「T歯科」での治療が再開した。ン年前、まだ地元の愛知に住んでいた時に被せた奥歯については、3年前の虫歯治療後に奨められていたものである。
「ン十年」間の間に、どのような状態になっているかわからないので、一度被せたものを取って中を確認してみた方がいい。もしゴミが溜まっているようなら、掃除もしないといけないだろう」
と言っていたが
「ただし痛みとか問題がないのであれば、特に今すぐにやらなくてもいいでしょうが・・・」
と言っていたのを免罪符として、そのまま放置していたのである。その放置が、何の因果か他の痛みの治療をしたタイミングで、痛みとなって表れたのだ。ここに至って問答無用で根治するしかなくなったが、ン十年間被せてあった金属を取り除いたところで「H歯科」のバカ高い治療費には見切りをつけた。
したがって「T歯科」に来た時は、ン十年被せたままだったものが外れた状態で、特に真ん中はブリッジを取り除いた穴が開いていただけに、何かと不自由だった。
(ともかく、早く穴を埋めてくれ・・・)
という願いも虚しく、またしても何度目かの「歯医者地獄」が始まろうとは・・・素人考えでは、すでに被せ物は取れた状態なのだから、さっさと歯を入れてくれというところだが、残った歯に
「ゴミが溜まっているので、まずはそれを取り除く必要がある」
ということらしい。これがまた気の遠くなるような手作業で、これだけで3回も通う羽目になり、その後も削ったり型を取ったりで、結局2ヶ月以上掛かってようやく穴が埋まった。
ともあれ「これで総ての治療が完了しました」とのご託宣であった。
「これで総ての治療が完了しました」とは言われたものの、本当に「完治」したのだろうか?
思えば、最初の「C歯科」で治した上の歯の痛みは、不思議と徐々に薄れてきていた。 とはいえ、その後「T歯科」で治療した奥歯は、ン年前の被せ物を外して新しい金属で被せ変えたものの、うがいなどをした時に水が滲みるのである。
だから「これで総ての治療が完了しました」と言われ、なおかつ
「他に何か気になるところとかは、ありませんか?」
と聞かれた時も
「ブリッジに当たるところの歯茎が滲みる感じがする・・・」
と、伝えた。
「そこは歯がないところですから、実際は他の上の歯じゃないかと思いますが・・・」
が、どう考えても滲みるのは「歯のないところの歯茎」なのだ。
と言うことを伝えると
「そうですね・・・歯はなくても歯茎にも神経がありますから、知覚過敏になっているのかもしれませんね・・・」
ということだったが、既にン年前に治療した金属を取って新しいものに代えたばかりであり、それをわざわざ外してまでどうこうというほどではない。滲みるといっても、それほど深刻な症状ではないのである。
「では、しばらく様子を見て問題があるようなら、また相談させていただきます・・・」
ということで、ともかく「T歯科」の治療は完了した。
ところが、この「T歯科」を出てから、以前にCCDカメラで口内撮影まで行った「H歯科」で「虫歯」と言われた上の前歯2本のことを思い出したのが、なんともタイミング的に悪かった。ずっと気にはなっていたのだが、この時は現実に滲みる歯のことばかりに気を取られて、すっかり忘れていたのだ。
とはいうものの「これで総ての治療が完了しました」と言われて歯科を出てから、すごすごと引き返して聞くのも間抜けな話である。
そもそも治療完了後、歯石まで取ったのだから、黒くなっているところには気付かないはずはなく「あの時に、何も言わなかったのはなぜだ?」との疑問が、時間の経過とともに膨張するにおよび
(本当に完治したのか?)
という不安が、頭の中で膨らんできていた (;-_-;) ウーム
(やはり、しっかりしたところでもう一度診てもらわなければ・・・)
ネットのクチコミでは評判が良く、以前からなかなか予約の取れなかった「T歯科」の予約がようやく取れた。この歯科は平日2日が休みの代わりに、土日に診察を行っているのがありがたいところで、この時も「日曜の16時半」という中途半端な時間で、どうにか予約が取れたのである。
ともあれ指定された時間に行くと、予約して行ったにも拘らず30分以上はたっぷりと待たされた挙句、ようやく呼ばれた。もっとも歯医者とは思えない、まるでビジネスホテルのロビーのような待合場所は、退屈しのぎにはもってこいだったが。
診察室も奇麗で、何台もの空気清浄機が動作しているためか実に快適な空間で、BGMはクラシックのピアノ、そして目の前のモニタには美しい風景映像が流れている。
「大変、お待たせいたしました・・・」
クチコミでは、ここの院長が「とても優しい先生」と評判が良かった。
こうした評判というのは、実物にお目にかかると得てして違っていたりするものだが、この先生はまったく評判どおりの「優しい先生」で、確かにこれまでお目にかかったどの医師よりも「優しい先生」だった。
この歯科は、前に行った「H歯科」と同じくCCDカメラを口内に入れて、総ての歯を前後左右から撮影した上での「画像診断」が特徴である。撮影した口内の画像をPCの画面に映しての説明もわかりやすく、またこちらの質問にも丁寧に答えてくれるのである。
説明によると
「噛み合わせなど問題と思われるところは何箇所かあるが、現状痛みなどがなければ特に治療の必要はないと思われる」
とのことで、最も気になっていた例の黒ずんでいた前歯2本については
「これは虫歯のように見えますが、虫歯ではありません」
ということだ。
この歯は、最初に書いたようにン年前に治療したところだったが、その当時に埋め込んだ物質の残骸とのことである。
「これはアマルガム合金といって、今では使われていません。なぜ使われなくなったかと言うと水銀が使われているためで、その後に登場してきた新しい金属に代わって、現在は殆ど使われません」
とのことだ。
「患者さんの場合はもう随分年月が経過していますから、もう溶けるものは総て溶けてなくなってしまっているはずですから、今残っている黒い部分はそのうちにポロリと取れてくるでしょう。その時に、新しい金属を詰めれば良いと思いますよ」という明快な回答だった。
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