2008/09/23

「総合格闘家・朝青龍」待望論

大相撲の横綱・朝青龍が2場所連続途中休場で、いよいよ進退極まった。

 

かつては鬼のような強さで、向かうところ敵無しと驀進していた朝青龍だが、ここへ来て一気に力が衰えたのだろうか?

 

年齢的には今月でまだ28歳だから、通常であれば脂の乗り切った時期とも言えるが、早熟による疲労の蓄積もあるかもしれない。加えて、以前から指摘され続けて来た「稽古不足」のツケが廻ってきたか、ここ数場所は全盛期の凄みや鋭い動きに、やや翳りが見える感は否めなかった。

 

先場所は5日目で2敗を喫して休場、そして今場所も豊ノ島戦は足が残っているように見えたが、この疑惑の判定を含めて9日目までで4敗だから、これはもう「横綱失格」である。

 

単に数字だけでなく、負けの内容も悪い。以前なら絶体絶命の形になっても、最後までしぶとい抵抗を見せたものだったが、最近の呆気なく土俵を割ったり倒れ落ちたりという姿を目にすると、巷間言われている通り体力以上に勝負に対する執念の衰えを勘繰らずにはいられない。

 

これまでワタクシは、何度か朝青龍をテーマに採り上げてきた。内容的には総て批判的なものばかりだったが、これは総て「朝青龍の人間性」に対する批判であり、アスリートとしての朝青龍の素質と能力の高さを評価している点では、人後に落ちないつもりである。

 

ワタクシは以前から、朝青龍は相撲よりも格闘技の方に遥かに適正があると観ており、世間を騒がせるようなトラブルが起きる度に相撲界から追放して、総合格闘技などに転身を図って貰いたいと願っていたが、遂にその時がやってきたのである。

 

あの稀に見る運動神経と反射神経の持ち主であり、総合ではスーパーヘビー級だが、あの巨体であれだけ俊敏に動くだけでも、相当に脅威的な存在になるはずである。

 

格闘技オタクのワタクシの観るところ、朝青龍は無理に太り過ぎたのではないか、と思っている。あと2030kgくらい減量(理想は120kg程度)すれば、まだまだ全盛期に近い鋭い動きを取り戻せるのではないか。

 

総合格闘技の世界は大相撲とは違い「強さこそ正義」の世界だから、いかに素行が悪かろうが人間性が酷かろうが強ければ問題はない。朝青龍レベルのワルならゴマンと存在している世界であり、これこそ朝青龍にピッタリだと思う。

 

あの性格で、どの世界よりもしきたりや制約の多い相撲界で生きていくのは、土台無理がありすぎたのだ。あの喧嘩早さと負け嫌いの荒々しい気性、相手を威圧する迫力はどう見ても格闘技向きだし、腕力だけでもかなり戦えそうな気がするから、トレーニングを積んだらかなり行けるのではないか。

 

日本には「空気を読む」という文化がある。今場所、突然に導入された立会い正常化や、疑惑の判定、またマスコミや世論の論調のどれをとっても、日本中が朝青龍を一刻も早く土俵から引きずり下ろしたがっているのは、明らかなのだ。このまま土俵に上がり続けても「悪役」として、四面楚歌の針の筵に座らされ続けるのは間違いない。もちろん、そうなったのは総て自業自得とは言え、そこまでして大相撲界に拘る理由があるのだろうか?

 

あれだけ数々の大偉業を達成してきた大横綱として、引き際は清くしなければならない。進退をかけるという次(次の次?)の場所でも、恐らくは序盤から崩れて早々に引退に追い込まれるのではないか、と観るのが妥当だろう。

 

今や負ける事も珍しくなくなったとはいえ、未だに負けた時の盛り上がりや座布団の舞い具合は、第一人者の白鵬をも遥かに凌ぐ(良い悪いは別として)圧倒的な存在感である。あの「悪のオーラ」を引っさげて、是非とも四角いリングで思う存分に暴れまわって欲しいものである。

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