2020/06/11

オイディプス王(ギリシャ神話80)



ソポクレスの悲劇『オイディプス王』の運び
1.疫病の蔓延に苦しむ市民の代表たる長老達の願いと、それに応えるオイディプス。

2.すでにデルポイに神託を伺いに、王妃の弟クレオンを派遣してあること。

3.ライオス殺害の犯人を追放か、死刑にしなければならないこと。その決意の表明。

4.犯人への呪いと、犯人を知る者への告示の命。

5.有名な「盲目の予言者」、テイレシアスを呼びにやっていること。

6.すべてを知るテイレシアスは言を左右にし、ついにオイディプスと口論になる。

7.口論の中で、テイレシアスはオイディプスが犯人たることを言明。

8.オイディプス、その言は自分を追い落とそうとする、クレオンの差し金と誤解する。

9.オイディプスと帰ってきたクレオンとの口論。

10.王妃イオカステが仲裁に入る。

11.イオカステ、予言など当てにならぬことをオイディプスに言うため、ライオスに下された神託に言及する。すなわち、ライオスは子供によって殺されるはずであったが、盗賊に殺されたこと、子供は山中に捨てられ死んでいるはずのこと、を言う。

12.オイディプス、ライオスが三つ又の道で殺されたという言葉に胸騒ぎを覚え、その状況を詳しく聞き出す。

13.オイディプス、自分がライオスを殺した犯人らしいことを予感する。

14.現場から逃げ帰った下僕がいることを聞き、その者を呼ぶよう命ずる。

15.オイディプス、自分の身の上を語り出す。すなわち、コリントス王の元で育ったこと、ある時、デルポイの神託で父を殺し母と子を為すに至ることを予言され、それを恐れて放浪していたこと。その途中例の三つ又の道で、争いで老人を殺していることなどを話していく。

16.ともあれ、逃げ帰った下僕を待つこととする。その話で、犯人は一人とあれば自分が犯人と確認する(ただし、ここでは自分がライオスの殺害者であることは予感していても、自分はライオスの子であるとは考えていない。それとこれとは別のこととして、考えられるからである)。

17.コリントスからの使者が登場し、コリントス王の死とオイディプスが後を継ぐよう望まれていることを告げる。

18.オイディプス、父の死に神託の不実を言うが、一方で母とのことを恐れる。

19.使者は、コリントスの両親は本当の親ではないことを告げる。そして、自分自身がオイディプスを、捨てられていたキタイロン山で羊飼いから譲り受けたことを明らかにする。

20.その羊飼いこそ、ライオス殺害現場から逃げ帰った、その下僕であることが告げられる。彼が来れば、全てが判明するわけである。

21. 王妃イオカステはすべてを悟り、これ以上の詮索はやめるように叫ぶが、オイディプスは、あくまで自分の素性を明らかにするつもりである、と言う。ただし、ここでもオイディプスは自分がライオスの子であるとは思っていない。卑しい奴隷の子か、なにかだと思っている(何故ならライオスの子、ライオス殺し、捨て子、はそれぞれ別であっておかしくなく、それを同一と言っているのは神託だけである。
オイディプスが、自分をライオス殺しで捨て子とまで考えたとしても、それがライオスの子とする証拠は神託以外まだなにもない。ただ捨てた当人であるイオカステは、捨て子はライオスの子と状況からして分かってしまったわけで、彼女は神託を信じないわけにはいかなくなってしまった)。

22.イオカステは、絶望して奥へと消えていく。

23.老人が連れてこられ、かの羊飼いにして逃げ帰ってきた下僕であることが告げられる。彼はシラをきろうとするが、オイディプスに攻め立てられ、ついに真実を明らかにする。

24.かくして、オイディプスはすべてを知ることとなり、狂気のように城の中に駆け込んでいく。

25.召使が登場し、城中でのことを報告する。すなわち、イオカステがすでに首を吊って死んでいたこと、狂気のようになっていたオイディプスがそれを発見。床に下ろすとイオカステの衣の止め金を抜き取り、我とわが両目を何度も突き刺し、雨のように血飛沫を浴びたことなどを告げる。

26.オイディプスが現れ、自らの行為を語り、自ら追放をクレオンにたのむ。この辺りのセリフは凄絶である。

27.クレオン、オイディプスの二人の娘を連れてきてやり、後の処置をとるべく、オイディプス達をつれて退場する。

悲劇作家ソポクレスは、この「オイディプス」の物語を、さらに『コロノスのオイディプス』『アンティゴネ』という作品でも描いている。

『コロノスのオイディプス』
1.オイディプスのその後の物語で、忌まわしい人物として石もて追われながら彷徨うオイディプスと、父を支えて健気にその運命を共にしている娘アンティゴネが、アテナイへと彷徨いやってくる。

2.オイディプスの持つ汚れを恐れて、立ち退きを迫るアテナイの長老。

3.この場所が「エウメニデスの神域」であることが分かったオイディプスは、ここが自分に定められた死の場所であることを主張する。

4.アンティゴネの妹イスメネが、テバイの危機とオイディプスを拉致しようとする、テバイの王エテオクレスとクレオンの企みを知らせに駆け付けてくる。

5.テバイの危機とは、オイディプスの二人の息子エテオクレスとポリュネイケスが、王位争いから戦争になるとの危機であり、オイディプスの拉致とは、神託が「オイディプスのあるところに幸いがある」と告げたからであった。

6.イスメネを追ってきたテバイのクレオンと、オイディプス達を保護しに駆け付けたアテナイ王テセウスとの争い。

7.オイディプスのもう一人の息子ポリュネイケスも、オイディプスに助力を求めてやってくる。

8.自分勝手な息子達に、オイディプスの呪いは厳しい。死を覚悟して立ち去らねばならぬポリュネイケス。それを慰め、兄を諭すアンティゴネ。

9.やがて雷鳴(つまり、ゼウスの約束を意味する。オイディプスは、その埋葬の地に繁栄をもたらすという定めを与えられていた)とともに、オイディプスはアテナイ王テセウスを伴い、死の場所へと赴いていく。

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