近現代
19世紀後半から20世紀前半に発達した、西洋の身体鍛錬運動に由来するさまざまなポーズ(アーサナ)が、インド独自のものとして「ハタ・ヨーガ」の名によって体系化され、このヨーガ体操が近現代のヨーガのベースとなった。現在、世界中に普及しているヨーガは、この新しい「現代のハタ・ヨーガ」である。
現代ヨーガの立役者のひとりであるティルマライ・クリシュナマチャーリヤ(1888年 - 1989年)も、西洋式体操を取り入れてハタ・ヨーガの技法としてアレンジした。インド伝統のエクササイズ(健康体操)と喧伝されることで、アーサナが中心となったハタ・ヨーガの名前が近現代に復権することになった。
2016年、ユネスコが推進する無形文化遺産にインド申請枠で登録された。
日本の状況
最初に瑜伽として日本にヨーガが伝わったのは、大同元年(806年)、唐より帰国した空海にまでさかのぼる。その後、真言宗や天台宗の「阿字観」等の密教行法として、現在に伝わっている。禅宗でいう禅は仏教の代表的な修行のひとつ「禅定」であるが、その原語はディヤーナ(禅那)で、ヨーガ・スートラ第2章に記述されるディヤーナと同語である。
現在、巷で流行している健康法としてのヨーガは昭和時代に伝播した。19世紀末にアメリカにヨーガが紹介され、ヴィヴェーカーナンダ(1863年 - 1902年)やパラマハンサ・ヨーガーナンダ(1893年 - 1952年)などのグルが知られた。ただ、自称インド人も多く、日本に影響のあったヨーガは、戦前はアメリカ白人のものが中心だった。日本のヨーガは、ヨーガを導入した宗教団体オウム真理教による一連の事件の影響で、一時下火になった。
だが2004年頃から健康ヨーガは再びブームとなり、ダイエット方法の1つとしてテレビで紹介されたり、CMで使用されることが増えた。フィットネスクラブなどでは、エアロビクスと同じようなスタジオプログラムの1つとして行なわれている。この流行は戦前同様インドから直接流入したものではなく、アメリカ、特にニューヨークやハリウッドでの流行が影響したものと考えられ、近年では同流行がインドへ逆輸入されている。なお、伝統的ヨーガ系のグループには現在でも、イニシエーションを行なうなど宗教団体的側面を持つものもある。
2015年、インド政府が主導して国連が制定した国際ヨガデー(6月21日)では、日本各地でもイベントが開催されている。また、2016年よりインド政府認可のヨガ検定が、一般社団法人全日本ヨガ連盟によって実施される。[要出典]
チャクラ
ヨーガは実践上、インド古来のチャクラ理論に依拠している。ヒンドゥー・ヨーガや仏教におけるチャクラの数、言及される色は一定していない。
チャクラを7つに固定し、各チャクラのプラーナの色に虹の7色をあてる考えが現代では普及しているが、これは伝統的なものではなく、近代神智学のチャールズ・ウェブスター・レッドビータ(英語版)(1854年 - 1934年)が20世紀に考案したものである。
座法
主たる座法はパドマ・アーサナ(蓮華坐)である(結跏趺坐に相当)。
伝統的ヨーガ
ラージャ・ヨーガ (राज योग)
「ラージャ」は「王の」という意味である。「マハー(偉大な)・ヨーガ」とも呼ばれる。教典はパタンジャリの『ヨーガ・スートラ』(紀元後4-5世紀頃)。第2章29節は、ヨーガには以下の8部門があると説いている。
ヤマ(禁戒)
ニヤマ(勧戒)
アーサナ(座法)
プラーナーヤーマ(調気、調息)
プラティヤーハーラ(制感)
ダーラナー(凝念)
ディヤーナ(静慮)
サマーディ(三昧)
その第2段階(ニヤマ)のうち、苦行、読誦、自在神への祈念の3つをクリヤー・ヨーガ(行事ヨーガ)という(『ヨーガ・スートラ』2:1)。クリヤーは行為の意で、『ヨーガスートラ』でのクリヤー・ヨーガは準備段階に当たる。
これら8つの段階で構成されることから、ラージャ・ヨーガをアシュターンガ・ヨーガ(八支ヨーガ)とも言う。
ヴィヴェーカーナンダは19世紀末にジュニャーナ、バクティ、カルマ、ハタを四大ヨーガとして、その総称をラージャ・ヨーガとしたが、後にラージャ・ヨーガは第5のヨーガを指す言葉とされるようになった。今日ではラージャ・ヨーガは『ヨーガ・スートラ』に示される古典ヨーガと同義とされる。ただし、ラージャ・ヨーガという言葉の文献上の初出はハタ・ヨーガの教典『ハタ・ヨーガ・プラディーピカー』にある。
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