大相撲夏場所で、大関・琴欧州が優勝した。
大方の予想がそうだったと思うが、ワタクシも両横綱の優勝争いを予想していただけに、まったく意外な展開に驚いた。
他の力士に比べ、頭一つどころか三つも四つも抜けていた感のある両横綱が、揃ってあそこまで崩れるのというのは予想外だったが、それ以上にこのところすっかり「ダメ大関の象徴」のような存在に落ちぶれていた琴欧州が、あれだけの快進撃を見せるとは、誰が予想しえた事か。
元々、2メートルを超える恵まれた体格で、一時は朝青龍の強力なライバルになるかと目されていたのが、この琴欧州だった。が、大関昇進後は14場所で10勝を上げたのが僅かに3度、2度の途中休場を除く残りの9場所は9勝が5度、8勝止まりが4度というテイタラクで、ダメ大関を揶揄する場合の「クンロク大関」にすら届かず、大関失格だと歯噛みをしていたのは、ワタクシだけではなかったろう。
その琴欧州が、夏場所では人が変わったように堂々たる快進撃を演じた。初日から、あれよあれよと言う間に連勝街道を突っ走り、このところ子ども扱いをされ続けてきた朝青龍をも圧倒すると、翌日には返す刀でかつてライバルと謳われた白鵬も撃破し12連勝。13日目こそ苦手の安美錦に敗れはしたものの、結局14勝1敗という好成績で、誰の目にも文句なしの初優勝を決めた。長く続いていた、両モンゴル横綱の賜杯独占をストップした功績も大きい。
ここしばらくは、相撲以上に土俵外での数々の狼藉ぶりばかりが話題になっていた朝青龍には、散々ウンザリとさせられてきただけに、好青年を絵に描いたような琴欧州の笑顔が、実に爽やかに感じられたものだ。
千秋楽・結びの一番で見せた両横綱の派手な睨み合いを見て、琴欧州の場合は勝負師として優し過ぎる性格が災いしてきたのでは? と強く感じずにいられなかった。
この優勝が「まぐれ」で片付けられないように、そしてあのデカイ体を生かした堂々たる相撲で、両モンゴル横綱を弾き飛ばしていくような、今後の変身に期待したいものである。
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