2008/09/12

トイレ難民(前編)

 JR品川駅に直結して高層ビル群が幾つか建っているが、某出口に林立している建物は大手通信キャリアのNxx関連のビルが多く、業界では密かに「xx」などとも呼ばれている。

いつかの職場(某携帯キャリアプロジェクト)も、この一角にあった。その前までは、同じ品川駅から5分ほど歩いたところだったのが、引っ越してこの高層ビルになった。まだ比較的新しいビルで、全体的に綺麗なのとなにより駅直結だから、どんな大雨の日でも濡れる事がないのはありがたい・・・などと喜んでいたのはいいが、ひとつだけ非常に困った事があるのが判明した。

この職場はプロジェクト毎にフロアが分かれており、他のフロアも同じなのだろうが、当時所属していたフロアも昨今よくあるように、ワンフロアぶち抜きだった。ざっと見ても優に100人以上のエンジニアが居そうなのだが、そんな大所帯にもかかわらずトイレが異常に少ないのである。

これだけのフロアだから、トイレが二箇所や三箇所にあっても良さそうなものだが何故か一箇所にしかなく、しかも(尾籠な話で恐縮ではあるが)「大の方」となると、たったの三つしかないのである。

ワタクシのように、人一倍腹がデリケートな人間にとってこれは致命的に困るし、単に困ると言うレベルに止まらずオーバーに言えば「死活問題」とも言うべきであったろう。これは明らかに「ビルの設計ミス」だと憤りを覚えた。

これまでも、所属している人数が多い割りにトイレが少ないため、昼休み後には「大の方」が塞がっていて、なかなか入れないことはよくあったが、この現場に関しては昼休み後はおろか、どの時間帯に入ろうとしても全部塞がっている事が多いのだから、まったくオハナシにもならないのである。

「大」の個室の脇で、携帯などを弄くりながら待っている人の姿も珍しくはないくらいで、甚だ困った。こうした場合には、仕方なく階段を降りて下のフロアのトイレに行くしかないが、大体ここも満室だ。さらにもう一つ下のフロアに降りるが、こうなると大体において同じような行動パターンで動いている「トイレ難民」仲間が何人もいるから、どこまで行っても当然のように「満室」なのである。

さて、どうしたものか (´-ω-`)

 それならば、もう一つ下の階か上の階まで上がって行くしかないじゃないかと思われるだろうが、それは昨今の通信業界やIT業界のバカゲタまでのセキュリティの厳しさを知らない素人の戯言で、現実はこうしたビル内ではそう簡単に無関係なフロアに入ることは出来ないのである。

例えばこのケースであれば、上下2つを隔てたフロアはプロジェクトが異なるため、自分が持っているIDカードでは入れないのだ。言うまでもなく、階段の上り下りまでは自由ではあるが、各フロアに入るドアには認証用の機器が設置してあり、IDカードを翳してプロジェクト参画者である事を証明しない限り、トイレや通路といえども侵入することが出来ないのは、こうした企業では常識となっている。

さらに、このビル全体が某大手携帯企業の最先端プロジェクトをやっている関係上、まるでマンガのようなレベルまでセキュリティで権限が厳しく分離されているのが、話を余計にややこしくしていた。

かくなる上は、取るべき道は限られてくる。まず食堂のあるフロアで、これはさすがに誰もが入ることが出来るから、まずはここまで降りていく。が、当然ながら他のフロアは誰しも自由な出入りが出来ないとあっては、こんなケースの際には大抵ここも満室になっている確率が高い。

そうなるといよいよ、エントランスの2階か1階に降りて行くしかない。この2つは共用(といっても、これもIDカードがないと途中までしか入れない)フロアである。そのうちの2階には「大」が一つしかないので、まず空いている事は滅多にない。となると、最後の砦は1階だ。

ここは飲食店のテナントが入っているが、トイレは奥にあるから一般の客にはあまり知られておらず、ここは二つの「大」のうちのひとつが空いている確率が、40%近くはあった。

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