アシュターンガ・ヴィニヤーサ・ヨーガ
現在のパワー・ヨーガの源流ともなっているヨーガ。呼吸と共にアーサナを行う。
現在、一般的にヨーガのシーンで「アシュタンガ・ヨガ」と呼ばれているものは正式には「アシュターンガ・ヴィニヤーサ・ヨーガ」(アシュタンガ・ヴィンヤサ・ヨガ)という(本来は、アシュターンガ・ヨーガという語は『ヨーガ・スートラ』第2章29節に記述されている八部門ないし八階梯からなる修行体系を指す)。
ティルマライ・クリシュナマチャーリヤに教えを受けたパッタビ・ジョイスが、このヨーガの創始者である。現在は継承者でパッタビ・ジョイスの孫であるシャラスが指導している。
このヨーガの大本山とされる、南インドの都市マイソールのアシュターンガ・ヨーガ研究所 (AYRI) には、世界中からこのヨーガの教えを求めて多くのヨーギーとヨーギニーが集まり、マイソールに住み込み、練習に励んでいる。
パワー・ヨーガ
「パワー・ヨーガ」(パワーヨガ)は、アシュターンガ・ヴィニヤーサ・ヨーガをベースにしたヨーガで、アーサナを通して肉体に負荷をかけることにより脂肪を燃焼させ、美しい肉体を作ることを目的として主にアメリカで開発された。
ハタ・ヨーガが、1つのポーズをとったまま一定時間静止した上で次のポーズに移行するのに比べ、アシュターンガ・ヴィニヤーサ・ヨーガをベースにしたパワー・ヨーガは、各種ポーズをストレッチのように一連の流れの中で行うのが特徴である。また、アシュターンガ・ヴィニヤーサ・ヨーガに比べ、1つのポーズの静止時間は長く、この点ではハタ・ヨーガの要素も取り入れられている。
もっとも、その目的はハタ・ヨーガとは異なり、アイソメトリックな運動によるフィットネスが主な目的。過度な負荷は乳酸を増加させるだけでなく、腰痛、関節痛などを引き起こすことが指摘されていることから、実習には注意が必要。
肉体的に健康な若者に人気がある。ハリウッドスターを中心に一大ブームとなり、先進諸国に広がったことから「ハリウッド・ヨーガ」ともいう。
ホット・ヨーガ
ホット・ヨーガ、ホットヨガは、室温35〜39度前後、湿度60%前後に保たれた室内で、アーサナを中心としたエクササイズを行うヨーガである。実施する室内環境は、ヨーガ発祥の地インドの気候を模したとも言われる。パワー・ヨーガ、ビクラム・ヨーガ(40度以上で行う)、フォレスト・ヨーガなどの形態がある。アメリカ合衆国西海岸で1970年代に始まり、日本では2009年ごろから広まった。
2015年時点で、日本で30万人が行っているとも言われる(出典のデータが何の統計によるかは不明)。様々な利点が主張されているが、エクササイズやダイエットの効果は通常のヨーガと変わらないと指摘されており、高温多湿の環境で行うことが肉体に悪い影響を及ぼすこともある。
マタニティ・ヨーガ
妊産婦向けのヨーガ。ヨーガの体操や呼吸法を通して一体感を味わえることが、命の尊さを再認識し、出産後の子育てが意欲的に取り組めるようになるといわれる。呼吸と共に行うヨーガの体操は妊婦の心の状態を安定させる効果や、分娩時の痛みのコントロールにもつながるという。
ヨーガ・セラピー
多くのストレス関連疾患に対して著効があることから、近年、医療機関での導入が進んでいる[独自研究?]。日本国内では、一般的に「ヨーガ療法」と呼ばれる。
論争・ネガティブな側面
オウム真理教には、ヨーガがきっかけになって入信した信者が多かった。教祖の麻原彰晃は、阿含宗での修行ののちに『ヨーガ・スートラ』に出合い、『ハタ・ヨーガ・プラディーピカー』、『ゲーランダ・サンヒター』、『シヴァ・サンヒター』(いずれも佐保田鶴治訳)と教典をもとに独学し、空中浮揚するまでに至ったという。
新宗教を研究する沼田健哉は、このように正規のグルにつかずに修行をしていたことで、いわゆる「魔境」に陥った可能性を指摘し、のちに様々な問題を生ぜしめた要因のひとつであると述べている。
オウム真理教では、ヨーガによるクンダリニー覚醒の実践が中心的な位置を占めており、沼田は、「ヨーガによる自己変容としての解脱体験こそ、80年代前半の麻原の宗教的アイデンティティの柱の一つとみなしうる」と述べている。本来ヨーガや瞑想によって、常人にない能力を得ることは否定されてはいないが、オウム真理教の信者には超能力を獲得することを主な目的とする者も少なくなかった。
ヨーガや瞑想などの修行法、断食などの苦行も、本来は真の自己を見出すためのセルフ・コントロールの一種である。沼田は、破壊的カルトと呼ばれるような新宗教の教団で行われている行為と、東洋の伝統的なヨーガや瞑想などの修行法は似ている部分が少なくないが、行われるコンテクストが異なっていると反対の結果を生じうると述べている。またオウム真理教にみられる強固な教祖
= グル崇拝は、麻原や幹部による洗脳やマインドコントロールをより容易にしたことを指摘している。
スキャンダル
アヌサラ・ヨーガ
近年では、巨大なヨーガスクールで、カリスマ指導者が生徒や関係者に不適切な性関係を強いたり、性儀式を行うといったスキャンダルが相次いでいる。現代ハタ・ヨーガの一種であるアヌサラ・ヨーガの創始者ジョン・フレンドは、ウイッカのカブンで魔術的な性関係を持ち(セックス・ヨーガを含むタントラ・ヨーガを指導していたと言われるが、正統なものではないと言われる)、既婚者を含む関係者や生徒と不適切な性関係を持っていると告発された。このスキャンダルで教師は次々辞職し、ジョン・フレンドは指導者の地位を退いている。また、被雇用者の年金等の雇用条件に関する違法行為の疑惑がある。
ビクラム・ヨーガ
現代ハタ・ヨーガ、ホット・ヨーガの一種であるビクラム・ヨーガの創始者であり、巨大ヨーガスクールを経営し世界的にフランチャイズ展開しているビクラム・チョードリーは、生徒からセクハラ、パワハラ、性犯罪で民事告訴されている。
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