ヴァイシェーシカ学派は、ダルシャナ(darśana)の学派。六派哲学(ṣad darśana)の1つ。カナーダが書いたとされる『ヴァイシェーシカ・スートラ』を根本経典とする。一種の自然哲学と見なされることもある。
『ヴァイシェーシカ・スートラ』では、全存在を6種のカテゴリーから説明する。言葉は実在に対応しており、カテゴリーは思惟の形式ではなく客観的なものであるとする。 カテゴリーは、実体・属性・運動・特殊・普遍・内属の6種である。
6種のカテゴリー
実体
実体(dravya)は、以下のように分けられる。
地 (pṛthivī)
水 (āpas)
火 (tejas)
風 (vāyu)
虚空 (ākāśa)
時間 (kāla)
方向 (dik)
アートマン (ātman)
意(マナス) (manas)
属性
属性(guṇa)は以下のように分けられる。
色 (rūpa)
味 (rasa)
甘
酸
辛
渋
苦
香 (gandha)
芳香
悪臭
触 (sparśa)
冷
熱
非冷非熱
数 (saṅkhyā)
量 (parimāṇa)
別異性 (pṛthaktva)
結合 (saṃyoga)
分離 (vibhāga)
彼方性 (paratva)
此方性 (aparatva)
知識作用 (buddhi)
楽 (sukha)
苦 (duḥkha)
欲求 (icchā)
嫌悪 (dveṣa)
意志的努力 (prayatna)
運動
運動(karma)は、以下のように分けられる。
上昇 (utkṣepaṇa)
下降 (avakṣepaṇa)
収縮 (ākuñcana)
伸張 (prasāraṇa)
進行 (gamana)
普遍・特殊・内属
普遍 (sāmānya)
同類の観念を生む原因である。黒い牛も白い牛も同じ牛であると分かるのは、普遍としての「牛性」を牛が持っているからである。
特殊 (viśeṣa)
あるものを別のものから区別する観念の原因である。牛が牛であって馬でないと分かるのは、特殊としての「牛性」を牛が持っているからである。
内属 (samavāya)
不可分でありながら、別個の実在となっているもの同士の関係である。糸と布は内属の関係にある。
ヴァイシェーシカ学派(自然哲学)
インド哲学の学派。
六派哲学の1つ。
カナーダが書いたとされるヴァイシェーシカ・スートラを根本経典とする。
一種の自然哲学と見なされることもある。
サーンキヤ学派
インド哲学の学派。
六派哲学の1つに数えられる。その思想は、精神原理と物質原理を分ける二元論である。
精神原理であるプルシャは、永遠に変化することない実体である。
物質原理であるプラクリティは、第1原因とも呼ばれ、サットヴァ(純質)、ラジャス(激質)、タマス(翳質)という、相互に関わる3つの構成要素からなる。
これら構成要素が平衡状態にあるとき、プラクリティは変化しない。
しかし、プルシャの観察を契機に平衡が破れると、プラクリティから様々な原理が展開してゆくことになる。
プラクリティ→理性→自我意識という順序で原理が現れ、自我意識からは思考器官、知覚器官、行為器官が生まれる。
知覚器官には耳・皮膚・眼・舌・鼻があり、行為器官には発声器官・手・足・排泄器官・生殖器官がある。
また、自我意識は他方では素粒子(音・触感・色・味・香)を生み、素粒子は五大の要素(虚空・風・火・水・土)を生む。これらの対象は、知覚器官に対応している。
プルシャは、このような展開を観察するのみで、それ自体は変化することがない。人はプラクリティから展開した理性、自我意識などを主体であると思い込む錯覚に陥っているが、本来の自我であるプルシャに目覚めることで、解脱が果たされるとしている。
サーンキヤ学派はヨーガ学派と対になり、ヨーガを理論面から基礎付ける役割を果たしている。
古典サーンキヤ体系は、中期ウパニシャッドの『カタ』において初めて現れる。そこではヨーガの修得が勧められており、一神教的な傾向、絶対者の恩寵の思想が現れている。
出典 Wikipedia
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