現在では全く廃れてしまった「アルペジョーネ」という楽器のために作曲された、唯一と言っていい作品である。そのような極めて「希少性」の高い作品をシューベルトが書いたのは、彼の友人でアルペジョーネの唯一と言っていいプロの演奏家(ヴィンツェンツ・シュースター)がいたためで、彼の依頼により作曲したものと見られている。
が、そのような「希少性」ゆえに価値があるのではなく、シューベルトならではの美しい叙情性に彩られた世界が展開されるためといえる。
シューベルトの最晩年、時期的には弦楽四重奏曲『死と乙女』などと同時期に作曲されたこの音楽には色濃く「死の影」が刻み込まれ、その「悲劇性」がまた多くの聞き手の心を捉える。
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