2007/11/06

シューベルト アルペジョーネ ソナタ(第1楽章)


※チェロは「人間の声に最も近い楽器」と言われるが、語りかけるような優しい音色が素敵です。

 

 アルペジョーネとピアノのためのソナタは、シューベルトが182411月にウィーンで作曲した室内楽曲である。このソナタは、アルペジョーネのための作品では、今日現存する唯一の作品である。

 

 本作は、弦楽四重奏曲「死と乙女」と同時期の作品で、当時シューベルトは梅毒の進行に苛まれ、度々の抑鬱症の発作に見舞われてもいた。

 

 本作は、アルペジョーネが発明された翌年に作曲された。

 おそらくは、アルペジョーネの演奏に通じていた知人ヴィンチェンツ・シュースターから委嘱を受けてのこと、と考えられている。

 

シューベルトの死後1871年に出版されるまでに、アルペジョーネ自体が愛好されなくなり姿を消していた。

今日、この作品はもっぱらチェロ・ソナタ、ないしはヴィオラ・ソナタに編曲して演奏されている。また時折りコントラバスやギターが、アルペジョーネの代役を果たすこともある。

 

 アルペジョーネは復元されているが、奏者が乏しく殆ど実演は行われていないため、編曲が多く行われている。編曲に際し苦慮される点は、チェロやギターがアルペジョーネに比べ音域が狭いことである。6弦のアルペジョーネに対し、上記の楽器の殆どは4弦のため、アーティキュレーションを手直ししなければならない。

 また、アルペジョーネはフレットが付けられているため高音域の演奏が容易であり、これも現代の奏者を悩ませている。5弦のピッコロチェロは、音域は同一になるがフレットはない。

 

 シューベルトの原稿には、6弦全部をピッチカートする指示が提示部末尾(第一括弧)にあり、この箇所のためにアルペジョーネの「代用」品では一切実現が出来なくなっている。現在、代用される最も多い選択肢はチェロだが、高音域はかなり苦しい。コントラバスでは1オクターブ下がってしまい、シューベルトの意図とはかけ離れる。現在ヴィオラを5弦にし、その5弦目をEに調弦することで原作に近づける試みが行われている。

 

 ギターやマンドロンチェロで演奏を行うことは可能だが、やはり原曲は「弓奏」であるため、シューベルトの意図とは異なる。他の楽器で代用しても原作の触感には敵わないので、現代ではこの楽曲のためだけにアルペジョーネを復元し、チェロ奏者が担当することも行われている。

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