2014/07/19

膳組(世界遺産登録記念・日本料理の魅力)(4)

一汁三菜以上を饗応に用いる料理とし、不祝儀の時は本膳だけが多い。本膳料理は総て高足膳であるが、一汁二菜、一汁一菜では足のある膳を用いない。

 

一汁五菜

本膳・・・なます、汁、坪、飯、香の物、焼物

平、猪口、吸物、台引、酒、菓子、薄茶

 

・・・二番目の膳に付ける「」と区別して、本膳に付けられる煮物を「」という。  野菜の煮物やしんじょ(魚肉のすりつぶしの蒸物)のあんかけを蓋付きの深い器、すなわち「坪」(坪は壷とも書き、壷形の器)に盛りつけて出す。

 

猪口(ちょく)・・・器の名称で、イノシシの口に似ているところから「猪口」と呼ぶ。飲酒用の杯や付け醤油の容器を指す場合と、酢の物、和え物など小さな器に盛る料理を指す場合がある。

 

台引・・・台引といって口取(蒲鉾、金とん、羊かん、伊達巻きなど) が付く。現在は酒が主体になったため、口取の内容も変化し、枝豆、あわびの蒸し焼きなどに変わってきている。一汁五菜から煮物を除いてしまった時、一汁四菜といわないで一汁共五菜という。

 

二汁五菜

本膳・・・なます、汁、坪、飯、香の物、焼物

二の膳・・・平、汁、猪口、吸物、台引、酒、菓子、濃茶、後菓子、薄茶

一汁五菜の献立に「二の汁」を加えて「二の膳」にしたものである。現在、最も多く用いられている膳組である。

 

三汁七菜

本膳・・・なます、汁、坪、飯、香の物

二の膳・・・平、汁、猪口 三の膳・・・椀、汁、刺身

焼物膳、引き物膳

「本膳」の「一の汁」は味噌仕立て。「二の膳」の「二の汁」は、多くがすまし汁仕立て。 「三の膳」の「三の汁」は潮(うしお)仕立てである。潮仕立ては、すましの一種である。煮だし汁を用いず、魚貝類を水から入れて煮出し、塩味だけで調味したものである。

元は海水で仕立てたといわれ、鯛の潮仕立ては最高とされている。

 

・・・椀盛りの煮物汁のこと。

 焼物膳」は、小鯛の尾頭付きの塩焼きが普通であり、これを 「与の膳」 と称する者もいる。四(死)の数を嫌い「四の膳」とはいわず「与の膳」といったわけである。「引き物膳」は口取が盛られた、おみやげ用の膳で「台引」ともいう。「五の膳」と称する者もいる。

 

「焼物膳」、「引き物膳」は、箸をつけないで折り詰めにして持ち帰る。今日の結婚披露宴の引出物は、この形を変えたものである。儀式の時は普通、天婦羅などの揚げ物を出さないが、揚げ物を出す時は焼物の代わりに出される。

 

西洋料理を日本人の主食であった短粒種のジャポニカ米や一汁三菜のスタイルに合う副食として取り入れ、改変・融合したすき焼きやライスカレー、オムライス、豚カツなどは、しばしば和洋折衷料理と呼ばれた。ステーキ・ハンバーグのソースやサラダのドレッシングに大根おろしと醤油を使う場合もあれば、スパゲティのソースとして明太子、たらこ、納豆、しそ、梅干しなどを使う場合もある。このような食事は、日本料理とはいわず「和風ステーキ」などと呼ぶ事が一般的である。

 

以下のように、日本料理か否かの意見が分かれる場合もある。

 

・明らかに折衷料理であるために判断が難しいもの(例 : サラダうどん・和風スパゲティ)

 

・ルーツを日本国外に持つが、日本で独自に調理方法を変えたり日本風にアレンジされたもの(例 :焼きそば・ラーメン・カレーライス)

 

・ルーツは日本である日本料理だが、日本国外で独自に調理方法を変えたり現地風にアレンジされ、逆輸入されたもの(例 : カリフォルニアロール)

 

・日本国外の食材や料理法を応用した日本独自の料理には、海外の地名を付けたり実際には存在しない海外のご当地料理を想定して、日本で考案したものもある(例 : オムライス、日本風(和風)チキンライス、トルコライス)。

 

・素材や料理法からはどちらとも判断つけがたい上に、和食洋食両方の扱いを受けている事があるもの(例 : 豚肉の生姜焼きとポークジンジャー、ハッシュドビーフアンドライスとハヤシライス)

 

特徴

刺身、焼き物、煮物、漬物、飯などを食器に盛り付け、一つの箱(弁当箱)に詰めた松花堂弁当。日本の食文化の特徴として、日本の国土に根ざした多様な食材の新鮮なままでの使用、一汁三菜を基本とする米を中心とした栄養バランスに優れた構成による長寿・肥満防止に役立つ健康的な食事、自然の美しさや季節の移ろいの表現、正月などの日本の年中行事との密接な関わりが挙げられている。

 

日本料理は素材に手を余り加えず、選ばれた素材そのものの風味、よさを引き立たせる素朴な調理法が尊重される傾向が強く「素材の持ち味以上においしくしない」ことを原則とし「日本人はおいしいものを探し、その持ち味を味わうことを第一としており、おいしくないものに手を加えてまで食べたいとは思わなかった」とその調理の「消極性」が表現されることもある。

 

これは濃厚な調味料を使い「積極的」に調味したフランス料理や中華料理と比較すると明白であり、豆腐料理における冷奴や湯豆腐に対する麻婆豆腐といった例をあげることができる。

 

また中華料理に良く見られる、揚げた後に煮込んで揚げ浸しにしたり、あんかけにすることで泥臭い川魚や獣肉を食べやすくするといった食材に対する融通性や、油を多用した食材加工技術は日本料理ではうなぎの蒲焼や南蛮漬け、茄子の揚げびたしのようなもの以外は、あまり顕著ではない。

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