2011/05/09

無計画停電の犯罪(原発問題part3)

「計画停電」の無計画

大震災と原発事故だけでも、過去に例を見ないような惨憺たるダメージを蒙ったところへ、さらに輪を掛けた追い討ちとなったのが「計画停電」だ。

 

まず大前提として半官半民のような独占企業の電力会社が、どんな事情であれユーザーの需要に応じた供給を満たせないというのは、電力会社として失格とも最大の恥とも言うべきである。今回に関する限り、福島原発が使えなくなり電力供給が追いつかなくなったという理屈はわかる(前述したように、実際には天災によるものより人災的な側面が圧倒的に多い)が、民間の休眠発電所やら自家発電設備などもたくさんあるのだから、そうしたものを掻き集める努力を先ずはすべきであった。

 

そのように「八方手を尽くしてはみたが、どう頑張ってもこれ以上はどうにもならぬ」という死に物狂いの努力をした挙句の「計画停電のお願い」であれば、まだしも筋が通っているし一定の理解は得られたハズである。ところが現実としては、そのような本来しなければならない努力は最初から放擲し、いきなり「値上げ」に頼って「お客様に汚らしい尻拭いを押し付けよう」というテイタラクには呆れた。これでは、夜道でいきなり背後から斬り付けたようなもので、ユーザーの理解など到底得られるわけがない。

 

そのような非常識なお願いをされ「苦渋の決断だったが、これを了承した」とのたまったボンクラ総理は、一体全体なにがどのような「苦渋の決断だった」のか、説明してくれ。

 

このようにして、そもそもの前提からしてユーザーの理解が得られようはずがないのに、さらに東電は貧すれば鈍するを絵に描いたような「輪番停電」などという、時代錯誤なアホをやって燃え盛る火に油を注いだから救い難い。そもそも電力消費の少ない早朝や深夜に、電力消費を抑える意味などはまったくない。また影響の大きいことがわかりきっている、通勤ラッシュの時間帯も強行するなども、正気の沙汰とはいえない。  さらにグループ分けもインチキで、実際に毎回のように実施していたのは群馬県やら山梨県やら田舎ばかりだ。

 

このような田舎都市の電力消費量など、ひとまとめにしたところで東京都の一区にも満たないだろうに、大口顧客の集中する千代田区や新宿、銀座など都心部を全て「対象外地域」とした時点で「計画」は破綻していた。その結果として人命を奪う治安の悪化だけでなく、復興に必要な製造業など企業活動に対する致命的な障壁となってしまったのは、経済的にも重大犯罪である。

 

ちなみに、ワタクシの住んでいる地域は当初「(東京都)第一グループ」に入っていたものの、すぐに「対象外地域」に指定され結果として一度も停電は行われなかった。

 

緊急地震速報の有難迷惑

「いつ、どの程度の規模のものが発生するかが皆目予知できない」のが地震の怖さだ。ここに台風や雷などある程度正確な予測が出来るものや、襲来までに一定の備えが出来るような他の多くの自然災害と違い、特に地震が人々に恐怖を齎す原因がある。ところが時代とともに「地震予知」技術も、それなりに進歩しているらしい。まだ「予知」とまでは呼べるレベルではないものの、ひと昔前なら考えもしなかった「緊急地震速報」などというものまで登場し、3月の大震災以来はTVで頻繁にお目にかかることになった。

 

この「突然、何の前触れもなく襲ってくる」というのが、地震の恐怖をさらに増幅させていたわけだから「せめて前もって予知できれば備えも出来るし、恐怖感も薄まるはずなのだが・・・」と信じていた・・・

 

そこへ、あの巨大地震である。肝心の本震が予知できたかどうかは詳らかではないが、その後に立て続けに起きた余震においては、あの「緊急地震速報」が大活躍した。普段はTVを観ないワタクシも、あの巨大地震から派生した原発事故その他の行方が気になり、在宅時間はほぼTVをつけっぱなしにしていた。

 

するとニュースの合間に、唐突にあの警告音とともに「緊急地震速報です」というアナウンスと「○○都道府県で地震 強い揺れに警戒。○○地方、○○地方 など」のテロップが頻繁に流れ、アナウンサーらの緊張に引き攣った顔が映る。「強い揺れに警戒」などと言われると、思わず緊張しながらテーブルを握り締めてしまう。しかも本震後数日はこれが実に頻繁に出てくるから、なんとも心臓に悪かった。

 

かくして「せめて前もって予知できれば、恐怖感も薄まるはずなのだが・・・」などは「無知に基づくトンデモナイ勘違い」だと思い知らされることに。「ならば、TVを観るのをやめればよいじゃないか」と言われそうだが、やはり従来通りなにも情報がない中で、いきなりやってこられるのも、これまた困るのだ。さりとて「緊急地震速報」なるものが、かつて漠然と期待していたような重宝なものかといえば、必ずしもそうとは言えず徒に心臓に悪いだけのような気もする。

 

そもそも現状では、殆ど「予知」の名に値しないようなリアルタイムでの「速報」だけに、せめて棚から落ちそうなものを仕舞う程度の備えをしている時間的余裕すら、まったくないのである。また本震による計器類の故障で、肝心の精度そのものもかなり狂っていたのが、余計に混乱に拍車を掛けた。本震直後、頻繁に起こっていた余震がひと段落した頃、久しぶりに

 

「緊急地震速報です。○○都道府県で地震、強い揺れに警戒。○○地方、○○地方 など」

 

が出た時には、すっかり油断していただけに余計に緊張してテーブルを握り締めたが、一向に揺れず結果は「震度2」だったなどという拍子抜けもあった。

 

本震当日、20kmの道程を4時間半掛けて徒歩で帰ったのがトラウマとなり、その後しばらくは出かけるたびに出先から徒歩でどのくらいかかるかを、iPhoneでチェックする癖がついてしまっただけでなく、電車に乗っている時に携帯向けの地震警報アプリが周辺から一斉に鳴り始め、電車は停まるわでちょっとしたパニックになったことも。これまでならば、なにも気付かずに終わっていたような小さな揺れだったが、こうして中途半端な予知と「親切な緊急地震速報」に翻弄され続ける始末となった ('Д'y ─┛~~

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