2016/01/28

発見(小説ストーカーpart5)

●忍の場合
 (ああ、私のラッキーボーイ!
 どうしちゃったのー?
 今日は、きっと居るわよね・・・だって健康な若者のサンプルのようなアナタじゃない・・・)
 
 とアパレルショップの閉店時間も待ち遠しく、一目散に駅に向かう忍。
 
 (昨日は、もしかしてすごく遅くなったとか? よし!
 今日は2時間だろうと、待つ覚悟よ!
 だって、アナタのことが心配で眠れないんだもん・・・)
 
 と、まずは「定時」にやって来た電車に血走った目を凝らす忍。
 
 しかし車内には、ラッキーボーイの姿はない・・・
 
 そして・・・次の車内も同様であった。
 
 1時間後に、ホームに入って来た電車を凝視する忍 ( ;_)ジーーーッ
 
 (やっぱり、いない!
 ああ、私のラッキーボーイ!
 一体、どうしちゃたのー?)
 
 と叫びたいのを堪えた忍は、次に思わず悲鳴を上げそうになった。

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●タコオヤジの場合
 昨日は、彼女がホームに陣取ったまま、なかなか電車に乗らんのには参った。
 
 いつもより距離を取って、なんとか姿が確認できる辺りでこっちも待機したが、彼女のあの不可解な行動は勿論、あの「ラッキーボーイ」が関係しとるハズだ。
 
 クソッ、イロオトコめが! (`Д´)y-~~ちっ
 
 そう・・・昨日は珍しく、ヤツの姿がなかったのだ。
 
 お蔭で、彼女の前に立ちはだかっていた「壁」が取り払われて、顔が良く見えたのは儲けものだったな。
 
 待ったかいがあったというもんだ ニヒヒヒ ( ̄∀ ̄*
 
 そうは言っても、こっちは姿を観られたらヤバい。
 
 ましてや、痴漢扱いなどされては堪らん。
 
 そう、オレって誤解を受けやすいタイプなんだよな・・・根はまじめで善良なのに、痴漢扱いされたりな・・このオレが痴漢とは、実に心外極まることだ。
 
 それはともかくとして、昨日にも増してビックリしたのが今日だった。
 
 例によって、ホームで1時間も待たされた挙句、次に電車がホームに入って来るや、突如として彼女が一目散に駆け出して行ったじゃねーか!
 
 あんまり予想外の行動で、とっさのことだったから追っかけるわけにもいかず諦めたが、一瞬なんかの発作でも起こしたのかと勘違いしたくらいだ。
 
 あれは一体、なんだったのか・・・
 
 アタマの悪いオレに、あの行動の推理なんか出来るわけはない。
 
 ところが、次の日に彼女が立つホームの位置が、えらく後ろの方に変わっとったのに驚いた。

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●忍の場合
 (ラッキーボーイが居た!!!
 しかも・・・いつもと違う車両に!!
 なんで??)
 
 なぜ、この日に限って違う車両に・・・という疑問は抱きつつも、気付けば体が勝手にダッシュをしていた ε=ε=ε=(ノ*´Д`)ノ
 
 息も絶え絶えに、なんとか乗ることが出来た忍。
 
 これまでとは違い、隣のドアではなく遥か遠くになってしまったが、とにもかくにも同じ車両内に「ラッキーボーイ」の元気な姿を見て、胸に安心感が広がって行き、ジンワリと涙が溢れだした (TT )

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●タコオヤジの場合
 一体、なんなんだろう・・・さては、これまで考えてきた「ラッキーボーイ」が彼女のお目当てというのはオレの勝手な妄想に過ぎず、あれはまったく何の関係もなかった?
 
 だとしたら彼女の、あの昨日からの行動は、なんなんだ?
 
 もしかして、彼女は「かなり変な人」だったとか???
 
 などと考えていると、電車が入ってくるや、またしても彼女が一目散に駆け出したからビックリだ。
 
 とはいっても、昨日とは違って今日はある程度、こっちも心の準備が出来とったから、彼女が入ったドアの位置をしっかりと確認しといてから、こっちも猛ダッシュよ。
 
 オッサンを2人くらい突き飛ばしたかもしれんが、そんなことには構ってられん。
 
 そこまで頑張ってはみたものの、あの混雑したラッシュ時のホームだから、隣の車両まで辿り着くのがやっとという有様よ。
 
 この混雑の中、車両を移動するのも大変だから、次の乗り継ぎ駅で大勢の乗客が入れ替わるタイミングまで待って、やっとのことで隣の車両に移動してみると・・・そこで彼女の「謎の行動」の原因が判明した。
 
 彼女の遥か向こうの方に「ラッキーボーイ」の姿があった!!

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