第7の難題「クレタの牡牛を捕まえること」
クレタ島に巨大な牡牛がおり、その凶暴な牛を捕まえることが仕事であった。ヘラクレスは一人で牡牛を捕らえ、エウリュステウスのもとに帰った。この牛は、その後自由にされて各地を彷徨ったあげく、マラトンの地に住み着いて住民を悩まし、そしてテセウスによって退治されるという「テセウス伝説」につながる。
第8の難行「トラキアの牝馬を持ち帰ること」
トラキア地方(ギリシャの北方地方)に「人喰い牝馬」がいた。今度は、その馬を捕らえて持ち帰ることが仕事となった。ヘラクレスは同行の士を募って出かけ、到着するやその馬の世話をしている者たちを制圧して、その馬を手に入れる。しかし事態を知った土地の王の配下の者が襲いかかって来たため、ヘラクレスは連れてきたアブデロスという少年にその馬を預けて敵を迎え打ち、その地の王を討ち取り敵を敗走させる。
その間、アブデロス少年は馬に引きずられて死んでしまうという事件が起き、ヘラクレスはそのアブデロス少年を葬り、その地に一つの都市を築くことにした。その都市が「アブデラ」で、後にギリシャ哲学史で出てくるデモクリトスやソフィストのプロタゴラスの故郷として有名になった。
一方、その牝馬はエウリュステウスのもとに連れてこられた後、釈放されて故郷のトラキアを目指して帰って行ったが、故郷が望めるくらいのところにあるギリシャ北方のオリュンポス山まで来たところで野獣に襲われ、喰い殺されてしまった。
第9の難行「アマゾンの女王ヒッポリュテの帯を持ってくること」
次の難題は「女だけの軍隊アマゾン」の女王、ヒッポリュテの帯を持ってくることであった。その女王は、女王の徴として「戦いの神アレスの帯」を身につけていた。それをエウリュステウスの娘が欲しがったので、ヘラクレスがこれを取ってくるよう命令されてしまった。ヘラクレスは再び仲間を募って出帆し、アマゾンの地までやってきて、ヒッポリュテに訳を話し、彼女は多分いざこざを起こすと厄介な相手と思ったのか、帯を与えることを承知する。
これを見ていた女神ヘラがまたしても邪心をおこし、人間の女に身を変えて、見知らぬ連中が女王を攫いにやってきたと触れて回って、かくして武装したアマゾン軍が攻め寄せてくることになってしまう。騙されたと思ったヘラクレスは、女王のヒッポリュテを殺してしまい、帯を奪って出航していく。
第10の難行「エリュテイアから牛を持ってくること」
地の果てのオケアノスの近くにあるというエリュテイアという島から、胴体は一つなのに上半身は三つあり、足も三人前という怪人ゲリュオネスのもので、さらに二つの頭を持つ怪獣犬が守っている「紅の牛」を奪ってくることが今度の仕事だった。
ヘラクレスは、数々の冒険を経ながらそこへ辿り着くが、途中、現在のアフリカとヨーロッパが向かい合っているところに柱を立て、後に「ヘラクレスの柱」と呼ばれことになった。従ってヘラクレスは、地中海の西端にまできたことになる。古代ギリシャ人は、ここまでを自分たちの活動領域としていて、その外つまり大西洋に「オケアノス」をみていたのかもしれない。
この物語は、途中太陽神ヘリオスとの逸話があったり、イタリアという地名の所以の話しがあったり、また例によってヘラの邪魔があったり、様々な話に彩られながら展開し、少々乱れた逸話がたくさん挿入され分かりにくいが、ともかく成功する。
第11の難行「ヘスペリスの黄金のリンゴを持ってくること」
仕事は本来「10」のはずであったが「レルナのヒュドラ退治」と「エリスの家畜小屋掃除」は認められず、さらに二つの難行が加わってしまう。その一つは(11番目となる)は「ヘスペリスの持つ黄金のリンゴ」を取ってくることであった。その「リンゴ」というのは、あのゼウスとヘラが結婚した時に「大地の女神ガイア」がゼウスに贈ったもので、それをヘスペリス四姉妹と不死身の百の頭を持った龍が守っているのであった。
ヘラクレスは出かけ、幾つかの逸話があり、彼は何にでも姿を変えられるネレウスという海の老人のところに出向く。このネレウスは何でも知っていたからで、そしてヘラクレスはネレウスが眠っているところを襲い、あらゆるものに変身して逃れようとする彼を放さず、縛り上げてしまう。ネレウスは、その在処をヘラクレスに教える。
ヘラクレスはリビアを通り過ぎ、さらにエジプトを通り、この間、旅人に相撲を挑んでは、それを投げ殺してしまうという王を逆にやっつけたり、ある国で旅人をゼウスの祭壇で犠牲にしてしまうという王を退治するという仕事もしていく。
さらにアジアを通ってアラビアに沿って進み「縛られた神プロメテウス」のところへやってくる。
この「予知の神」であった巨人神は、スキュティアの山に括りつけられて、毎日鷲が彼の肝臓を喰いに来ていた。ヘラクレスはその鷲を退治してやり、プロメテウスを解放し、その教えによってやっとヘラクレスはヒュペルボレオス人のところに到達して、この地にあって、この大地を支えているアトラスにリンゴを取りに行ってもらう。アトラスがリンゴを取りに言っている間は、ヘラクレスが代わってこの大地を支えていた。アトラスは無事リンゴを持って帰ってきたが、彼はヘラクレスに自分がエウリュステウスのところにリンゴを持っていくから、お前が大地を支えているようにと言い出した。
ヘラクレスはさりげなく、それもいいが、だとすると支えの「当て」をする必要があるからそれを取ってくると言って、アトラスに大地を渡す。アトラスはリンゴを置いて、再びその大地を受け取ってしまう。ヘラクレスは黙ってリンゴを拾い上げると、そのままその場を立ち去っていった。こうしてエウリュステウスのもとに届けられたリンゴは、再びヘラクレスに戻されたが、それは女神アテネに返され、再び元の場所に戻された。
第12の難行「冥界の番犬ケルベロスを連れてくること」
最後の難行は「死者の国の番犬ケルベロス」を連れて帰れというものだった。この犬は普通の犬ではなく、三つの頭と龍の尻尾、そして背中にはあらゆる種類の蛇が生えていた。
ともかく「死者の国・冥界」に行かなくてはならない。そこでヘラクレスは、冥界との繋がりがあるとされる、エレウシスという秘教の地へと赴く。その入会資格のことで問題が色々あったが、ともかく冥界へと降りていく。ラクレスはエウリュステウスの命令であることは隠して、うまくいったら家畜の十分の一を貰いたいと持ちかけ、できっこないと高を括って途中様々の亡霊に行き会い、ついに冥界の王のところにやってくる。冥界の王ハデスは、武器を使わずケルペロスを屈服させられたら連れていってもよい、と言った。
途中様々の亡霊に行き会い、ついに「冥界の王」のところにやってくる。冥界の王ハデスは、武器を使わずケルペロスを屈服させられたら連れていってもよい、と言った。しかし、それを見届けに来たエウリユステウスの使者は、ミミズクになってしまう。エウリユステウスは、何時も隠れる壺の中に身を隠して恐れおののいていた。そしてヘラクレスは、再びこれを冥界にと連れて帰った。
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