2009/05/04

責任分界点(カップヌードル騒動)

 数日後(2008.11.18)、日清食品のWebサイトを確認する。

<インスタントラーメンを臭いの強いもののそばに保管すると、臭いが移ってしまう「移り香 (うつりが)」がおこる可能性があることが分かりました。みなさまには、ご迷惑とご心配をおかけしまして、誠に申し訳ありませんでした。

カップヌードルは、今年4月より紙製のECOカップに変わりました。それは、環境性、防湿性、強度、をより高めた、発売以来37年目の大きな進化でした。しかし、臭いへのバリア性という点から見ると、まだ100%の品質ではなかったのかもしれません。いま、100%の品質に近づけるために「移り香」に対するバリア性をより高めるECOカップの開発に取り組んでいます。さまざまな検証を通して、製品化できる目処が付きました。これから順次切り替えていき、みなさまのお手元にお届けしていきます>

なんとなく、今回の騒動の原因が見えてきたような感じだが、ワタクシ的には少し前から「カップヌードル犯人説」に疑問を持っていた。その2日後、神奈川県警から以下の発表がなされた(2008.11.20

「移り香」事案に関する警察・保健所等の調査結果について

<日清食品の「カップヌードル」などから、防虫剤成分のパラジクロロベンゼンが検出された件で、保健所などによる工場への立ち入り検査が行われたが、工場内におけるパラジクロロベンゼンの使用は認められなかった。また、各工場に保管されている同一ロットの製品サンプルについても検査が行われたが、同じくパラジクロロベンゼンは検出されなかった>

<また、藤沢市および横須賀市の事案について、117日、県警科学捜査研究所の鑑定結果等を神奈川県警が同月6日に発表した。これによると、容器から微量の防虫剤成分のパラジクロロベンゼンが検出されたが容器に穴などは確認できず、外部混入の可能性は低いとされており、またいずれも防虫剤を入れたたんすなどの近くにカップめんが保管されており、保管時に防虫剤のにおいが移ったとみられる>

 「カップヌードル」ユーザーであるワタクシは

「カップヌードル自体に、問題があったわけではなかったんだな」

と、ほっと胸を撫で下ろした。と同時にWebサイトを見ているうちに、濡れ衣を着せられた「カップヌードル」およびメーカーに対し同情を禁じえなかったのと、この騒動の元凶に対して沸々とした憤りが沸き起こってきた。

結果的には濡れ衣は晴らされたとはいえ、1ヶ月もの間に渡って消費者から疑惑の目で見られ、信用を大いに損なったメーカーの心情を思えば、心あるものであれば言葉も出ないというものではないか。一連の騒動で、メーカーには今後も不当に「負」のイメージが付いて廻る事は避けられないだろうし、当事者にとってはなんともやりきれないはずだ。

この件に限らず、明らかに自己責任の範囲内で起こった事故にまで、メーカーや公的機関に責任を求めてやまない厚顔無恥な御仁の近頃なんと多い事だろうか。自称「被害者」は、こうした相手の心情やら社会的な影響などを、慮ったことがあるのか?

この濡れ衣を晴らすため、あるいは身に降りかかった火の粉を払い落とすために、一体メーカーがどのくらいの宣伝費や人的労力、または対応のための余計な費用を使わなくてはならなかったのだろう。このような無駄な捜査や調査に奔走させられた、警察や保健所などの人的負担と掛かった費用にしても、恐らくは莫大なものを要した事だろう。

これらは言うまでもなく、我々の血税である。一人の愚か者の無知蒙昧に始まり、これだけの公的な機関や組織が無為に踊らされた顛末を見るにつけ、まことに開いた口が塞がらない。

自称「被害者」の「意図」は知る由もないが、自らの保管のミスが招いた事態という結果を見ると、悪意のないただの無知蒙昧だとしても重罪に値するが、なんらかの恣意的な悪意(ライバル会社による狂言?)や愉快犯的な悪質な悪戯かと疑われても仕方がない。

その後、スーパーなどの棚には

「インスタントラーメンを臭いの強いもののそばに保管すると、臭いが移ってしまう移り香が起こる可能性があるため、そのような場所には保管しないでください」

などと貼り紙がしてあった。こんなことはインスタントラーメンに限らずとも、小学生でも解るような常識中の常識であり、責任分界点を弁えないようなバカの相手をしていてはキリがないのである。

訴訟社会の欧米並みに、このような相手のことを考えない手前勝手なバカモノどもが横行する最近の風潮は、社会に不幸な混乱を招くばかりであり、まったくもって重罪に値するのではないか。

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