体を動かしながら頭の中で組み立て直していくのだから、素人からすればやはり神業に近い。しかも15歳とか、もしくはジュニアであればもっと年端のいかない選手が、それを当たり前のようにやってのけるのが、フィギュアスケートという特殊な世界なのである。

今では技術的に非常に難度が高くなって来ているため、競技後にVTRを見てジャンプの回転や足の位置などを確認しているようだが、いずれにしろこれだけ膨大かつ煩雑な要素総てについて、あの短い時間で数字で評価しなければならないのは、よほどフィギュアスケートに対する造詣と愛情がなければ、とても出来ない芸当であろう。

また、国際大会などのTV中継では、元選手が解説を勤めているが、出場してくる数十選手総てのプログラム構成を完璧にマスターしている「スケート頭」の凄さには恐れ入った。我々素人ならば、一人の選手のプログラムを完璧に暗記するだけでも大変であろう事を考えると、やはり道を究めた人の凄さが伝わって来ようというものだ。

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