2012/11/18

後悔(歯医者地獄)(7)

(そもそも、セラミックが「永久に虫歯にならない」という保証があるのか?

「永久」などといっても、未来のことなどどうなるかわからないではないか。虫歯になったら、金を返してくれるのか?

そんなことはあるまい。そうなったら、なんだかんだで別の理由をつけてくるに違いない。

虫歯までは行かないまでも、入れたセラミックが取れないという保証はない。そんな場合はおそらく、使い方が悪いと言ったような別の理由をつけてくるのだろう。そもそも、この医師が信用できるのかどうかも甚だ疑問である)

 

と、そんなことを考えていると

「もし、そのような治療をお望みなら、どこか他院でということになるかと思います・・・」

という言葉が返ってきた。

 

「ちょっと、考えておきますよ・・・」

と言葉を濁して、出口のドアのところを見上げると、そこには

《当院は、永久に虫歯にならないファインセラミック治療のため、安心です。「卑金属」の治療は行っておりません》

という看板が掲げられていた。

 

上のようなもっともらしい理由を幾つも並べたが、実はそれ以前にもっと根本的な問題が存在した。そもそも「40」という治療費が払えない、と言うことだ。勿論、払おうと思えば払えないことはないが、元々想定外の額だけにいきなり言われて「ハイ、そうですか」とおいそれと払えるような額ではない。仮にセラミック自体や医師が信頼できたとしても、これだけの金額を準備するには、ある程度の計画は必要だ。

 

これが中途半端に小金でも溜めていれば迷ったかもしれないが、幸いにして自分の場合はあれこれと悩む必要がないのは、この際不幸中の幸いだった。

 

40万など、払えるわけがないじゃないか」

というだけで、初めから結論が出ていたのだから。となると、今更ながら2回分の治療費「2万円弱」がなんとも惜しまれた。

 

最初の説明では、セラミックを推奨していたのは事実だが、それでも治療法方は選べるように聞こえたしそれが普通のはずで、よもや保険内治療が出来ないなどは考え及ばなかった。

 

(こんなことなら最初から別の歯科に行っていれば、恐らく半額以下で済んだろうから1万円は余計に取られた)

 

と、後悔する気持ちが強かった。もっとも、この歯科の治療は他院に比べ非常に「大掛かり」だった。通常は30分でひとコマというケースが多いから、大抵の治療は30分以内で終るものだが、この歯科の場合は2回とも1時間以上掛かった。初回などは、予約していたにもかかわらず30分以上も待たされた挙句、治療に1時間を要したくらいだ。

 

確かに、あの歯科の設備は充実しているように見えた。治療に当たっては、顎が疲れるとの理由で拘束具を嵌められたり、麻酔も数段階で行われるなど、他の歯科ではお目にかかったことのない設備は確かである。さらにアイドルタレントのような、若く奇麗な衛生士が大勢揃っており、初回の「根幹治療」の時などは、当日の午前最後の患者ということも関係したかもしれないが、衛生士が34人掛かりだったことを思えば、人件費もかなり乗せられているのだろう。

 

さらには、2ちゃんねるのクチコミで「取り敢えず麻酔」と書いてあったように、最初に必ず麻酔を打つので痛みはまったくない。が、いかに腕が良いにしろ、前歯ならともかく奥歯に40万もの大枚を叩いてセラミックを入れる必要はないように思えた。が、よくよく考えてみれば、あのバカ高い治療費を取る「H歯科」が「クチコミナンバーワン」だったというのは、なんとも不可解である。

 

確かに、治療費があのようにバカ高いとは書いてなかったし、書いてあれば最初から行くわけがない。クチコミでナンバーワンになるくらいに評判が良いのに、なぜあのバカ高い治療費に誰も触れていないのかが不可解ではないか。

 

が、今更そのようなことを言ったところで、それこそ「アフターカーニバル」に過ぎぬ。現実問題として、穴が開いた状態になってしまったブリッジのところを早く埋めないことには、不自由極まりない。再度、ネットのクチコミを漁ることになったが、前回のようにクチコミナンバーワンに誘われて行ったにもかかわらず失敗した例が、やはり頭に引っかかっていた。さりとて他に情報源がないのも事実で、まったく知らないところに飛び込むのはやはリスクが大きいのである。

 

そんな折に、たまたま髪の毛が伸びてきたタイミングで、行きつけの床屋へ行ったので

「この辺りで、いい歯医者はないかな?」

と聞いてみると、例の「H歯科」の直ぐ近くにある別の歯科に通っていて

「あの先生は、なかなかいいですよ」

と言うことだった。

 

「この通りだと、数件あるけどね」

「Hさん、Oさん、Kさん・・・あと、まだあったかな。Hさんは、以前に痛い目に遭ったから、今はずっとOさんにやってもらってますよ」

 

と「衝撃の告白」が始まった (  ゜ ;)エッ!!

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