2020/12/11

六派哲学(インド哲学3)

 ヴァイシェーシカ学派は、ダルシャナdarśana)の学派。六派哲学ad darśana)の1つ。カナーダが書いたとされる『ヴァイシェーシカ・スートラ』を根本経典とする。一種の自然哲学と見なされることもある。

 

『ヴァイシェーシカ・スートラ』では、全存在を6種のカテゴリーから説明する。言葉は実在に対応しており、カテゴリーは思惟の形式ではなく客観的なものであるとする。 カテゴリーは、実体・属性・運動・特殊・普遍・内属の6種である。

 

6種のカテゴリー

実体

実体(dravya)は、以下のように分けられる。

 

(pthivī)

(āpas)

(tejas)

(vāyu)

虚空 (ākāśa)

時間 (kāla)

方向 (dik)

アートマン (ātman)

意(マナス) (manas)

 

属性

属性(gua)は以下のように分けられる。

(rūpa)

(rasa)

(gandha)

芳香

悪臭

(sparśa)

非冷非熱

(sakhyā)

(parimāa)

別異性 (pthaktva)

結合 (sayoga)

分離 (vibhāga)

彼方性 (paratva)

此方性 (aparatva)

知識作用 (buddhi)

(sukha)

(dukha)

欲求 (icchā)

嫌悪 (dvea)

意志的努力 (prayatna)

 

運動

運動(karma)は、以下のように分けられる。

 

上昇 (utkepaa)

下降 (avakepaa)

収縮 (ākuñcana)

伸張 (prasāraa)

進行 (gamana)

普遍・特殊・内属

普遍 (sāmānya)

 

同類の観念を生む原因である。黒い牛も白い牛も同じ牛であると分かるのは、普遍としての「牛性」を牛が持っているからである。

 

特殊 (viśea)

あるものを別のものから区別する観念の原因である。牛が牛であって馬でないと分かるのは、特殊としての「牛性」を牛が持っているからである。

 

内属 (samavāya)

不可分でありながら、別個の実在となっているもの同士の関係である。糸と布は内属の関係にある。

 

ヴァイシェーシカ学派(自然哲学)

インド哲学の学派。

六派哲学の1つ。

カナーダが書いたとされるヴァイシェーシカ・スートラを根本経典とする。

 

一種の自然哲学と見なされることもある。

 

サーンキヤ学派

インド哲学の学派。

六派哲学の1つに数えられる。その思想は、精神原理と物質原理を分ける二元論である。

 

精神原理であるプルシャは、永遠に変化することない実体である。

物質原理であるプラクリティは、第1原因とも呼ばれ、サットヴァ(純質)、ラジャス(激質)、タマス(翳質)という、相互に関わる3つの構成要素からなる。

これら構成要素が平衡状態にあるとき、プラクリティは変化しない。

 

しかし、プルシャの観察を契機に平衡が破れると、プラクリティから様々な原理が展開してゆくことになる。

プラクリティ→理性→自我意識という順序で原理が現れ、自我意識からは思考器官、知覚器官、行為器官が生まれる。

 

知覚器官には耳・皮膚・眼・舌・鼻があり、行為器官には発声器官・手・足・排泄器官・生殖器官がある。

また、自我意識は他方では素粒子(音・触感・色・味・香)を生み、素粒子は五大の要素(虚空・風・火・水・土)を生む。これらの対象は、知覚器官に対応している。

 

プルシャは、このような展開を観察するのみで、それ自体は変化することがない。人はプラクリティから展開した理性、自我意識などを主体であると思い込む錯覚に陥っているが、本来の自我であるプルシャに目覚めることで、解脱が果たされるとしている。

 

サーンキヤ学派はヨーガ学派と対になり、ヨーガを理論面から基礎付ける役割を果たしている。

 

古典サーンキヤ体系は、中期ウパニシャッドの『カタ』において初めて現れる。そこではヨーガの修得が勧められており、一神教的な傾向、絶対者の恩寵の思想が現れている。

 出典 Wikipedia

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